【着る/知る】 Vol.127 情報収集の達人、PRの男たちが着る2022年春の私服

  • 写真・文:高橋一史
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キメキメに着飾ることはないのに、いつ会っても洒落ていると感じさせる男がいる。今回の「着る/知る」は、そんな男たちの2022年春スタイルを探った。登場してもらったのは日々幅広いファッション関係者に接して、エッジーな感性を肌で感じている若手PRスタッフ3名。変化してきた現在の装いを、私物コーディネートで披露。彼らの着こなしから「いま何がカッコいいのか」を見出そう。

西澤祐哉/スタジオファブワーク+エンケル

「色を着る、とにかくいまはその気分」

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たっぷりとした分量のシャツとパンツのセットアップ。袖をまくってバランスを整えるのが着こなしのセンス。インナーと袖口に白をチラ見せしてクリーンな印象に。

日本ブランドを多数取り扱うスタジオファブワークとエンケルに勤務する西澤さんが見せたスタイルは、鮮やかなブルーのセットアップ。
「これが黒や白なら購入しなかったと思います。色に惹かれたんですよ。時代の主流は長いことペールトーンやアースカラーでしたが、自分としては色アイテムしか目に入らないくらい完全に切り替わりました。世の中はまだおとなしい色の人気が続きそうですが、ワンポイントだけでも強い色を取り入れる着方はお薦めです」
そう話す彼が今春に購入したのがこのウル(URU)の上下だ。
「ハリがありつつもペラッとした独特の生地の風合いと、ウルらしい工夫されたシルエットに惹かれました。生地はタスランナイロンというコットン調の化繊です」

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ブルーは西澤さんの大好きカラー。某運送会社と偶然にもリンク(笑)。スニーカーがウクライナ国旗カラーなことに深い意味はないらしい。

足元はインパクトのあるアシックスのシューズ。
「キコ・コスタディノフとのコラボモデルです。スニーカーはアシックスしか履かなくなりましたね。アシックスの履き着心地を知ってしまうと、ほかのを履けなくなる」
テンベアのスエードバッグもスタイリッシュだ。
「ブルーが好きだから意識せずともワードローブがブルーだらけになってしまうのですが……こういうバッグはシンプルな服装のアクセントにもいいと思います。僕のように全身をカラフルにしなくても、普段の服装に加えるだけでお洒落になりますから」
西澤さんの話を聞いていると、日差しが暖かな春こそ色アイテムにチャレンジしたくなる。

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穏やかな物腰でスタイリストに服をリースしたり、ブランドのイベントのアテンドを行う毎日。

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稲垣大貴 /alpha PR

「去年はダボダボ、今年はパンツをスリムに」

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さりげなくいいモノを身に着けたスポーティクールなスタイル。全身を黒でまとめてもインナーは白Tにして、清潔感をプラス。

東京流大人スタイルを代表するアルファPRに勤める稲垣さんの自分定番は、黒・白・グレーの色。新しい時代感のポイントはシルエットだ。
「去年は全身をダボッとさせる着方をよくしてました。このシルエット傾向はもう2〜3年ほど続いたでしょうか、少し飽きてきまして。パンツだけは細くするのが最近の気分です。上はワイドのままで、下だけを変えるイメージ。その逆でもいいと思いますが、自分の場合はこのバランスにしてます」
世界の先端モードシーンでもまだオーバーサイズが多いが、そこから脱却する動きも広がっている。稲垣さんのようにワンポイントで変化をつけるのは取り入れやすそうだ。
「細身のパンツって大人なら皆が穿いたことがあり、古いのをタンスに眠らせてるじゃないですか。それを引っ張り出して着ればいいと思うんですよ」
奇しくも現在は古着が大流行中。着古しでもファッションとして活用できるいい時代だ。

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細身のパンツのときはシューズも同じ色にして脚長に見せるのが着こなしセオリー。
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ブラックデニムは前と後ろで生地を切り替えた個性的なデザイン。何着も所有するブランド、ブレス(BLESS)のもの。

「デザイン性のある服も気になります。今日穿いてるのは昔買ったパンツで、一見するとシンプルですが実は凝ったデザイン。近ごろはデニムが注目されてて、個人的に惹かれるのはブラックデニムです。ブルーより洒落て見せやすいと思いますし」
彼が言うようにデニム復活の流れは静かに、着実に進行している。ブルーだと野暮ったくなりがちな人こそ活用すべきはブラックだ。稲垣さんの提案に膝を打つ人は多いだろう。

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いつも帽子姿の稲垣さんの愛用品はエルメスのバケットハット。「形が好き」ということで、同じ型をフリマで探して買うほどのお気に入り。

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伊藤 誉/ムロフィス

「山登りで体感したレイヤリングを街なかでも」

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テック系とトラッドをミックスしたアウトドアベースのコーディネート。さりげなく街に溶け込む。

スポーツブランドと深く関わるPRオフィス、ムロフィスに勤める伊藤さん。アウトドアでの体験とリンクする着こなしをタウンでも楽しみたいという。
「去年から本格的に山登りするようになり、山では一般的な体温調整のためのレイヤリング(重ね着)をして服を着る習慣ができてきました。去年の春は普段着でパーカやスウエットをよく着ていましたが、今年はレイヤリングアイテムを着るつもりです」
そう語る伊藤さんの今日の着方は、上半身がジップネックのウインドシェル上にベストを重ねたレイヤード。テック系の薄手生地にすることで夜は寒い春先の気候に対応させている。パンツは白コットンでクリーンにして足元はレザーシューズ。スポーツに偏りすぎないコーディネートだ。

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シューズは愛用中のパラブーツのデッキタイプ。「スニーカー並、とは言い過ぎでしょうがすごく履きやすいです」と伊藤さん。
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テック系2枚重ねの裾からTシャツをチラ見せ。ちょっとした技が着こなしに動きを生む。

アウトドアは現代のライフスタイルの重要なファクター。コロナ禍で勢いが加速してウエア類の人気も高い。伊藤さんが着ているのはファッション寄りにデザインされたテック系ウエアだ。
「長袖はハイテクなパーテックス素材を使ったキャプテン サンシャインのもの。ベストはダイワピア39です」
ロゴマークが主張していないから街着にしやすい。アイテム選びの参考になるチョイスである。

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スポーティーな服装でも顔周りは端正に。都会的に着るポイントのひとつだ。

このたび登場してもらった3名の着こなしはいかがだっただろうか。カジュアルにリラックスさせながらも、自分流のピリッとした要素を加えている点で共通している。新しい服装にトライする好奇心を忘れずに、次なる時代に向かう彼らを見習いたい。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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