なぜ「将来が不安な人」ほど貯蓄に挫折するのか?

  • 文:川畑明美
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将来に備えて貯蓄をしている人は多いと思うが、将来に不安を感じ過ぎるのは禁物だ。あくまで貯蓄は「使うことが前提」。貯蓄とは、一括で買えない大きな金額のものを購入するためのもだからだ。多少の不安も必要だが、楽しく使うことも意識できれば貯金もうまく行きやすくなる。


「何のために貯蓄をしているのか」というアンケートを実施したところ、「病気になったらどうしよう」「家族に万が一のことがあったら…」という理由が多くあった。貯蓄が少ないと、不安も大きくなる。だが「お金の不安」は多少あっても良いが、過度に不安に思うのは、よろしくない。


病気になるのが不安なのでお金を貯めたいと思っていると、本当に病気になってしまうこともあるのだ。危険察知のためにも「不安な気持ち」は必要だが、楽観的な考えも同じく持つことでバランスは保たれる。少し考えてみよう。不安感がいっぱいで、節約ばかりで何の楽しみもない生活をしていたら、せっかく生まれてきた意味がなくなってしまう。


不安もあるけど、この人生を楽しむことを受け入れることが大事だ。お金を貯めるには「楽しくお金を使う」ことも意識しよう。お金を貯めたい人へのヒントについて考えてみた。

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社会保険制度など制度をよく知る

前述したように「あなたはなぜ、貯金をしていますか?」と伺うと、将来が不安だからと答える方が多い。さらに、不安の内容について具体的に質問をすると「病気や老後の資金が心配だから」と曖昧になってくる。逆に「病気になった場合、具体的にいくらお金が必要だと思いますか?」と、質問するとほとんどの方が「わかりません」と答えるのだ。「わかりません」と回答する方ほど貯蓄額が少ない傾向にある。


将来かかるかもしれない病気を予測することはできない。しかし、病気に必要なお金の計算ならばある程度の見通しは、可能なのだ。基本的に医療費は、3割の自己負担で済む。風邪などのちょっとした病気ならば生活費のヤリクリでどうにかなる。また、入院するほどの病気やケガをしたとしても高額療養費制度の仕組みで、支払った治療費のほとんどが戻ってくる。

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不安は「知る」ことで解消できる

もちろん、入院となると食事代や差額ベッド代はかかるのである程度の負担にはなるが、現役世代ならば100万円程度の貯金があれば、大抵の病気に対処できる。病気の心配を理由に貯金するというのは、あまり意味のあることではないと理解できるだろう。逆に病気の不安でお金を貯め込んでいたら本当に病気になってしまった、なんて例もあるくらいだ。一度、あなたの年収で高額療養費制度でいくら戻ってくるのか計算しておくと良いだろう。


一般的な年収の方ならば、8万円程度で済むと思う。これは、1ヶ月の限度額だから3ヶ月入院したら24万円となる。病気でお金が不安といっても思ったほどの金額ではないのだ。不安は「知る」ことで解消できる。「お金の不安」は多少あっても良いが、過度に不安に思うのも、あまり良くないのだ。それよりも将来の「夢」に使う大きなお金を計画立ててしっかり準備したい。お金は使うためにあるのだから。

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貯蓄が少ない人ほど、お金の計画を立てていない

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貯蓄額が少ない人ほど、将来にかかる費用を調べそれに備える必要がある。しかし貯蓄が少ない人ほど資金計画を立てていないのだ。kazuma seki-istock

「将来が不安」という方ほど実は将来についての具体的な計画を考えていないことがある。これは金融広報中央委員会調査の「家計の金融行動に関する世論調査」でも明らかになっている。同調査によると貯蓄がない人ほど生活設計を立てていないのだ。


夢に向かって資金計画をしなければいつまで経ってもお金は貯まらない。そして「将来が不安」という割には「何とかなる」と楽観視してしまうのだ。貯蓄がないのに「何とかなる」ことはない。元気で働いていれば、何とかなるというのは過去のこと。バブル期であれば、元気で働いていれば退職金も十分支給されていたし、預金するだけでも7年でお金を2倍に増やせていた。しかしいまや、退職金は年々減少傾向。自分で準備するしかないのだ。

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なぜ貯蓄できないのか探ってみる

お金について考えることを後回しにしてしまう人も少なくない。貯蓄ができない人は、必ずしも収入が低い人ではないのだ。収入が高い人で、お金が貯まらないという方は忙しさを理由にお金のことを後回しにしている傾向が高い。例えば、通信費などはパケット料金プランを見直すだけでも変わる。格安スマホに変えれば、年間で数万円の節約になる。生命保険料や医療保険も見直せる部分が多くあるだろう。


ただし見直しするには、それなりの時間や手間がかかるので後回しにしてしまうのだ。「お金のことを考えよう」という意識を少しもつだけでも結果はずいぶん変わってくる。筆者も日々の買い物をすべて生協に変え、在庫を見ながら注文するようにしたら月額2万円も節約できた。年間24万円だから、大きな節約だ。あなたも是非、なぜ貯蓄ができないのか探ってみて欲しい。

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ライフプランニング表を作成する

どんな人生を生きたいかという思いに沿って、人生における予定や目標を描いて書き出してみる。実はこれを考えていると夢そのものも叶ってしまうのだ。筆者は過去、ライフプランを考えることで夢を実現してきた。実現したい夢と、その夢を実現させるためのお金の計画を立てるのがライフプランニング表だ。


ライフプランニング表は、1から自分で作ると大変なので「ひな形」をダウンロードすると良い。「ライフプランニング表 ひな形」などで検索するとヒットする。スマホのアプリやエクセルタイプ、手書きで書けるものもあるのでご自身にあったものをダウンロードすると良い。基本情報として、年齢を含め家族構成を記入する。そしてまずは、自分や家族の夢を描くことから始めよう。


・結婚〇周年で旅行に行く

・趣味のための資金

・マイホームの取得やリフォーム費用

・起業準備

・老後の生活


などなど、書き出してみよう。

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夢はお金の準備ができていれば叶う

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ライフプランニング表を作って将来に使いたいお金の計画が立てられれば、夢の半分は叶ったようなもの。akasuu-istock

将来に必要な資金を記入したら、家計の収支状況を書き入れる。まずは収入を記入してみよう。注意点は「手取り収入」を入れること。簡単に実行するならば、銀行に振り込まれた1年間の収入を足して書き入れるのでも良い。支出も同様だ。銀行から引き落とされた金額、現金で引き出した金額を書き出してみてみよう。住宅ローンや水道光熱費や通信費、生命保険料などは、銀行から引き落としされているので支出がわかりやすい。現金で引き出した費用は、食費や日用品など「生活費」としておくといい。旅行など少し大きい金額を引き出している場合は、わかる範囲で支出を分けておこう。将来の支出のところには、夢のイベントも記入しておこう。旅行や趣味の部分だ。


ここまで記入すると夢の実現に足りない資金もわかるようになる。夢を実現するためにお金のヤリクリを考えてみよう。多くの夢は、お金の準備ができれば叶うことが多いのだ。筆者は高校生の頃、アルバイトして大学受験の費用を準備し無事合格できた。その後も出版社に就職するために、ひとり暮らしするための資金を貯める計画を立てていたら本当に就職もできた。実現するための資金の目途がついたところで夢は叶ってしまったのだ。


ライフプランニング表は、最初は手書きのものからはじめると良い。手書きで考えてから、アプリやエクセルに入力することをお勧めする。特に夢の部分は手を動かして書く方が潜在意識にアプローチできるからだ。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/

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