さすがフォルクスワーゲン、SUVづくりがうまい! 新しい「T-Roc」に乗ってみた

  • 文:小川フミオ

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フォルクスワーゲン「T-Roc」がマイナーチェンジを受けて、2022年7月25日に発売された。湘南で試乗してみると、快適な乗り心地と、広い室内と、躍動感のあるデザインで、高い総合点をあげたくなる出来だった。

「T-Roc(ティーロック)」は2020年7月に日本導入され、21年の年間SUV売れ行きランキングでは2位を獲得しているそうだ(1位はやはりVWのT-Cross)。エクステリアデザインやボディカラーが高く評価された、と現地法人のフォルクスワーゲンジャパン広報部では理由を分析している。

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バンパーに埋め込まれたデイタイムラニングランプが印象的なフロントマスク

じっさい、私が乗った「T-Roc TDIスタイル」は、ラベンナブルーメタリックの車体にホワイトのルーフの組合せ。リアクォーターパネルを大きめに前傾させることで躍動感を強調したボディデザインとのマッチングがよく、若々しい印象が好感度大だ。

フロントマスクとバンパーの意匠が一新され、よりスポーティさが強調されたのが、今回のマイナーチェンジ版の特徴。LEDストリップといって、LEDライトが新しいパターンを採用されたグリルの中央を横切り、ボディ幅がより広く見え安定感が増している。バンパーにはやはりLEDのデイタイムラニングランプが埋め込まれ、一瞬で新しいT-Rocとわかる。

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じっさいのサイズは全長4250ミリと比較的コンパクトだけれど存在感はそれ以上に大きい

フォルクスワーゲンというと、日本ではいまだゴルフとポロのメーカーなる認識だろうか。でもじつは、驚くほどの荷室容量を持つすぐれたステーションワゴンのパサートや、日本でもまもなくとうわさされる電気自動車「ID.」など、守備範囲は広い。

フォルクスワーゲンの実力が発揮されるのが、もうひとつ、T-Rocに代表されるSUVだ。同社のパッケージング(ボディサイズに対して室内の広さ)のうまさは、従来より高く評価したい点で、その能力がいかんなく発揮されている分野である。

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TDI Styleにオプションのレザーシートパッケージ装着

運転席は機能主義的で、同時に適度に気分が盛り上がるような演出がほどこされている。メーターパネルは液晶で、大きく地図表示が可能。同時にダッシュボード中央にはインフォテイメント用にタブレット感を強調した9.2インチの液晶モニターがすえつけられる。

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液晶計器盤にはナビゲーションシステムの地図画面を表示させることもできる(写真=Volkswagen)

からだをしっかり支えてくれるシート、太めのグリップのステアリングホイール、握りやすい位置のシフトレバーなど、運転に集中したいときのための機能はしっかり確保されている。

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ボディサイズから想像するより広々感のある後席空間も魅力のひとつ

後席空間の余裕もじゅうぶん。4250ミリの全長に対して2590ミリのホイールベースは、ゴルフ(全長4295ミリ、ホイールベース2620ミリ)よりごくわずかにコンパクト。全高は1590ミリでゴルフより115ミリ高い。

T-Crossと比較すると、T-Rocのほうが全高で135ミリ、ホイールベースで40ミリ長く、全高は10ミリ高い。ちなみにボルボXC40 とでは、ボルボが全長で190ミリ、ホイールベースで110ミリ長い。メルセデス・ベンツGLAだと、こちらが全長で165ミリ長く、ホイールベースは140ミリ長い。

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よりコンパクトな扱いやすさで人気のT-Cross(写真=Volkswagen)

大きければいいってもんじゃない、という価値観にたてば、T-Roc少しずつコンパクトなぶん、街中での扱いやすさが強みになるかもしれない。

私が乗ったのは「TDI」なる1968cc4気筒ディーゼルエンジン搭載車。1.5リッターガソリンの「TSI」と2本立てで、市街地を中心に使うなら、22万円ほどTDIが高いことをかんがえて、ガソリンを選ぶひとが多いとか。いっぽう旅行好きのひとには、リッターあたり3.1キロ燃費ですぐれるディーゼルがいい、とフォルクスワーゲンジャパンではしている。

はたしてTDI、気持ちのいいドライブが印象的だ。340Nmの余裕ある最大トルクを1750rpmから発生するので、いちど走りだせば、中間加速といって高速道路での追い越しなど、じつにスムーズ。

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2トーン仕様のなかでホワイトルーフが選べるのはこのラベンナブルーのみ

ターボチャージャーががんっと力を発揮する2500rpmあたりから上のエンジン回転領域では、アクセルペダルの微妙な踏みこみに反応よく加減速してくれ、運転している私とT-Rocとのいいかんじのコミュニケーションが味わえる。

エンジン音も目立って大きくなく、ものすごく静かってわけでもないが、耳ざわりなところはない。足まわりも低速だとすこし硬めに感じられることもあるものの、高速などでは落ち着く。いまだにアウトバーンでは200キロ超で走るクルマも少なくないドイツからやってきたクルマ、なのだな。

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445リッターの積載量をもつ実用性充分な荷室

さきに、輸入SUV首位の座をこのT-Rocと妹ともいえるT-Cross とで競っていることに触れた。私個人としては、運転が好きなひとには、よりしっかりしたハンドリングのT-Rocを勧めたい。

2トーンの塗り分けを選べるなど、適度な遊び感覚を持つクルマであるものの、いっぽう、走りのよさがしっかりある。今回、よりパワーを求めるひとのために221kWの最高出力の「T-Roc R」が初導入された。これもいいクルマだが、TDIだってしっかりした走りのよさでは負けていないかんじだ。

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パワフルな走りを求めるひとのために新発売された「T-Roc R」

TDIの価格は、「Style」が439万3000円、すこしスポーティに振った「R-Line」が460万9000円だ。いっぽう、ガソリンTSIは、装備の面で照明システムの一部機能などが省略され16インチのホイールを履くベースグレード「Active」が394万3000円、「Style」が417万円。足回りも専用のパワフルな「R」は616万6000円となる。

燃費は、TDIがリッターあたり18.6キロ、TSIが15.5キロとなっている。

Specifications
Volkswagen T-Roc TDI Style
全長×全幅×全高 4250x1825x1590mm
1968cc 4気筒ディーゼル 前輪駆動
最高出力 110kW@3500〜4000rpm
最大トルク 340Nm@1750〜3000rpm
燃費 18.6km/L(WLTC)
価格 439万3000円