老後にお金に困ってしまう人の「3つの特徴」

  • 文:川畑明美

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家族もいないお金のない高齢者は、介護施設にも入れず路上で生活するしかなくなってしまう。そんな悲惨な老後の兆候は、現役時代から垣間見えるのだ。istock

病院にも介護施設にも入ることができず、路上で生活するしか余儀なくなった高齢者。そういう行き場のない高齢者が増えている。老後に入り、慎ましやかながらも安定して暮らしている世帯もあれば、現役時代は高年収だったのに老後にお金に困窮してしまう世帯もある。実は、現役時代にも既にその片鱗は見えているのだ。


老後破産の危険がある傾向の世帯は、夫婦共に「お金に疎い」もしくはお金に苦手意識がある方だ。そもそも毎月どのくらいの生活費を使っているのか分からない方は、要注意だ。退職したからといって、支出が大きく減ることはない。会社員としての交際費や食費、ビジネス用の被服代が少なくなる程度だ。


もちろん収入が少なくなるのだから税金や社会保険料は減る。だが収入の割合からすると大きく減るものではない。現在の支出がどのくらいなのか、知らないと老後のお金の対策ができない。ところが家計の支出について把握していないご家庭は、意外に多いのだ。

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貯蓄習慣がない人の老後が危険な理由


また、現役時代に貯蓄習慣ができていない家計もかなり危険だ。意外にも年収が高いご家庭にありがちだ。現役時代は、翌月になればお金が入ってくるので「あればあるだけ使ってしまう」タイプの方は収入が減ったからといって支出を減らせないのだ。実際に、何に使ったかもわからないのに退職金のほとんどを数年で使い果たしてしまうご家庭もある。


節約の習慣がついていないため、収入が減っても、いままでと同じ生活を続けてしまうのだ。年金生活になれば、ガクンと収入が減るのだから、年金収入の範囲内で生活できないと、あっという間に老後破産になってしまう。毎月一定額を貯蓄できる習慣があれば節約も上手になっているはずだ。節約は、ダイエットと同じで生活習慣だ。生活習慣を変えるには、時間がかかる。現役時代から節約のクセをつけておきたい。


また、定年後も住宅ローンが残らないように計画的に返済していくことも必要だ。ただし試算もせずに、退職金で繰上返済するのは逆に危険なので注意して欲しい。キャッシュフロー表などを活用して試算してみよう。それでは、老後に困窮してしまう人の特徴を紹介していく。

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老後に困窮する人の特徴その1
→自分の退職金や年金額を知らない

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ご自身の退職金をもらう時まで知らない方が3割もいる。退職金の支給額も知らずに老後の貯蓄額を計算することはできない。istock

老後にお金がないという方は、「現役時代の自分の状況を把握していない」という特徴がある。まずご自身の退職金がいくらになるのか知らない方が実に多い。フィデリティ退職・投資教育研究所が実施した『高齢者の金融リテラシー調査』によると退職金を受け取るまで金額を知らなかった方は31.6%もいたのだ。「定年退職前半年内」と回答した人と合わせると半分以上の方が事前に知らない。


退職金は、退職後の生活の大切な資金源だ。それを事前に把握していなければ老後資金の対策はできない。退職金の計算方法を知らない方は、今すぐ調べて欲しい。会社の就業規則を調べてみよう。


また「老後の生活が不安なんです」とご相談にいらした方で年金定期便を見ていない方もいる。アドバイスするにも、受け取る年金額がまったく分からないのでは、何の助言もできない。50代になれば、受け取る年金の見込額が記載してあるのだから、まずはご自身の年金額を調べて欲しい。

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老後に困窮する人の特徴その2
→ 成人した子どもの援助をしている


次に危険なタイプの方は、子どもが大学を卒業しても、大学院や専門学校の学費を援助しているケースだ。子どもに小さい頃から、家計の状況や生活設計などをある程度伝えておけば、子どもも親にできるだけ負担をかけないよう行動し、責任を持って奨学金の返済も行うものだ。


「お金のことは心配しなくていい」と親が家計の事情を子どもにきちんと説明していないと、老後に困窮するのは火を見るよりも明らかだ。親の介護と子どもの教育費とご自身の老後資産の準備となれば何かを切り捨てる必要がある。


最近は、晩婚化の影響で出産年齢が遅くなる傾向にあり、定年と教育費のピークが重なって老後資金の準備が遅れてしまうケースも多い。また晩婚でない場合でも、子どもが独立しても生活費の援助や孫の教育費をねだられ、断り切れず出している内に、数年で老後のお金がなくなってしまうケースもある。

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老後に困窮する人の特徴その3
→親の介護費用の負担が重い

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親の老後の貯蓄が尽きてしまい仕送りをしているご家庭もある。そしてご自身の老後資金を貯められず老後の困窮に陥るケースは高い。istock

突然、親の介護費用が月15万円も必要になったら、あなたはどうするだろう。筆者のビジネスパートナーのご家庭で実際にあった話だ。お義父様が若年性のアルツハイマー病を60歳前に発症し、介護費用が突然降りかかってきたのだ。まだ50代なので年金収入もないしお義父様の老後資金の準備も少なく、子どもがなんとかしなければならない状態になってしまったのだ。


50代のご両親が突然介護になることは少ない例だが、親に資産がなくて、子どもが負担しているケースは意外にも多い。筆者がいただく相談の中にも「親の預金が尽きてしまい年金の不足額を仕送りしているので自分の老後資金がまったく貯まらない」という不安を抱えている方も一定数いらっしゃる。


まずは、お住まいの市区町村で生活福祉資金貸付制度を確認して欲しい。自治体によっては、不動産担保型生活資金の制度がある。不動産担保型生活資金は、持ち家と土地があっても現金収入が少ない高齢者が、その居住用不動産を担保に生活費を借り入れることができる制度だ。高齢者の居住用不動産を担保に月額で貸付を受け、借り受けた高齢者の死亡時または融資期間終了時にその不動産を処分し返済する。


親の介護費用は、親のお金や住宅を含む資産でまかなうのが基本だ。なかなか聞きにくいが、元気なうちに親の資産状況を聞いておくことも大切だ。

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対策していた人は、老後なんとかなる

筆者は投資を始める前には、必ず家計の見える化をお伝えしている。そして現在の保有資産や収支などを調べていただくと、多くの方が目が覚める思いをしている。老後にお金に困る方は、現役時代に家計のお金について把握していないことが多い。自分が毎月いくらお金を使っていて年金の収入はいくらなのか? それは、ご自身でないと調べられないのだ。


また女性の場合、結婚していても最後はおひとり様になる可能性が高い。夫が亡くなった後、受け取れる年金額を把握し、おひとり様になった時の資金を現役時代に貯めておく必要がある。「少しは年金も入るし、何とかなるだろう」なんていうのは、甘い考えだ。


パートナーが弁護士や医師といった一般的には高収入の方でも自営業で国民年金だった場合、遺族年金はでない。夫が亡くなったら年金は、基礎年金のみで月6万5000円程度になってしまうケースも考えられるのだ。「なんとかなる」のは、現役時代から不足額を準備していた方なのだ。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/

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