沖縄県八重山諸島にある日本最西端の与那国島には、冬を迎えると出回る、島民の愛する伝統野菜がある。それは香草。須賀洋介シェフが逸品料理に仕立てる。

東京から1900km、隣接する台湾とは111kmの距離に位置する日本最西端の島、与那国島。
ここ数年、この島の冬の伝統野菜の「クシティ」がひそかに注目を浴びている。近隣の島、石垣島の住人や旅人たちの間で、「与那国島でしか食べられない幻のパクチーがある」という話が囁かれるようになったのだ。そう、「クシティ」とはパクチーの方言名。
与那国島のパクチーは昔から自家菜園で育てられ、短い冬の楽しみとして各家庭で食されてきた。そのため、ほとんど島外に出回ることはなかったが、近年、島の飲食店でも冬季限定メニューとして登場するようになった。
最大の特徴は、その繊細な味わいと、やわらかさ。口あたりがソフトで角がないぶん、パクチー特有の風味がふくよかに口に広がる。島でパクチーを育てる田島笑智子(えちこ)さんは「海風が運ぶ黒潮の塩分が特別おいしくしてくれる」と話す。島ではサラダが大人気だ。



SUGALABOのシェフ、須賀洋介さんはこのパクチーを「主役になれる食材だ」と言い切る。この冬、アジアの風を感じる与那国島で特別な食体験の旅を考えてはいかがだろうか。
---fadeinPager---
Recipe 1 パクチーとカジキのソテー

大根を昆布だしで煮てフォークで潰し、冷やしておく。与那国産のクロカジキは塩・コショウで下味を付け、グリルパンで焼き目を付ける。島ラッキョウも同様に焼く。大根にフレッシュハーブを合わせて皿に敷き、クロカジキ、島ラッキョウ、オリーブオイルとレモン汁、塩でさっと和えた与那国産パクチーをのせる。添えたグリビッシュソースは、豆腐よう、卵、いぶりがっこ、甘ラッキョウ、ハラペーニョ、グリーンタバスコ、オリーブオイル、唐辛子を合わせる。
Recipe 2 パクチーたっぷり沖繩伊勢エビマヨ

米粉、コーンスターチ、炭酸水を合わせた衣に、下処理をした伊勢エビをくぐらせてサクッと揚げ、ビスク(エビだし)、マヨネーズ、ケチャップ、タバスコ、練乳を合わせたソースに絡める。千切りしてあく抜きをしておいた赤瓜の上に盛りつけ、仕上げにフレッシュな与那国産パクチーをたっぷりのせてパクチーのフォームをかける。家で簡単につくりたい場合は、ケチャップとマヨネーズをお好みの割合で合わせたシンプルなオーロラソースでも可。
問い合わせ先/八重山ビジターズビューロー
https://yvb.jp/yvb.html