渦巻きのようにカットアウトされた独特のダイヤルから、機械式時計の複雑な構造が見える。エドックスの新作「デルフィン メカノ 60th アニバーサリー リミテッドエディション」は、伝統的な機械式メカにコンテンポラリーなマスクをアレンジしたと表現できるかもしれない。
「デルフィン」はエドックスのアイコン・コレクションであり、1961年に世界初の特許を取得した防水機構「ダブルOリング」を備えた腕時計として誕生した。「ダブルOリング」は水分が侵入しやすいリューズまわりのシーリング(ゴムパッキン)であり、これを二重にすることで気密性が飛躍的に向上。さらに、特殊な内部構造を持つ頑強なケースによって200m防水を実現した。1965年には500m防水の「ハイドロサブ」を発表。あまり知られていないが、エドックスは防水時計のパイオニアであり、その原点ともいえるモデルが「デルフィン」なのである。

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繊細な工夫を施したオープンダイヤル
この「デルフィン」の誕生60周年を記念した「デルフィン メカノ 60th アニバーサリー リミテッドエディション」は、高度な防水機構や意匠などのレガシーを継承。特徴的な12角形のビス留めベゼルは1973年発表のモデルから導入され、当時の広告では「The water champion」というキャッチフレーズが掲げられていた。ダイバーズウォッチに匹敵する防水性を備えながらも、モダンでドレッシィなスタイルは、現代のトレンドのひとつである“ラグジュアリースポーツ”の先駆けともいえるだろう。
その一方で、記念モデルはプロペラブレードと呼ばれるデザインモチーフで、ダイヤルを大胆にカットアウト。内部の構造をオープンにするだけでなく、香箱の一部をくり抜いてゼンマイを見せるなど、繊細な工夫も施されている。砂時計のエンブレムが配された12時位置の背後にはテンプがあり、テン輪の往復振動が心臓の鼓動のように感じられる。リューズガードの盛り上がりまで一体化したケースラインも、よりなめらかにブラッシュアップ。ブラックのラバーストラップが、スポーツマインドを感じさせる。

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マリンスポーツ関連のモデルが充実したブランド
エドックスは1884年にスイスのビール(ビエンヌ)で創業。卓越した時計職人のクリスチャン・リュフリ=フルーリーが妻の25歳の誕生日プレゼントとして懐中時計を製作し、その美しさに感動した妻から時計ブランドの起業を勧められたというロマンチックなエピソードが残されている。近年では世界有数のパワーボートレースなどにインスパイアされたダイバーズ・クロノグラフ「クロノオフショア1」なども展開。マリンスポーツやレジャーなどで愛用できるコレクションが充実している。
今回の記念モデルも、船舶のスクリューをイメージさせるカットワークがエドックスのポジションを表現。スポーティな躍動感と機械式メカの魅力の両方を楽しめるモデルだ。

問い合わせ先/GMインターナショナル TEL:03-5828-9080