映画『マイ・ブロークン・マリコ』のあらすじと見どころ。永野芽郁がイメージを打ち破るやさぐれキャラを熱演!

  • 文:上村真徹
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©️2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

亡き親友との友情をテーマに描き絶賛された平庫ワカの同名短編コミックを、永野芽郁と奈緒の共演で映画化した『マイ・ブロークン・マリコ』のあらすじと見どころを紹介する。

【あらすじ】突然亡くなった親友の魂を救うため、遺骨を抱いて“ふたり旅”に出る

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親友マリコの死を突然知らされたシイノ(永野芽郁)は、彼女を虐待していた父親に包丁を向けながら遺骨を奪い去る。©️2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

2019年にオンラインで連載されるやSNSでトレンド入りし、文化庁メディア芸術祭新人賞など数々の賞に輝いた平庫ワカの同名コミックを映画化。斬新なキャラクター設定と疾走感あふれるストーリーを、永野芽郁ら実力派キャストの共演で織りなす『マイ・ブロークン・マリコ』が劇場公開される。

ブラック企業で働くシイノトモヨ(永野芽郁)は、ある日食堂で昼食を食べていたところ、テレビで親友のイカガワマリコ(奈緒)が亡くなったニュースを見る。つい最近会ったばかりのマリコの死にショックを受け、彼女のために今からでも何かできないか考えるシイノ。ふとマリコが学生時代から父親(尾美としのり)に虐待を受けていたことを思い出し、彼女の実家から遺骨を奪おうと決意。父親の再婚相手(吉田羊)に家の中へ通されたシイノは遺骨を強奪し、父親の制止を振り切って窓から飛び降り逃走する。

マリコの遺骨と共に家へ帰ったシイノは、ひとり取り残されて心が押しつぶされそうになる。そんな中、かつてマリコが“まりがおか岬”へ行ってみたいと言っていたことを思い出し、彼女の遺骨を抱いて旅に出ることに。電車とバスを乗り継いで目的地に到着するが、ひったくりに鞄を盗まれ途方に暮れてしまう。そんな時、偶然出会ったマキオ(窪田正孝)が救いの手を差し伸べる。

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【キャスト&スタッフ】永野芽郁と奈緒が「半分、青い。」から4年ぶりに共演

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父親から虐待を、彼氏から暴力を受けていたマリコ(奈緒)は、いつしか「自分が悪い」と自らを追い詰めていく。©️2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

本作の監督を務めたのは、日本映画監督協会新人賞受賞作『百万円と苦虫女』で一躍注目を集め、自ら書き下ろした小説『ロマンスドール』を映画化するなど意欲的な創作活動を続けているタナダユキ。原作に惚れ込んだ監督は映画化を熱望し、自分の心に正直な主人公シイノのむき出しの感情をエモーショナルに描き出す一方、シイノとマリコの友情をはかなく繊細に写し取っている。

主人公のシイノを演じるのは、連続テレビ小説「半分、青い。」でブレイクし、その後も映画やテレビで主演作が次々と発表されている永野芽郁。タバコを吸いガラも悪いやさぐれキャラを、カッコ悪い部分まで泥臭く熱演し、これまでの清純派イメージとは違った新境地を魅せる。一方、シイノの親友マリコには、「半分、青い。」で永野芽郁と共演した奈緒。当時2人で交わした「いつかまた一緒にお芝居をしよう」という約束を今回果たし、過酷な境遇で壊れていく女性というヘビーな役を哀切に演じきっている。

そんな2人を脇で支える共演陣にも実力派俳優が集結。旅先で困っているシイノを救う青年マキオ役は、タナダ監督とは『ふがいない僕は空を見た』『ロマンス』以来のタッグとなる窪田正孝。さらに、マリコの父親役を尾美としのり、その再婚相手を吉田羊が務めている。また、2022年で結成35周年を迎えるThe ピーズの楽曲「生きのばし」が主題歌に起用され、シイノの生きざまを生々しく前向きに彩っている。

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【見どころ】見る者の感情もむき出しにする“ふたりぼっちの友情”

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旅先でひったくりに遭ったシイノは、心配して声を掛けてきたマキオに悪態をつく。©️2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

物語の軸となるエッセンスは、片方が命を絶ち遺骨になってもなお結ばれ続ける、友情という言葉だけでは括れないシイノとマリコの強い絆。上っ面や綺麗ごとを乗り越えて相手のことを思い、「この世にあんたしかいなかった」と心から思えるほどの関係性をリアルに映すことは並大抵のことではない。それが本作で見事に表現されているのは、やはりキャスティングの妙に尽きるだろう。

「魂の救済」という重いテーマを持ち前のチャーミングさで軽やかに背負いつつ、衝動的な感情を無様にさらけ出す永野芽郁の絶対的な演技力。陰から陽までどんなキャラクターも変幻自在に演じ分け、作品の中にすっと溶け込む奈緒の存在力。プライベートでも親友関係にあり、普段からコミュニケーションを取り俳優としてもリスペクトし合っている実力派同士だからこそ、それぞれが己のキャラクターの本質を理解した上で、“魂の片割れ”というべき結びつきの深さまで説得力満点に体現されている。

あんたがいない世界で、どうやって生きようか──。たったひとりの友への弔いであり、突然命を絶った親友への行き場のない思いと向き合う、“ふたり旅”の行方を見届けたい。

『マイ・ブロークン・マリコ』

監督/タナダユキ
出演/永野芽郁、奈緒ほか 2022年 日本映画
1時間25分 9月30日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

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©️2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会