手仕事の温もりが詰まった兵庫の地場産業を世界へと発信

  • 文:黒田祥平

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日本を代表する革のサプライヤーである「ひょうごレザー」と、200年以上の歴史を持つ「播州織」がコラボレート。両者の美点が融合されたファーストシューズを世界へと発信すべく、パリのショップにてポップアップを開催。赤ちゃん用のクツを通じて、パリジャンとパリジェンヌがMADE IN JAPANの物作りを知るきっかけとなった。

兵庫を代表する2つの地場産業がコラボレーション

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国産レザーのおよそ80%を占める「ひょうごレザー」。その名の通り、兵庫県の姫路市やたつの市が主な産地で、原皮から生産し、県内でなめした革だけを認定。腕利きのタンナーがアパレルブランド・バッグブランドの要望に応えた上質なレザーを絶え間なく供給することから、日本だけでなく海外のクライアントも魅了している。その「ひょうごレザー」が、同じ兵庫県の西脇市に200年以上も根付く「播州織」とコラボレーション。

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兵庫が誇る2つの地場産業のコラボで生み出されたのが、歩き始めた赤ちゃんが初めて足を通すファーストシューズだ。職人の手仕事が結晶されたアイテムを世界に知ってもらうべく、フランスはパリのショップ「KINASE」にてポップアップストアが開催された。

柔らかなレザーと色彩豊かな織物をアッパーに

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ファーストシューズのデザインを担当したのはオーダーメイドの注文靴を請け負う姫路市のシューズファクトリー「イシヅカ」の石塚昌美氏。「一つひとつ真心を込めて手作りしました」との想いで生み出されたこのプロダクトは、赤ちゃんの足に馴染んでくれる「ひょうごレザー」のソフトな革と、先染織物を継承する「播州織」ならではの美しいテキスタイルをアッパーにプラス。ベーシックなバイカラー、女の子に似合うショッキングピンク、さらにはトレンド性を感じさせる市松模様をはじめ、多彩な16色ものカラーリングが用意された。

フランスの中でも感性を刺激するパリ6区がポップアップの舞台

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ポップアップの舞台となった「キナセ」は2018年の7月にオープン。居を構えるパリ6区はフランスの中でも洗練された街並みで、高感度なインテリアショップやレストランが点在する。さらには中世に建てられた歴史的な教会、古くからある画廊などもあり、パリのエスプリが効いた感性を刺激されるエリアでもある。

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その「キナセ」はお酒・フード・工芸品などをセレクトするライフスタイル提案型のセレクトショップ。フランスの若手建築家であるエロイーズ・ボスレドン氏が手掛けた空間は、“フランス人の目から見た日本”を表現した流線形にデザインされた。川の流れを彷彿とさせるラックに、ジャパンメイドのあらゆるプロダクトが彩っている。今回のポップアップでフォーカスされた「ひょうごレザー」×「播州織」のファーストシューズもその一つ。パリに住む人々から注目の眼差しが集まった。

ファーストシューズを通じて地場産業を知るきっかけに

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エントランス近くに並べられた色とりどりのアイテムに惹かれ、興味深そうにファーストシューズを手に取るパリジャンとパリジェンヌ。日本では歩き始めの赤ちゃんが履くためのファーストシューズは、フランスでは大切な親族や友人の出産祝いにプレゼントするのが定番だとか。今回のポップアップでもギフトとして検討するゲストが多く、コラボシューズを通じてスタッフに「ひょうごレザー」と「播州織」の歴史や生産背景を尋ねる人も見受けられた。

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赤ちゃん用シューズのポップなデザインに秘められた、熟練した職人ならではの卓越した技術。先人から受け継がれてきたMADE IN JAPANの地場産業は、ファッションに対してこだわりを持つパリの人々を大いに喜ばせた。

問い合わせ先/兵庫県皮革産業協同組合連合会 TEL:079-285-3872 
http://www.hyohiren.or.jp