【Penが薦める腕時計、今月の3本】芯の強さを無言で魅せる、オールブラックのクロノグラフ

  • 写真:渡邉宏基
  • 文:並木浩一
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TAG HEUER[タグ・ホイヤー]/タグ・ホイヤー カレラ キャリバーホイヤー02 ジャパン ブラックエディション。DLC仕上げのケースに、インデックスと針にブラックゴールドプレートを用いたダイヤルと、ブラックのセラミックベゼルやレザーストラップを重ね、質感の違う黒で奥行きを表現した。ケースバックには日本の伝統色である萌黄色にちなんだグリーンサファイアクリスタルを特別に採用。自動巻き、SSケース(DLC加工)、ケース径44㎜、パワーリザーブ約80時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、100m防水、日本限定300本。¥726,000/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL:03-5635-7054

クロノグラフ界の隠れたスターが、オールブラックのスタイルだ。黒ダイヤルに黒のサブダイヤルを合わせ、ケースやストラップまでもブラックで統一。色彩をもたない究極のトーン・オン・トーンは、針やインデックス、そして黒の質感だけで視認性をキープしている。本来は目立たないはずのセットアップが、逆にいま無性に目を惹く存在となっている。

クロノグラフでは反対色のレイアウト、特に白文字盤に黒のサブダイヤルを合わせた「パンダ」と、その反対の「逆パンダ」の復刻ブームが起きている。時刻表示とストップウォッチ機能を色で分けるので、それがクロノグラフであることもすぐにわかる。一方でオールブラックの腕時計には、そうした“わかりやすさ”に背を向けた、潔さと強さが宿る。明度ゼロの臨界点で黒に黒を重ねるクロノグラフのデザインには、時計製造における高い技術が必要なのだ。

ストイックな色彩のルールを守りながら、観るためのクロノグラフであり、魅せるクロノグラフでなければ、成立も成功もしない。だからこそ下3つ目、縦3つ目、横2つ目のいずれにせよ、高い完成度の商品しか世に出てこない。黒地に黒目を描くクロノグラフは、なにものにも染まらぬ強い意思や、信念を貫く自信の現れとして、抜群の個性と頼りがいのある印象を演出するはずだ。

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BELL & ROSS[ベル&ロス]/BR 03-94 ブラック マット。四隅にビスを打ち込んだスクエア型の武骨なデザインが人気の「BR 03」にラインアップされた、ケース、文字盤ともにマットブラック仕上げのクロノグラフ。存在感のある見た目に加え、耐傷性の高いセラミック素材で使い勝手にも優れる。自動巻き、セラミックケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約40時間、ラバーストラップ(ブラックのファブリックストラップが付属)、100m防水。¥693,000/ベル&ロス 銀座ブティック TEL:03-6264-3989

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BAUME & MERCIER[ボーム&メルシエ]/リビエラ 10625。1973年から続くロングセラー「リビエラ」の第5世代に追加された新作クロノ。マイクロブラストが施された十二角形のマットなブラックケースに合わせ、地中海の自然を模したダイヤルは黒地にサンレイ仕上げ。“Fast Strap”システムのストラップは数秒で付け替え可能。自動巻き、SSケース(ADLC加工)、ケース径43㎜、パワーリザーブ約48時間、シースルーバック、ラバーストラップ、10気圧防水。¥495,000/ボーム&メルシエ TEL:0120-98-8000

※この記事はPen 2022年1月号「CREATOR AWARDS 2021」特集より再編集した記事です。