スポーツカーの名アイコン、カウンタックはなぜ復活できたのか

  • 文:多田潤

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公道走行の様子が公開されたカウンタック。新旧のカウンタックが一緒に走る姿は圧巻。

新型カウンタックが、いよいよ公道デビュー

昨年8月、アメリカのペブルビーチで新型のランボルギーニ・カウンタック「LPI 800-4」が発表されました。2021年はランボルギーニ・カウンタックが誕生してから50年目にあたる年だったのです。この新型モデルは世界限定112台(初代開発コードLP112にちなむ)。価格は239万ユーロ(約3億円)といいます。ベースは現行のアヴェンタドールでミッションに48Vのアシストモーターをつけたハイブリットのパワートレインを採用しています。

リトラクタブルライトは開かないものの、見た目はまんまカウンタックの現代版。鬼才、マルチェロ・ガンディーニへのリスペクトが各所にみられます。もちろん、ガルウイング式のドアも健在で往年のカウンタックを知る人にとってはたまらないモデルです。ただ、こんなスーパーカーの限定モデルをきっちりつくれるのは、世界を見回してもランボルギーニだけかもしれません。

わずか112台の限定モデルのためにここまでデザインをし直し、生産し販売できるのは現代の自動車開発を考えるとまさに奇跡に近いのです。乗員の安全性や国ごとに違う法基準を満たし、新しいクルマをつくるには莫大な費用がかかります。新しいデザインを提案し、新しいパーツを開発、それを新しいラインで製作して、通常のアヴェンタドールの6倍の価格で112台だけ売る…… そんなビジネスが成り立つ背景には、カウンタックというモデルの特別なステイタスがあるからでしょう。そして技術や生産工程をバックアップするアウディを含むフォルクスワーゲングループがサポートしていることを忘れてはいけません。巨大な自動車グループがバックアップして自動車文化を守る。そんな姿勢がこのクルマからは感じられるのです。

2024年からはランボルギーニも電動化が始まります。古き時代へのオマージュと新時代への挑戦を感じるカウンタックLPI 800-4。1970〜80年代のスーパーカー世代を経験した日本人のスポーツカー好きにとってもたまらないアイコン。日本の街中でもこのクルマを見てみたいものです。

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ランボルギーニ社が所有する初代モデルLP400(手前グリーン)と25周年アニバーサリー(右奥シルバー)と公道を走るLPI 800-4。

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サイドビューも初代のアイコンを採用したものに。ボローニャ郊外のカントリーロードがよく似合う。

多田 潤

『Pen』所属のエディター、クルマ担当

1970年、東京都生まれ。日本大学卒業後、出版社へ。モノ系雑誌に関わり、『Pen』の編集者に。20年ほど前からイタリアの小さなスポーツカーに目覚め、アルファロメオやランチア、アバルトの60年代モデルを所有し、自分でメンテナンスまで手がける。2019年、CCCカーライフラボよりクラシックカー専門誌『Vマガジン』の創刊に携わった。

多田 潤

『Pen』所属のエディター、クルマ担当

1970年、東京都生まれ。日本大学卒業後、出版社へ。モノ系雑誌に関わり、『Pen』の編集者に。20年ほど前からイタリアの小さなスポーツカーに目覚め、アルファロメオやランチア、アバルトの60年代モデルを所有し、自分でメンテナンスまで手がける。2019年、CCCカーライフラボよりクラシックカー専門誌『Vマガジン』の創刊に携わった。