デニム3大ブランドの1つ、ラングラーの名品シャツをF/CE.が大胆にアレンジ!

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)
  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:井藤成一

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モデル名は「127MW DENIM SHIRTS by F/CE.」。多くの有名人にも愛用された「27MW」の後継モデルとして70年代に登場して以来、ロングセラーを続ける名品「127MW」をアレンジしたモデル。シルエットをビッグにして、ポケットの大きさを変えているが、ポケットの「Wステッチ」など一目でラングラーのデニムだとわかる。サイズ展開はS、M、Lの展開。¥30,800(税込)/ラングラー×F/CE.(F/CE. フラッグシップストア 東京)

「大人の名品図鑑」デニム編 #6

スポーティなファッションの流行であまりスポットライトが当たらなかった「デニム」が最近、復活の兆しを見せている。考えてみれば「デニム」は永遠の輝きをもつもので、流行やブームとは異なるポジションにあるものだ。今回はそんな「デニム」の名品の魅力を追う。

リーバイス、リーと並ぶアメリカの3大デニムブランドのひとつがラングラーだ。

ラングラーの母体となった会社は、C.C.ハドソンと弟ホーマーが1904年に創業した「ハドソン・オーバーオール・カンパニー」だと言われる。事業が拡大し、19年に「ブルーベル・オーバーオール・カンパニー」と社名変更、自社工場を建設するまでに発展した。自社で47年に発売したブランドが「ラングラー」。ラングラーとは「牧童」を意味していた。ブランドを立ち上げるときに協力を仰いだのは、当時ハリウッドの西部劇映画の衣装デザイナーであったロデオ・ベンで、彼は「13MWZ」という名作ジーンズをデザインする。

『デニム・バイブル』(グラハム・マーシュ、ポール・トリンカ、ジューン・マーシュ著 ブルース・インターアクションズ)には、1970年代にアメリカのデザイナー、カルバン・クラインが女優ブルック・シールズをキャンペーンガールに起用し、初めてデザイナージーンズをつくったと書かれている。しかしロデオ・ベンはそれよりも30年早く、デザイナーとしてジーンズを製作したことになる。余談になるが、ロデオ・ベンはウエスタンシャツのスマイルポケットやスナップボタンを考案した人物で、もともとはテーラーだったと聞く。

ラングラーのデニムはブランド名の由来通り、ウエスタンやカウボーイに因んだ特徴を多くもつ。ジーンズのリベットは鞍(サドル)が傷つかないように、表面から突起をなくしている。ウォッチポケットの位置も独特で、ウエストバンドのすぐ下に付いている。これは馬に乗って激しい動きをしても、中に入れたものが飛び出さないようにと考えられたもの。鞍に座った状態で楽なように股上も深くデザインされている。その「13MWZ」は、75年には全米プロ・ロデオ・カウボーイ協会から公式ジーンズとして認定されている。

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名品デニムシャツ「127W」をアレンジ

ラングラーは、ウエスタンテイストのデニムシャツでも名品をリリースしている。1950年代に発売された「27MW」というモデルのシャツがそれだ。両胸に付いたポケットはアイコンである「Wステッチ」が入り、前合わせにはウエスタンシャツらしいスナップボタンの仕様。袖ボタンももちろんスナップタイプだ。肩のヨークのデザインもいかにもウエスタン風で、デニムウエスタンシャツのお手本とも言える名品。ポケットが吊り上がったデザインの初代「27MW」は、スティーブ・マックイーンが愛用したデニムシャツとしてよく知られている。

今回紹介するのはこの「27MW」の後継モデルで、70年代に発売されて以来ロングセラーを続ける「127W」をベースに、日本のファッションブランド、F/CE.(エフシーイー)とコラボレーションしたモデル。胸ポケットの「Wステッチ」やフラップに付いたペン差しなど、このシャツの特徴的なディテールはそのままに、大胆にアレンジが施されている。身頃をたっぷりとしたシルエットにデザインし、袖は短めにしたオーバーサイズ。ポケットのサイズもかなり大きく、切っぱなし風に仕上げられた裾も洒落ている。羽織るようにブルゾン感覚で着用できるし、ユニセックスで男女ともに着ることが可能だ。

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ロングセラーのシャツにファッション性をプラス

このデニムシャツをデザインしたF/CE.は、山根敏史と山根麻美が2010年に創設したブランド。機能的で高品質なウエアやバッグが有名で、世界各国のカルチャーをデザインのインスピレーションとして、新たな発見や気づきをもたらすクリエーションを追求し続けている。いちばん重視しているのが機能とファッションの融合。スタイル、シルエット、パターンメイキング、素材などを複合的に掛け合わせることで、自分たちのコレクションをクリエーションしている。そういう意味では今回、ラングラーとコラボレーションしたデニムシャツもF/CE.らしいアイテムと言えるが、40年代にロデオ・ベンというデザイナーをフィーチャーしてファッション性の高いジーンズを創造したブランドらしい取り組みとも言える。

ちなみに今回のラングラーとのコラボレーションでは、デニムシャツ以外にも「77MWZ ブーツカット」や「ランチャードレスジーンズ」をベースにした個性派のジーンズ、カウボーイジャケットをアレンジしたシャツジャケットなどが用意されている。どれも老舗の名品に敬意を払いながら、F/CE.らしいデザインワークが光る逸品に仕上がっている。

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襟にはラングラーとF/CE.のダブルの織りネームが付けられている。

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左ポケットの右フラップにはペン差し用のスリットが設けられている。これもラングラーのデニムシャツのアイコン的なディテールだ。

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F/CE.とのコラボアイテム以外にも、ラングラーのデニムシャツはいろいろなデザインが揃っている。右はシャツ全面に刺しゅうが施されたモデルで、左がデニムシャツをリメイクしたモデル。名品があるからこそ出来るデザインワークと言える。各¥17,600(税込)/ラングラー(エドウイン・カスタマーサービス︎)

問い合わせ先/エフシーイーフラッグシップストアトウキョウ TEL:03-6452-5867

http://fce.tools/

エドウイン・カスタマーサービス︎ TEL : 0120-008-503

http://wrangler-jeans.jp/

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