意外と知らない“利率と利回り”の違い──年末年始に学びたいお金のこと5選

  • 文:川畑明美
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お金の世界には似たような用語が多い。だが、ここを理解するとお金で損をすることが少なくなる。arthon meekodong-istock

お金の話になると「利率」と「利回り」という単語が出てくるが、この違いがわかっていない人が意外に多い。利率は、額面金額に対して毎年受け取る「利子」の割合で、通常「年利」で記載している。3ヶ月定期などの利率は3ヶ月間の利率ではないので、注意して欲しい。3ヶ月定期も年利で記載されているのだ。


家計診断をしていると、普通預金に数百~1000万円を入れっぱなしにしている家計を見ることがある。低金利が長く続き、定期預金にしても金利が低いからのようだが、少しでも増えるように定期預金も検討してみて欲しい。ネットバンクを中心に、金利が高い定期も存在するからだ。


また、定期預金が満期になった後も考えてみよう。定期預金が満期になったとき「解約する」方法と「自動継続する」方法の2種類を選択することができる。解約した場合は、そのまま普通預金口座に払い戻しされるのだが「自動継続」を選択すると、再び定期預金に預けられる。金利については、時勢に応じた新たな利率が適用される。

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その1
→定期預金の「継続」で損をしていていないか確認

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しばらく使わない生活防衛費は、定期預金の自動継続にしておくと良い。継続する際は「元利継続」がおすすめだ。takasuu-istock

継続には、「元金継続」と「元利継続」の2パターンある。元金継続は「単利」、元利継続は「複利」と覚えておくといいだろう。もう少し少し詳しく解説しよう。「元金継続」は、満期になった「元金」部分のみ再度定期預金に回される。利息部分は、普通預金口座に払い戻される。「元利継続」は、満期になった「元金」と「その利息」の両方を再び定期預金にしてくれるのだ。


例えば100万円の定期預金で利息が1万円(税引き後)だった場合、101万円が再び定期預金に預け入れられる。インターネットバンキングではどちらか選べるタイプが多い。もちろん、窓口でも扱っているのだがネット専用の銀行の方が若干金利は高めだ。


金利が低いと単利でも複利でも、それほどの違いはないが普通預金よりも金利は高くなっている。少なくても、普通預金に1000万円入れておくよりも有利だ。少しの差でも年数が経つと変わってくるので普通預金に入れっぱなしは避けよう。定期預金で元利継続でないと損をしてしまう。

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その2
→定期預金の金利の正しい計算法を知る

また、「普通預金だけでなく定期預金も活用しましょう」という記事を以前書いたところ、読者から金利の計算について質問があった。「3ヶ月定期預金で 0.300%の金利と言うことは、100万で 30万 、1000万で 300万の金利がつくと言う事でしょうか?」


いやいや、そんなにも金利が付いたら、もっと多くの方が預金に励むだろう。残念だが、この計算は間違いだ。0.3%は、そのまま掛け算してはいけない。%は「率」なので、実際は0.3÷100=0.003となる。1000万円の例だったら1000万円×0.003=3万円が利息だ。ただし0.3%は年利なので、3ヶ月だと(3万円÷12ヶ月)×3ヶ月=7,500円となる。元利継続で再度預けると3ヶ月後は、1000万7,500円にその時の金利で継続される。

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その3

→利回りについても理解する

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利回りは、収益の割合と覚えておこう。投資の利益は利回りで表現されることが多いので基本を押さえておこう。MicroStockHub-istock

利回りは、投資金額に対する利子も含めた年単位の収益の割合だ。少しわかりにくいので債券を例に考えてみよう。例えば、利率2%の債券を100万円購入して4年後に102万円で債券を売却できたと仮定して試算してみよう。


1年間の利子は、100万円×2%(0.02)=2万円となる。4年間保有していたので、利子は2万円×4年=8万円だ。それに、売却して得た譲渡益を足す。100万円で購入して102万円で売れたので2万円が譲渡益となる。8万円+2万円=10万円が、あなたが元本以外に受け取った金額だ。利回りは、1年で計算するので10万円÷4年だから2.5万円となる。2.5万円÷100万円=0.025なので100を掛けて2.5%が利回りとなる。


ただし、実際の利回り計算は、税金などの費用も考慮している。債券の利率は、額面に対してだが、利回りは実際に受け取る金額に対しての金額になる。

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その4
→利子と利息の違いを認識する

お金の世界では、似ているけれど違いがわかりにくい用語は他にもある。「金利」と「利子」と「利息」の違いを正しく理解しよう。まず簡単なところから説明しよう。利子と利息の意味は、ほぼ同じだ。違いは、お金の借り手と貸し手で言葉を使い分けていると覚えると良いでだろう。


銀行の普通預金や定期預金にお金を預けると、利息が付く。お金を貸した側が、元本に追加して受け取るお金のことを指す。利子は、お金を借りる側が、貸した側に元本を追加して支払うお金のことを指す。利子は、貸し借りした金額に金利をかけて計算する。


その金利とは何かを説明しよう。金利とは、金融機関などからお金を借りる時に支払う利息を計算するための割合(%)だ。一般的に1年間の利率で表す。

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その5
→金利を意識する

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金利なんて変わらないという方もいるが、住宅ローンの金利は毎月変化している。金利に強くなれば得することも多い。marchmeena29-istock

こんな金利の数字を見たことはないだろうか?


・定期預金の金利 0.002%

・住宅ローン変動金利 0.075%


金利は、世の中の需要と供給によって上がったり下がったりする。例えば、景気が良くなってくると設備投資をする企業や従業員を多く雇ったりする企業が増えてくる。そのための資金が必要になるので企業は金融機関からお金を借りるようになる。お金を借りたい企業が多くなれば、金利は高くなる。金利が高くても、お金が必要なため借りたい企業が増えるからだ。反対に景気が悪くなると、企業は新規事業や雇用を見合わせるようになる。お金を借りる企業も減るので金利は下がる。

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金利は割合をあらわす言葉

需要と供給というと、とたんに難しく感じるかもしれない。だが、野菜や果物でも同じことなのだ。天候不順で不作になれば、価格が高騰する。逆に豊作で十分に出荷量があれば、価格は下がる。それと同じこと。ちなみに住宅ローンの金利も毎月変わる。毎月1日に当月の金利が発表される。住宅ローンの金利に敏感になっていれば返済金額を少なくすることも可能だ。


「金利」と「利子」と「利息」の違いは、金額そのものをあらわすのが利子や利息。金利は割合をあらわす言葉と覚えるとイメージがつかみやすくなる。年末年始の時間がある時にお金について考えてみよう。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/