①2021年、感動したこと
6月に、長年のファンだったNYのデザイナーADAM KIMMELの過去のコレクションピースを集めた展示、"スタイリスト池田尚輝撰 メンスウェアデザイナーADAM KIMMELとニューヨークの美学"を東京・虎ノ門のCURATOR’S CUBEで行いました。
好きなデザイナー、ブランドのアイテムに一度に数多く触れられる機会は、大変貴重で得難いものです。また、その準備段階で何人かの方にインタビューをさせていただいたり、資料となる古着を集めたりするうちに、さまざまなところでものからものへ、人から人へとつながり、自分の過去ともつながりが発見できるという体験をしました。スタートは一つの好きなブランドでしたが、モノへの眼差しを通じて、人とのつながりを再確認できたことに感動しました。



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②2021年を一言で表すなら?
コロナ禍でありながらポストコロナ的な世の中も見え始め、温と冷が共存する、うどんの「ひやあつ」のようなとても独特の空気が流れた年だったと思います。個人的には公私とも忙しく、台風のような一年でした。NEXT DECADEが始まったなって感じがします。今回、このコラムで振り返ってみると、以前に比べて少し古い物にどっぷりとハマった年でもあったようです。写真は、東京での営業を終えて黒磯での店舗活動になるTamiserで手に入れた17世紀オランダのボウル。フェルメールの絵画の時代に想いを馳せてます(笑)。

③2021年、買ってよかったモノ
前出のADAM KIMMELの過去のコレクションを、国内外から買い集めました。始めに手に入れたのは大好きな2009AWの3Wayに着られるコートで、そこから火がつき展示の開催にまで辿り着いたので、いい買い物をしたと思います。ライナーになっているスウェットブルゾン単体、コート単体、ドッキング(写真の状態)の3Wayです。アウターの作り込みが尋常ならざるところも、ADAM KIMMELの特徴と言えます。
自転車大国オランダからやって来た、ヴィンテージの自転車を手に入れました。GAZZELLというメーカーのもので「自転車のロールスロイス」という呼び声もあると聞きましたが、乗り心地が本当に滑らかで、遠出することもよくあります。坂の少ないオランダらしく、高めのライディングポジションが気持ちいいのです。最近タイヤ交換もしたので、ますます調子が上がりました。
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④2021年のコンテンツ、これが面白かった
7月のジム ジャームッシュ、11~12月のBunkamuraでのヴィム・ヴェンダースと、アート性の高さで知られる巨匠のレトロスペクティブ上映が立て続けにあり、このタイミングでスクリーンで観られたのは良かったです。やはり、スクリーンサイズで作られた作品は、そのサイズで鑑賞することで魅力が最大化されるのかなと感じました。ジャームッシュは『デッドマン』『ダウンバイロー』『ストレンジャーザンパラダイス』『パーメネントヴァケーション』の4本。ヴェンダースは『ベルリン天使の詩』『パリ』『テキサス』の2本。『ベルリン天使の詩』は昨年DVD鑑賞していましたが、それ以外の作品はびっくりするほど憶えていなくて、あてにならない記憶だなぁと、驚きと反省というか、記憶の不確かさを実感しました。おそらくまた10年後に観たら、随分と異なることを感じるのでしょう。それもまた楽しみではあります。
ADAM KIMMELの展示を経てから、過去のデザイナーの仕事に興味が沸いていたタイミングで観た映画『マルジェラが語るマルタンマルジェラ』は、一つのブランドから巡る時代考証の側面もあり、興味深かったです。吉祥寺のアップリンクは小規模な映画館として、収容人数の規模、席の配置などとても良い具合で、すっかりファンになりました。


⑤2022年やってみたいこと、行ってみたいところ
ADAM KIMMELの企画展示が面白かったので、その延長でまた展示を計画したいです。また、そのプロセスや展示内容を踏まえたカタログ、Zineなども作ってみたいですね。行きたい場所はニューヨークということになりそうです。
