ファッション連載「着る/知る」の今回の内容は、セレクトショップが2022年春夏シーズンに打ち出している服。いま何を着れば洒落ているのか、ハイセンスなラインアップからその傾向を探った。
ニューノーマル生活のもとでパーソナル志向が高まり、好きな服を好きに着る風潮が生まれた。お互いが個性を認め合う時代の到来である。それはつまり“トレンド不在の時代”でもあり、それでも一定の傾向が存在するのがファッションの面白さだ。それを知っておけば着こなし方に変化が生まれ、会う人にモダンな感性をアピールできる。手持ちのワードローブのうち、どれを積極的に着ればいいか気づくだけでも役立つだろう。
全国展開する規模のセレクトショップはシーズン立ち上げ時期に、メディア関係者などを招いてラインアップを披露する。ここに掲載したスナップはその内覧会の様子である。ビームス、ユナイテッドアローズらの有名どころが着目する、“いまの日本”を見ていこう。
最注目はカラーアイテム

今季に各ショップがもっとも力を入れている提案がカラーアイテム。都市部で黒・紺・白のストイックな色が長く支持されてきたことへの反動でもあるが、何よりもコロナ禍の鬱屈を色で吹き飛ばしたい気分の表れが大きいだろう。注目の色は記事冒頭写真のビームスFと、上のユナイテッドアローズに共通するグリーン系のペールトーン。着方しだいでミリタリー風にもなり、男性がワードローブに取り入れやすいカラーだ。

---fadeinPager---
リゾート気分のエスニック柄を着こなす


今季らしい柄の代表格が、ボタニカル柄やエスニック柄のプリントもの。日頃はシックな服装を好んでも、リゾートとリンクする華やかなデザインを着たい気分の人は多いだろう。気軽に取り入れるなら、ここに掲載したようなシャツがよさそうだ。夏の定番のアロハ感覚で一捻りした着こなしができる。マスクで顔が見えない社会で暮らしているからこそ、服で笑顔を表現したい。

シルエットはオーバーサイズが継続


デザイナーズの最新コレクションではスリム化の動きも見られるものの、一般層向けのセレクトショップはまだまだオーバーサイズが主軸。一時期勢いがあった全身スリムなビジネス系スタイルは、すっかり過去へ追いやられたようだ。大人がオーバーサイズを着るときはインナーだけタイトにしたり、パンツを細身にするなどバランスにメリハリをつけると知的な印象になりやすい。

---fadeinPager---
ユニークなモチーフは、釣り!


釣りブームの流れを受けて、ダイレクトに釣りモチーフを用いたユーモラスなアイテムが登場。国内外のフィッシングウエアブランドもセレクトショップが次々にラインアップに加えており、2020年代の大きな潮流になっている。コロナ前から人気が拡大していたアウトドアライフの勢いも衰える気配がなく、釣り周辺はますます盛り上がっていきそうだ。
スニーカーはニューバランスが本命か

大ブームになった約10年前から一巡して、再び愛用する人が増えてきたニューバランス。初めて復刻されるモデルやモダンデザインの新作も個性的で話題に事欠かない。日本発信の東京デザインスタジオ ニューバランスが次々に仕掛ける企画も面白く、ファッションシーンでの新しい位置づけに一役買っている。今年はニューバランスを履いておけば間違いなさそうだ。
大人のシャツは麻素材から選ぶ

上写真のコーディネートのシャツは、一昔前からアイロンの効いたドレッシーなブルーストライプだったかもしれない。それだとキメキメな印象になるところを、自然なシワのついた洗いざらしの麻シャツでさりげなくドレスダウン。通気性がよく汗もすぐ乾く麻のシワを良しとするファッション感が、テレワークの広がりで定着してきたようだ。近年に少しずつ増えてきた麻アイテムに、今年はどのセレクトショップも力を入れている。一度着るとやみつきになる快適な麻に袖を通す絶好の機会を大いに活用しよう。
ここに紹介した今年の傾向以外にも、お伝えしたい旬のファッションスタイルはまだたくさんある。ファッション連載「着る/知る」の今後もぜひチェックしていただければ幸いだ。

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。