1. HUBLOT(ウブロ)
スクエア・バン ウニコ キングゴールド セラミック
ウブロ初となる、スクエアフォルムを採用した新作。高精度ムーブメント「ウニコ2」を搭載し、人気コレクション「ビッグ・バン」からインスパイアされたスケルトンダイヤルが特徴。交換容易なストラップの仕様も継承した。ブランドの哲学「The Art of Fusion」を体現する異素材の融合も美しい。
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2. TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
タグ・ホイヤー モナコ ガルフ スペシャルエディション
『栄光のル・マン』でマックィーンは、ガルフ・チームのレーサーと
いう設定だった。アイコニックな水色とオレンジのガルフカラーを3時位置カウンターにも初採用した特別仕様。自社製ムーブメント「キャリバー ホイヤー02」搭載で、機能も申し分ない。
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3. BELL & ROSS(ベル&ロス)
BR 05 クロノ エディシオン リミタダ
航空機のコックピット・クロックに由来するスクエアケースや、4つのビスを施したデザインはそのままに、葉巻に着想を得たゴールドやブラウンのコンビ使いが異彩を放つ。スペイン語で「限定版」を謳うモデルは、葉巻の島キューバにちなんだもの。
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これまでは選択肢が少なく独自の魅力を放つ“異端”であったが、今年大きな注目を集めそうなのが、正方形のクロノグラフだ。新規参入したのは、ウブロの「スクエア・バン」。ブームの火付け役になりそうな勢いで、先行ブランドも改めて脚光を浴びそうだ。
スクエアケースの歴史を語る上で、その先駆者といえばホイヤー(現タグ・ホイヤー)の「モナコ」である。1969年、角型ケースで防水性を備えるという当時では画期的な技術を引っ提げて登場した。しかもクロノグラフ初の自動巻きであった。スティーブ・マックィーンが映画『栄光のル・マン』で着用したレーシング・クロノグラフは、時代の先端を行く花形のデザインとして映ったのだ。
一方で、スクエアのクロノグラフにはレースとは別のルーツもある。それが飛行機のコックピット・クロックである。軍隊が標準仕様として定めるミルスペックでは、本体が角型台座に一体化したつくりを多く採用していた。コックピット・クロックの意匠をルーツにもつアヴィエーションウォッチは、コアな人気を誇るジャンルのひとつだが、その代表格として市場を牽引するのがベル&ロスだ。
ラグジュアリースポーツの流行下においても、スクエアケースのクロノグラフは稀有な存在であり、ホットなカテゴリーとして今後注目されるだろう。
並木浩一
1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。
※この記事はPen 2022年7月号より再編集した記事です。