
通称“まん防”こと、まんえん防止充填措置が、筆者が住む東京でも延長された。筆者は呑気に「もうすぐピークアウト」と思っていたが、世の中そんなに甘くないらしい。そんな中、2月25日にすごいニュースが飛び込んで来た。それは、塩野義製薬がコロナ飲み薬の承認申請を行ったことである。厚生労働省に製造販売承認を申請したのだ。
まだ臨床試験中だと思っていたのだが、特例で「条件付き早期承認制度」の適用を求めるらしい。もちろん、日本企業としては初だ。塩野義製薬が開発している飲み薬「S-217622」(開発番号)は、感染初期に1日1回、5日間間服用するらしい。(日本経済新聞から引用)。
海外製の飲み薬に加え、日本製も登場して、筆者としてはますますワクワクしている。世界が頑張っている姿が人類として誇らしい。そんなことを思う。何よりも選択肢が増えることが望ましい。ワクチンも薬も、人々が選べることが何よりも大切だと筆者は感じている。製薬会社や関係各所が切磋琢磨して、進化してゆくことが何より大切だ。
今回のワクチンの臨床試験では、スタートアップ企業が非常に頑張っている。バズリーチである。これまでに、ワクチンの臨床試験の応募総数は約12000人も集めている。臨床試験は、東京、神奈川、名古屋、大阪、京都、福岡、札幌などで行われているという(予定を含む)。以前このコラムでも書いたことがある。その後の様子を今回取材した。
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三回目接種の治験募集をするスタートアップ企業
現在の状況は?前回から発展したことはあるのだろうか?「一番は、塩野義製薬ならびに第一三共の企業名公開の許諾を直接受けて、一般の方に情報を開示して安心して治験という選択肢をお選びいただける様にしました。今後も新たに2社企業名を公開する予定です。ワクチン治験では、これまで企業名を公開しての被験者募集の事例はほぼなく、新たな取り組みとなりました。」と語るのは、バズリーチ社の猪川崇輝社長である。
バズリーチ社のHPを見ると、三回目摂取(ブースター接種)の治験募集がされている。確かに製薬会社2社の社名が記載されている。募集条件は、非感染者で基礎疾患がなく健康な人成人男女。これまでにワクチンを2回接種した人も協力できるといういう。詳細は、ぜひともHPを見て確認して欲しい。
猪川社長は、医療系IT企業に務めた後、このバズリーチを起業。ITの力で製薬企業と患者を繋ぎ、被験者の不足や治験を実施する医療機関の業務効率化など、さまざまな治験の課題を解決するプラットホームを構築している。ミライクというサービスでは、病気や治療において、患者さん同士が繋がり情報交換ができるプラットホームを提供。身体や心の悩みを共有したりアドバイスし合ったりすることで安心感をえたり、アイディアを共有したりするというのである。
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コロナ治療薬の臨床試験にも協力
その他にも、病院や医師、患者が使える様々なプラットホームを構築。ITやスマートフォンを駆使したプラットホームを次々と構築していく予定である。実は新型コロナのワクチンだけではなく、新薬開発の臨床試験にも協力している。
新型コロナウィルスに感染した初期の方が連絡すると、臨床試験ができる医療機関の手配から送り迎えのタクシーの手配まで、ワンストップで行っている。まさにITを使った縁の下の力持ちというところだろう。実は筆者も、年明けにオミクロン株と思われる新型コロナウィルスに感染。検査で陽性反応が出た。新薬の参加をしようとしたのだが、残念ながら諸条件が揃わず、今回は見送りとなった。スマホで申し込んで、あとは電話で詳細の手続きを行った。
非常に敏速だったが、感染後に土日を挟んだこともあって、初期とは言えなかった。残念である。ワクチンや新薬開発に欠かせない臨床試験。だが猪川社長の野望は、新型コロナに限らない。同社は現在5期目スタートアップだが、既に300種類以上の治験を支援。今後は全ての疾患の治験に対応できるようにしていくという。
「今回のコロナワクチン同様に、全ての病気の治療法や予防法を必要する方々に、我々が製薬企業との架け橋(プラットフォーマー)となることで、少しでも治験期間を短縮し、厚労省からの承認を最短距離で得られるようにしていきたいです。日本の治験は60〜70%が計画よりも遅れてしまうのが現状です。全ての病気で悩んでいる方々に治療薬やワクチンの治験情報をわかりやす公開し、製薬企業、患者さんがwin-winになれる世界を作るサポートをしていきます」
ある意味、医療現場でのDX化の促進である。今後、さらなるニュースが続々とあるということなので、注視をしていきたい。進化が楽しみである。