「Pen」が選んだ、2022年下半期「必見の展覧会」5選

  • 文:はろるど

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奈良美智『A to Z Memorial Dog』2007年 ©︎Yoshitomo Nara Photo: Naoya Hatakeyama

全国にて話題の展覧会が続く2022年。下半期においても、20世紀の建築や工業デザインの分野に大きな影響を与えたジャン・プルーヴェの大規模展覧会をはじめ、「もの派」の重鎮、李禹煥の回顧展、それに京都にて単独開催される『アンディ・ウォーホル・キョウト』など見逃せない展覧会が目白押しだ。特に見ておきたい展示を会期順にピックアップする。

1.『ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで』@東京都現代美術館【7/16~10/16】

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ジャン・プルーヴェ『「メトロポール」住宅(プロトタイプ)』1949年
 Galerie Patrick Seguin © Galerie Patrick Seguin © ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 C3892

アール・ヌーヴォー全盛期のフランスに生まれたジャン・プルーヴェ。1930年代にスチールといった新たな素材を用いた家具の仕事を担うと、自らを「構築家」と位置づけて解体・移築可能な建築物を設計し、20世紀における建築の未来を切り開いてきた。本展では、プルーヴェが手がけたオリジナルの家具や建築物の約120点を、図面やスケッチなどの資料とともに公開。貴重なプルーヴェのインタビューを含む映像も上映され、デザインと生産をトータルに捉えながら、大量生産の要請にも応えたプルーヴェの豊かな構想力を知ることができる。またプルーヴェは多くの人々に住宅を提供しなくてはならないという信念のもと、第二次世界大戦中の難民のための一時的な住居や、工期の短いプレファブ式の建物を多く手がけてきた。まさにいま、世界中で相次ぐ災害や戦争によって多くの人々が家を失う状況が続いているが、変化する環境へフレキシブルに対応しようとしたプルーヴェの取り組みが改めて重要な意味を持つだろう。

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マクセヴィルのアトリエ・ジャン・プルーヴェにて(1955年頃) © Centre Pompidou-MNAM/CCI-Bibliothèque Kandinsky-Dist. RMN-Grand Palais

開催期間:2022年7月16日(土)〜10月16日(日)
開催場所:東京都現代美術館 企画展示室 1F/地下2F
東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mot-art-museum.jp

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2.『国立新美術館開館15周年記念 李禹煥』@国立新美術館【8/10~11/7】

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『線より』 1977年 岩絵具、膠/カンヴァス 182 × 227 cm 東京国立近代美術館

1960年代後半より本格的なキャリアをスタートさせた李禹煥(リ・ウファン)は、ものともの、ものと人との関係を問いかけながら、ものを寄り合わせた「新たな場」を作り上るべく、いまに至るまで一貫して創作を続けてきた。その李の代表的なシリーズである〈関係項〉をはじめ、〈点より〉や〈線より〉といった絵画など、約58点の新旧の作品が国立新美術館にて公開される。また李自身がプランニングした展示構成や、壁に直接絵画を描く《対話─ウォールペインティング》もお目見えし、ホワイトキューブに作品がどのように響き合うのかにも注目が集まる。国内での大規模な個展は、横浜美術館にて開かれた『李禹煥 余白の芸術展』(2005年)以来、17年ぶり。その間も直島(香川県)に自らの作品を展示する李禹煥美術館を開館させ、ポンピドゥー・ センター・メッス(フランス)にて個展を開くなど、ますます旺盛に活動を続けている。意外にも初の東京での大規模な回顧展にて、李の未来に向けた新たな境地を目の当たりにしたい。

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李禹煥、鎌倉にて、2022年 Photo© Lee Ufan, photo: Shu Nakagawa

開催期間:2022年8月10日(水)~11月7日(月)
開催場所:国立新美術館 企画展示室1E
東京都港区六本木7-22-2
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://leeufan.exhibit.jp
※兵庫県立美術館(12月13日~2023年2月12日)へ巡回。

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3.「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」 奈良美智展弘前 2002-2006 ドキュメント展@弘前れんが倉庫美術館【9/17~2023/1/28(予定)】

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『YOSHITOMO NARA + *graf* A to Z』展示風景(2006年) ©︎Yoshitomo Nara 撮影:永野雅子

現代美術作家の奈良美智が高校までを過ごした、青森県弘前市に建つ弘前れんが倉庫美術館。日本で初めてりんごシードルが作られた場所として知られ、長く倉庫として利用された歴史的建造物では、煉瓦倉庫の時代に奈良美智の展覧会が3回開催されている。そのうち2006年の『YOSHITOMO NARA + graf A to Z』展では、延べ1万人のボランティアによって準備、運営されるなど、地域が一体となって展覧会を支えた。そして最初の個展から20年、美術館開館の契機となった3度の展覧会に光を当てるのが、「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」 奈良美智展弘前 2002-2006 ドキュメント展だ。ここでは過去の展覧会に出展された絵画作品をはじめ、ポスターといった印刷物や資料、さらに写真家の永野雅子と細川葉子の撮影した展覧会の準備の様子や、展示風景写真などが公開される。『A to Z』展の当時、市内のデパートではグッズを販売する特設コーナーが設けられ、ねぷたまつりには「ならねぷた」も登場したというが、再び奈良美智と弘前、そして美術館と関わる人々から新たなエネルギーが生み出されていく。

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「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」開催中の様子(2006年) 提供:NPO法人harappa

開催期間:2022年9月17日(土)〜 2023年1月28日(日)予定
開催場所:弘前れんが倉庫美術館
青森県弘前市吉野町2-1
TEL:0172-32-8950
www.hirosaki-moca.jp

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4.『アンディ・ウォーホル・キョウト』@京都市京セラ美術館【9/17~2023/2/12】

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アンディ・ウォーホル 『最後の晩餐』 1986年 アンディ・ウォーホル美術館蔵 © The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York

アメリカのポップアートの旗手として知られ、マルチクリエイターとして活躍したアンディ・ウォーホル。キャンベル・スープ缶といった日用品や、マリリン・モンローなどの有名人を題材としたシルクスクリーンの絵画はあまりにも有名だが、1950年代に若きウォーホルが世界を旅した際、約2週間日本に訪れ、京都にも滞在し様々なスケッチを残したことは深く知られていない。その京都の地にアンディ・ウォーホル美術館(ピッツバーグ)から門外不出の『三つのマリリン』をはじめ、大型の『最後の晩餐』などの約200点もの作品がやって来る。展示では商業イラストレーターとして活動していた初期の作品から、死や死亡記事をモチーフとした「死と惨事」シリーズ、そしてテレビ番組などの映像から注文肖像画、また晩年の作品までを網羅。京都でのスケッチも公開され、のちに制作した手彩色の生け花のドローイングに見られるように、ウォーホルがインスピレーションを受けた日本の魅力や日本との関わりについても紹介する。巡回はない。コロナ禍により2年延期され、今年になってようやく実現した京都だけのスペシャルなウォーホル展となる。

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アンディ・ウォーホル『京都(清水寺)1956年7月25日』 1956年 アンディ・ウォーホル美術館蔵 © The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York

開催期間:2022年9月17日(土)~2023年2月12日(日)
開催場所:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
京都市左京区岡崎円勝寺町124
TEL:075-771-4334
www.andywarholkyoto.jp

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5.『すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合』@大阪中之島美術館+国立国際美術館【10/22~2023/1/9】

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吉原治良『作品(黑地に白丸)』 1967年 大阪中之島美術館蔵

1954年に吉原治良が阪神地域の若い美術家たちと結成した「具体」こと具体美術協会。「これまでになかったものを創れ」をモットーに、既存の表現の形式を打破するべく、美術館を飛び出すようにしてさまざまな場所にて作品を発表していく。そして1972年に吉原が亡くなるまで活動が続くと、当時はほとんど理解されなかったものの、のちに環境芸術やパフォーマンスアートの先駆けとして欧米にて再評価が進み、戦後日本を代表する前衛美術グループ「GUTAI」として知られてきた。その具体は大阪での活動拠点を、中之島の古い土蔵を改装した「グタイピナコテカ」に構えていた。解散して50年。節目となる今年、ともに中之島に位置する大阪中之島美術館と国立国際美術館の2つの美術館にて具体の活動を紹介する展覧会が開かれる。具体の美術家らが多く集い、海外の作家の展示も開かれた「グタイピナコテカ」は、今日のおけるオルタナティブ・スペースともされるが、半世紀を経たいま、久しぶりに中之島が具体の熱気に包まれる。

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松谷武判『繁殖 65-24』 1965年 国立国際美術館蔵

開催期間:2022年10⽉22⽇(⼟)〜2023年1⽉9⽇(⽉・祝)
開催場所:大阪中之島美術館+国立国際美術館
大阪市北区中之島4-3-1(大阪中之島美術館)、大阪市北区中之島4-2-55(国立国際美術館)
TEL:06-6479-0550(大阪中之島美術館)、06-6447-4680(国立国際美術館)
https://nakka-art.jp
www.nmao.go.jp

※掲載した情報は2022年6月時点のものです。各展覧会とも臨時休館や会期の変更、また入場制限などが行われる場合があります。事前にお確かめください。

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