ジャミロクワイ。
「ヴァーチャル・インサニティ」。
アシッド・ジャズ。
ザ・UK90's。
2021年春夏シーズンからブランド名が、「ジュンヤ ワタナベ マン」とシンプルに改名されて2シーズン目となる22-23年秋冬シーズンに、同ブランドはなんとジャミロクワイのジェイ・ケイとコラボ。
90年代イギリスのダンス音楽にどっぷりと浸かった大人世代に涙モノのコレクションになってます!
いや〜、やっぱいいですね、ジャミロクワイ。
ヴァーチャル・インサニティの曲とミュージックビデオ、そしてボーカルのジェイ・ケイの個性派ファッションとダンス。
時代感覚も含め、すべての要素が絡み合って生まれた、後世にまで影響を与えるサブカルチャー。
かつてミュージシャンは、ミュージシャンの服装をしてました。
安物の服でも平気で着て、なによりも自分たちの個性を追求して。
全身をひとつの高級ブランドで固めるなんてことはなかった。
裏方に仕掛け人がいたかもしれませんが(セックス・ピストルズの衣装をヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンがつくり、レディー・ガガの衣装をニコラ・フォルミケッティが用意したように)、ジェイ・ケイには作為的な印象がなかったですね。
自身が本当に好きで、バカでかい帽子を被り、アディダスのローテクスニーカーを履いてたように思えました。
だからこそ説得力があり。
そこに目をつけたジュンヤ ワタナベ マン、さすがです。
ショービデオ(記事後半に掲載)でヴァーチャル・インサニティの曲を使い、映像もそれ風なのがまた楽しくて。
ジャミロクワイ起用の理由は、ペンデルトンやオルテガらのネイティブ・インディアン周辺のカラフルな幾何学柄を使うためのテーマづけでもあるのでしょう。
カラフルなエスニック模様はコロナ禍の鬱屈した気分を払拭してくれる、いま着たいと思うトレンド性のある柄。
派手めなネイティブ・インディアン系の柄を好んだジェイ・ケイを思い浮かべれば、「こう着ればいいんだ」と思えます。
多くの人を新しいファッションフィールドに親しませるのに、ジャミロクワイはうってつけの存在だったのでしょう。
服そのものはちゃんと見ると、まさしくジュンヤ。
でも演出でこれほどフレッシュに見えてくるとは。
展示会場でずっと流れてた大ヒット曲ヴァーチャル・インサニティのミュージックビデオが、去年の21年に解像度の高い4K仕様になってYouTubeに新登場。
クリアな映像だと面白さ倍増です。
2022年の感覚で見ると 、服装が地味めなことに気づきました。
記憶に焼き付けるほどビデオを見てた人はよく知ることなのでしょうが、ジャミロクワイが在籍したACID JAZZレーベルならブラン・ニュー・ヘヴィーズを、またはその後のTalking Loudレーベルばかり追っかけてた私には(マニアックな話だな……)新たな発見です。
でもカッコいい。
アディダス履きたい。
---fadeinPager---
日本ブランドがパリに渡航してショー発表するのが困難になり、ビデオ制作での新作発表が増えました。
その特性を活かして、ジュンヤはルック映像でもジャミロクワイの世界観を表現。
踊っているのはダンサーたちです。
ファッション分野だからこそ表現できる世界ですね。
展示会で服以外の要素にワクワクしたのは久しぶり。
気分が上がると、服も楽しく見えてくるもの。
ジュンヤは毎シーズン素晴らしいのですが(本音)、今回の「ちょっと脱線してみた」洒落心は、まー最高です。
ジャミロクワイのアイコンマークまでが服に!
元ネタを知らなくてもスタイリッシュに思える点にグッときます。
私はDJがデザインしてブースで着て宣伝する服とか、アングラプリントTシャツとかの「これ知ってるっしょ」なカルチャーファッションが基本的に苦手。
それこそ下町のおばちゃんにでも「お洒落さんねぇ」と言われる格好が最上だと思ってます。
カルチャーやうんちくは、その段階を上回ってこそ“いい服”であると。
その意味でも今回のジュンヤ ワタナベ マン 22-23年秋冬コレクションは確実に“いい服”だと思うのですが、ジャミロクワイをご存じない方々、いかがです ??
All Photos © KAZUSHI
ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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