アストンマーティンの姿勢を象徴する、ウイングエンブレム
創業から109年、ブリティッシュ・サラブレッドの称号をほしいままにする名門アストンマーティンであるけれど、意外なことに現在の顧客の60%は新規だという。伝統を重んじながらも、ラグジュアリーSUVのDBX、ハイブリッド・スーパーカーのヴァルハラ、ハイパーカーのヴァルキリなど、新しい時代にふさわしい革新的なモデルを次々と発表しているのが、現代のセレブリティを惹きつける理由だろう。
このブランドのチャレンジングな姿勢は、19年振りに刷新された新しいエンブレムにも表れている。アストンマーティンのデザイナー陣とともにこのプロジェクトに取り組んだのは、英国グラフィックデザイン界の巨匠、ピーター・サヴィル。ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダーのアルバムジャケットでその名を知られるようになったサヴィルは、いまやイギリスのカルチャーの一部といっても過言ではない存在だ。
ピーター・サヴィルを中心にリニューアルされたエンブレムは、曲線を廃し、羽根を構成するラインを太くしたことで、ソリッドでモダンなデザインとなった。結果、未来に向けて力強く羽ばたくような印象を与える。
一方、このデザインを立体化したのは、バーミンガムの著名なジュエリー職人たちだった。つまり、最先端のポップカルチャーとクラフツマンシップのコラボレーションで、伝統と革新を融合するというアストンマーティンの世界観を表現しているのだ。
第二次大戦前の自動車黎明期における圧巻のレース活動、ルマン24時間レースでの総合優勝など輝かしい戦績を残した1950年代の黄金期。アストンマーティンには誰もが羨む歴史がある一方で、常に革新に挑み、未来を志向してきた。新しいエンブレムは、こうしたアストンマーティンの姿勢を象徴しているのだ。
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