ファッションブランドが医療着をデザイン、ハイセンスな服は医師と患者になにをもたらすのか

  • 文:高橋一史

Share:

RM_img_wc00021.jpg
医療着メーカーのクリュッグがファッションブランドのレインメーカーとコラボした、すっきりとした襟の和風ドクターコート。男女を問わないジェンダーレスタイプ。

ファッションデザインの役割とは一体なんだろうか。お洒落な人をより一層お洒落にすること?大衆が憧れるセレブに向けた贅沢品づくり?決してそれだけではないはずだ。魅力のある服装は着る人に自信や尊厳をもたらしてくれる。たとえ着る当人が無自覚でも、確実に心に作用するもの。その一例に挙げられるのがミリタリーウエアである。これをカッコいいと感じる人が多いのは当然のこと。過酷な現場で生きる兵士の士気を高め誇りを与えるために、ミリタリーウエアはカッコよく“なければならない”からだ。高機能かつスタイリッシュであることが必須条件。これぞファッションデザインの真骨頂と言ってもいいだろう。

医療の現場で着られる服も、ミリタリーウエアに近い存在といえる。白衣のドクターコートや、手術衣でもあるスクラブシャツは、医療従事者が毎日着るユニフォーム。高品位なものを身につければ、ストレスを軽減でき仕事に集中できる率が高まるかもしれない。患者が安心できる人物に見せる演出も大切だ。品格や知性が表現されたセンスのある装いが望ましい。

医療着を手掛けるクリュッグ(KLUG)がこのたび行ったコラボレーションシリーズが、その一助になるだろう。コラボ相手は日本的美学に基づくファッションブランドのレインメーカー。京都を拠点にして着物のようなロングコートをラインアップする同ブランドが提案する新ドクターコートは、テーラード襟を取り外してVゾーンをすっきりと見せた新タイプ。スクラブシャツは日本の伝統色を採用し、隠しボタンで同様にVゾーンの美しさを高めた。巧みな工夫でスタンダードを美しくアップデートさせている。

ファッション業界で多様性がキーワードとして叫ばれるなか、ダブレットは2022-23年秋冬コレクションで車椅子の人がサッと肩に掛けられてずり落ちないジャケットを発表した。ワークマンはタイトフィットで普段着に見える工事現場用作業着を、ワークウエアスーツ(WWS)はテーラードスーツ型作業着を開発して好評を得ている。ファッションが切り開ける人々の豊かな生活フィールドは、まだまだ果てしなく広い。

---fadeinPager---

RM_img_wc00008.jpg
ミニマルな表情を追い求めた白衣。生地は高級なスーピマ綿をベースにした伸縮性のあるもの。両脇ポケットはフラップつき(写真はフラップを中に入れた状態)の両玉縁仕様。両胸内側のポケットも本格テーラード仕立てだ。1〜7までの幅広い7サイズ展開。¥39,600(税込)
RM_img_sc00001.jpg
制菌、静電気防止、透け防止、防シワなどの機能を持たせた化繊生地のスクラブシャツ。これもユニセックスタイプで、S〜3Lの5サイズ展開。¥12,100(税込)
RM_img_sc00003.jpg
スクラブシャツのネック開閉はスナップボタン式。筆記具などを差す胸ポケットのほか、両サイドにもポケットつき。※記事内掲載アイテムはすべて、3月26日(土)より発売。

クリュッグ×レインメーカー特設サイト

https://klug-store.com/rainmaker/

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。