「ハリー・ポッター」「ファンタビ」の人気の秘密とは? 全作品の製作に携わるプロデューサー、デイビッド・ヘイマンに聞く

  • 文:立田敦子
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© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved Wizarding World™ Publishing Rights © J.K. Rowling WIZARDING WORLD and all related characters and elements are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc.

『ハリー・ポッター』シリーズの原作者J.K.ローリングが創造した“魔法ワールド”の新シリーズ『ファンタスティック・ビースト』の第3弾となる『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』がいよいよ公開される。『ハリー・ポッターと賢者の石』の70年前を舞台にしたこのシリーズは、『博士と彼女のセオリー』(14年)で第87回アカデミー賞主演男優賞を受賞した英国の実力派スター、エディ・レッドメイン演じる魔法動物学者ニュート・スキャマンダーとその仲間たちが活躍するファンタジー超大作だ。

「自分もそうありたい」と思えるキャラクター造形

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デイビッド・ヘイマン

 “ハリポタ”の第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(01年)がスクリーンに登場してから20年あまり。映画界を席巻しているこのメガヒットシリーズを牽引しているのが、1997年にJ.K.ローリングより映画化権利を取得し、全作品の製作に携わっているプロデューサーのデヴィッド・ヘイマンである。ハリウッドでは成功した大作のフランチャイズ化は珍しくないが、それでも続けていくうちに飽きられ、尻窄みになりがち。これほどまでに、長きに渡って観客の興味を惹きつける秘訣はいったい何なのか。

「“秘密兵器”はJ.K.ローリングだろうね。もはや“秘密”とは言えないほど彼女は有名だけど。ローリングはものすごい想像力の持ち主で、時代を問わない普遍性がありながらも、現代人にアピールするキャラクターを生き生きと描くんだ。魔法の世界の話なのに、人間味のある物語を語っている。それが、長きに渡ってずっと愛され続けている秘密なのだと思う。観客がキャラクターらを応援する気持ちになれてこそ、魔法だって意味をなすのだから。私が『ハリー・ポッター』の小説を初めて読んだのは1997年のことだから25年前のことになるわけだけど、今でも興奮を覚えるんだ」

J.K.ローリングの描く世界の魅力は、想像力を刺激するファンタジーにあると思いきや、“共感”こそが人気の秘密なのだとヘイマンは明かす。

「学校が舞台の『ハリー・ポッター』シリーズで好きな先生や嫌いな先生、好きな仲間や嫌いな仲間が登場するけれど、それは誰しもが10代の頃に経験してきたこと。なので、ハリーやロンやハーマイオニーに共感を覚えるんだと思う。『ファンタスティック・ビースト』シリーズに登場するニュートやマグル(非魔法族)のジェイコブといったキャラクターはみんな孤独を抱えたアウトサイダーで、他者とのつながりを求めている。そして、彼らは正義のために戦う。個性はさまざまだけれど、彼らに共通しているのは、観客が共感し、「自分もそうありたい」と思えるキャラクターだということなんだ。私自身、キャラクターに夢中になることとその作品が好きになることはほぼ同じなのでよくわかるんだ。もちろんビジュアルやスケール感も大事だが、何よりも登場人物たちと時間を共にしたいという気持ちが強い。(監督の)デイビッド・イェーツはそこを大事にしてくれるところが素晴らしいんだ」

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新キャスト、マッツ・ミケルセンの名演

また、J.K.ローリングの世界は「政治的」であることも特徴だが、それも子どもたちだけでなく、大人の観客からも評価されている理由である。ハリポタの「学校」からファンタビでは「政府」に舞台が移った。特に、第二次世界大戦を背景に描かれる本作は、その傾向がより顕著だ。

「この作品に登場する過激な思想により分断された世界は、今日の私たちにとって馴染みのあるテーマといえる。2作目は1作目より、より政治的だった。そして3作目は、彼らの歩む道について語ることになる。ダンブルドアというキャラクターについて掘り下げていくことも、第3作目の面白さだと思う」

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“史上最も偉大な魔法使い”アルバス・ダンブルドア先生(ジュード・ロウ)は、未来を見る能力をもち、魔法使いがマグル(非魔法族)を支配する世界をつくろうと画策する史上最悪の“黒い魔法使い”ゲラート・グリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)を阻止するために、ニュートとその仲間たちで構成されるチームを率いて、大胆不敵な戦略を練る。のちにホグワーツ魔法学校の校長になるダンブルドアという存在感のあるキャラクターと旧知の仲であるグリンデルバルドとの確執は強まるが、タイトルにもあるように、これまでほとんど語られてこなかったダンブルドアの知られざる姿が、映像によって明らかにされるところは、本作の最大の見どころだろう。

「それに、ハリポタで見てきたホグワーツの魔法学校が登場することもファンにとっては魅力的ではないかな。なんといっても『ハリー・ポッター』シリーズの8作品中7作品の主な舞台なのだから」

ヒットシリーズだけに期待も高く、プロデューサーとしては常にプレッシャーにさらされている。

「過去の作品の良い点と悪い点を振り返り、調整することは大事だよ。前作はちょっとダークすぎる仕上がりになったと思うので、本作は、ダークなところやドラマチックなところを描きつつも、もう少し軽やかさやユーモア、優しさやロマンティックな部分を強調することにしたんだ。私は自分の手がけてきた作品は全て誇りに思っているけれど、出来上がった作品はどうしても批判的な目で見てしまうことは確かだね。この仕事に失敗はつきものだけど、それを繰り返したくはないからね」

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本作からグリンデルバルドを演じるマッツ・ミケルセン。© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved Wizarding World™ Publishing Rights © J.K. Rowling WIZARDING WORLD and all related characters and elements are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc.

本作の最大のチャレンジのひとつは、キャラクターの数の多さだったというが、グリンデルバルト役のジョニー・デップが降板した気苦労も大きかったに違いない。幸い新たなるグリンデルバルトに起用されたのは、デップに勝るとも劣らない人気を誇るデンマーク出身の名優マッツ・ミケルセンである。

「グリンデルバルドが車から降り立ち、そのまま危険を顧みずに信者の群衆の中へ入っていくシーンは品性と説得力があり、信者がついていくのも納得できるほどだ。『これだけの力を持つ魔法使いがマグル(人間)に従属する必要などあるか』という彼の言い分には説得力がある。もちろんその力の使い所は間違っているのだけどね」

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

監督/デイビッド・イェーツ
出演/エディ・レッドメイン、ジュード・ロウほか 2022年 アメリカ映画
2時間23分 4月8日(金)全国ロードショー

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