上海の新たなランドマークとなる巨大複合商業施設「1,000ツリーズ」(上海市普陀区)の開発が進んでいる。着工から8年、このほど第1フェーズが完成し、去る12月22日に施設のオープニングセレモニーが行われた。
オープニングのニュースと共に写真や動画が公開されると、世界中の建築やデザインメディアが反応、各誌に大きく取り上げられている。
'1000 trees' by heatherwick studio, now open to the public in shanghaihttps://t.co/BtkxNLR6HE pic.twitter.com/0NVK12M6xB
— designboom (@designboom) December 28, 2021
「1,000ツリーズ」は、上海を流れる蘇州河(呉淞江)のほとりにあり、M50と呼ばれる芸術地区と大きな公園に隣接する。現在は山が一つできているような形の建物に見えるが、最終フェーズの完成までにもう一つ山型の複合建築が竣工し、30万㎡もの広大なエリア内に2つの山頂がそびえることになる。
It is a #building – and a shopping mall – like no other. In #Shanghai’s arts district, UK architect Heatherwick Studio has created a building surrounded by 1000 trees. #TianAnChinaInvestment #architect #treeplanting #placemaking #retail #insideretailaisahttps://t.co/wMwItKY1GG
— Inside Retail Asia (@InRetailAsia) January 14, 2022
建物そのものは白いコンクリート製だが、1,000本以上の樹木、そして25万以上の植物が建物を覆うように配置される。周囲の水、緑と共鳴するだけでなく、敷地内の生物の多様性を向上させ、気温低下にも貢献する。環境と景観の両方の解決策を「樹木に託した」建築物と言えるだろう。
敷地内にはショッピングセンター、レストラン、ミュージアム、ギャラリー等に加え、既存の歴史的施設も内在する。市民および観光客にカルチャー、エンターテインメント、そして憩いの場を提供する地区となる予定だ。
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建築を担当したのはトーマス・ヘザーウィック
「1,000ツリーズ」の建築デザインを担当したのは、トーマス・ヘザーウィックと、彼が率いるヘザーウィック・スタジオ(イギリス・ロンドン)だ。数々の斬新な作品を世に送り出して続けているヘザーウィック。彼が現在、世界で最も活躍する建築家のひとりであることは間違いない。
彼がこのプロジェクトに抜擢されたのは2011年。上海万博・イギリス館(2010年)のデザインで世界を驚かせたが、この作品が「1,000ツリーズ」プロジェクトへの起用に繋がったという。
ヘザーウィックは「1,000ツリー」のデザインについて、「大都市を、(人々が交流可能な、より)ソーシャルな空間にする」にするというアイデアにインスパイアされたと語っている。
「一般的な商業施設のモノリシックなスケールを分解し、多数の「ヒューマンスケール」の空間を作り上げました。人が密集したこの住宅地に住み、働く人々の(暮らしに、『1,000ツリーズ』は)大きな変革をもたらすと思います」- ヘザーウィック・スタジオ公式サイト より
「新・バビロンの空中庭園」との呼び名も
支柱を隠すのではなく、表に配置しているところもポイントだ。柱の上部にある1つ1つの鉢(プランター)が1つの庭であり、樹木に加え、地域に馴染みの深い植物が植えられている。
ファザード一面を巨大なキャンパスに見立て、ストリートアートをディスプレーしている。つまり地域全体をギャラリースペースとする仕掛けだ。
現在も開発工事は続いており、2024年の完成予定とのこと。その頃には樹木や植物が成長し、また違う光景を見せてくれるはずだ。
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迫力満点!360度から撮影されたドローン動画
4年前に公開された動画↓。工事風景がよく分かる。
施設内はこちら↓から視聴できる。