「搾取的…」とチャールズ国王 『ザ・クラウン』新シーズン発表、当の王室が懸念するワケとは

  • 文:松丸さとみ
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Tudum: A Netflix Global Fan Event-YouTube

Netflixはこのほど、イギリス王室を描いた『The Crown』の最新シーズンの配信を11月9日に開始すると発表した。人気シリーズなだけに配信が待たれるが、当のイギリス王室は作品の出来を「懸念している」と、イギリスのテレグラフ紙が報じている。

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シーズン5が描く90年代を国民に思い出してほしくない王室

トレイラー(20:13から20:59まで)

というのも、最新のシーズン5は1990年代を描いており、当時皇太子だったチャールズ国王が、ダイアナ妃と離婚する話が大々的に取り上げられるからだ。Netflixがリリースしたシーズン5のトレイラー(予告編)には、当時の皇太子とダイアナ妃との関係を「全面戦争」と表現するせりふが盛り込まれている。

王室側が『The Crown』の最新シーズン配信を気にする理由は、生前のダイアナ妃は世界的にも絶大な人気を誇っていたこともあり、当時のチャールズ皇太子がカミラ夫人(現在のカミラ王妃)との不倫関係を認めたことや、離婚後にダイアナ妃が事故死したことで、90年代はチャールズ国王にとって国民からの人気が非常に低かった時代だからだ。エリザベス女王の後に国王になるべきはウィリアム王子(現在のウィリアム皇太子)だ、という世論が高まったほどだった。

ここ数年間は、カミラ皇太子妃(当時)と共にチャールズ皇太子(当時)の人気はかなり上がっている。オーストラリア国立大学の歴史学者アレクサンダー・クック氏がオーストラリアのスカイニュースに話したところによると、王位に就いて以来、チャールズ国王の人気はさらにうなぎ上りだという。

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チャールズ国王は番組を「搾取的」と表現

主役のイメルダ・スタウントンからのメッセージ

王室側としては、『The Crown』で視聴者が再び90年代を思い出し、やっと手に入れたチャールズ国王の人気が当時のようにかげるのはなんとしても避けたいところだろう。

テレグラフによると、王室関係筋は作品について「ドラマであってドキュメンタリーではない」と強調しているという。さらには、チャールズ国王は番組を見ていないが、「搾取的だ」と表現したとも報じられている。なおNetflix側は同番組を「史実に基づいたドラマ」だと表現している。

アメリカのフォックス・ニュースによると、チャールズ国王に対する国民感情が当時のネガティブなものに戻らないよう、イギリス王室はいくつかの方策を考えているようだ。

イギリス王室に詳しいジャーナリストのキンジー・スコフィールド氏はフォックス・ニュースに対し、『The Crown』で描かれるようなフィクションによる誤解を払拭するために、今後はチャールズ国王に関する書籍が多く刊行されたり、国王と王妃による新たなインタビューが行われたりといった可能性を挙げている。

なお、『The Crown』シーズン5からは俳優陣が刷新。エリザベス女王役はハリー・ポッターでドローレス・アンブリッジ役を演じたイメルダ・スタウントン、フィリップ殿下役はジョナサン・プライス、チャールズ皇太子役はドミニク・ウェスト、ダイアナ妃役はエリザベス・デビッキ、ジョン・メージャー役はジョニー・リー・ミラーとなっている。

同番組はシーズン6で完結することがすでに決まっており、エリザベス女王の死去に作品が影響されることはないという。

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【動画・画像】チャールズ国王「搾取的…」 『ザ・クラウン』新シーズン発表、当の王室が懸念するワケとは

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トレイラー(20:13から20:59まで)

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チャールズ国王は番組を「搾取的」と表現

主役のイメルダ・スタウントンからのメッセージ