光輝くオーロラ雲海を眺める、「ホテル椿山荘東京」全席窓際ディナーコースに舌鼓のひととき

  • 写真・文:高橋一史
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「ホテル椿山荘東京」の「東京雲海」に、カラフルな空の演出が加わった冬のオーロラバージョン。

さすがにこのブログエントリー(Pen Online/コラムニスト)での「ホテル椿山荘東京」取り上げ率が高すぎ!?と思っていたら、担当の編集部女性から「同ホテルの話はアクセス数がいい」との耳打ちが。
ならば紹介しちゃえ、ということで、2021年12月3日(金)にスタートした期間限定ディナーイベントのいち早い体験レポを今回お届けします。

同ホテルでは散策してると迷子になりそうな大庭園で20年10月よりミスト状の霧噴射による雲海を発生させており、朝から夜まで1時間につき2〜4回行われています。
来年で開業から70周年を迎える、自然が息づく同ホテルのあり方を打ち出す試みがこの「東京雲海」なんですね。

現在の冬バージョンは、カラフルな「森のオーロラ」。
レーザー照射で霧に当たった部分がきらめいてオーロラのように空が様々な色に変化する仕組み。
そしてこの雲海を室内でディナーを食べながらゆっくりと観賞できる期間限定食事イベントが、「東京雲海レストラン~冬~」なのです。

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ミスト噴射前の夜の大庭園(のごく一部)。池に映る逆さ風景も見ものです。ただ、持ってくカメラ間違えたかなあ……どうレタッチしても絢爛豪華になってしまうこの写り(←インスタ好きな人はむしろ歓喜)。実際はより風情のある佇まいです。

本来なら食事後に庭園散歩する屋外でのオーロラを、まずはご覧いただきましょう。
以下のyoutube動画にて。
(サウンドあり)

色が凄いし音楽まで流れてる。
完全にエンタメ化した東京雲海、これまででもっとも多くの人に好まれそう。
リアル鬼滅の刃、みたいな。

あ〜なるほど面白い……ただ私には派手すぎるかなっ 笑
すみません、私的な趣味だと東京雲海の魅力は日本の物語の世界(妖怪が出そうな)に包まれた、「現実と夢の狭間」にありまして。
古い記憶が呼び起こされる、じんわりとくる不思議なファンタジー。
今回はクリエイターと呼ばれる人たちがつくるデジタルなんちゃらに近く、人工的な印象。
音楽がなければナレーションなしのドキュメンタリー映画のごときリアルな情景だったかもしれません。
単に好みの問題なのでしょう。

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そんなこんなの新バージョンの東京雲海を暖かな室内で観賞できるレストランが、ふだんは宴会や結婚式などに使われるバンケット棟3階に特設オープン。
フランス料理のシェフがこのために考案したディナーコースをのんびりと味わいながら、ときおり出現する東京雲海を眺められます。
なにせ全席が窓に面してますから、宿泊部屋気分の優雅な時間。

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席指定はできませんが、全席が窓面なので安心。国登録有形文化財「椿山荘三重塔」がダイナミックに迫るポジション。予約は2名から。私は例外的に1名で着席。

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12月3日〜2月27日までのメニュー (12月17日~25日までの期間のみ別メニュー・別料金)。バラエティ豊かな料理が次々に運ばれます。1名通常料金で¥16,000(税・サービス料込)。

高品位な室内、お値段もそれなりにするフレンチということで構えてしまう人もいるかと思いますが、カジュアルに好き勝手にフォークを差してスプーンですくってがOKなムード。
席が横一列の並びでほかの客の様子が目に入りにくいのもいいんでしょうね。
ビジュアルの主役が窓外の景色ですから店内が薄暗く、それも緊張をほぐすいい効果を生んでいたようで。

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まず最初の前菜がこれ。タラのすり身の上にポテトのピューレを乗せたもの。写真を取り逃しましたが、運ばれたときに器の下の層からドライアイスの蒸気がぼわっと吹き出してました。屋外の東京雲海が表現された演出です。

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前菜Part2は、なにやら小さなキューブがパズルのように集まって……

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ビジュアル最強のパンメニューに。食べられる小花の飾りにテンションMAX!ブリオッシュパンをぐるりと囲むのは、りんごとワインジュレ。パンの上のふたつの四角は、カカオとピスタチオを乗せた濃厚なフォアグラ。ほかふたつの具材はイチジクとぶどう。甘みが主役で、スイーツなのか食事なのか、朝向けなのか夜向けなのか曖昧で創造的な一品。※写真は明るく補正してます

このパンメニューは……表参道か原宿あたりの人気カフェとのコラボを期待!
コラボというか「プレゼンツ・バイ・ホテル椿山荘東京」とか「提供:ホテル椿山荘東京」とかのカフェメニューだったら人気を呼びそう。

旅行需要が厳しいいま、ホテルは名前をブランド化していくことが急務ですよね。
一流ホテルの名前って、一般層、とくに若い層にはあまり知られていない気がします。
百貨店と同じで老舗はどんどん高齢化しているはず。
人は聞き覚えがある、親しみがあるものに気持ちを傾けます。
マスコミも含め皆が注目するカフェと絡めれば、名前が目に留まり記憶に焼き付けられていきます。
潜在意識に浸透すれば、将来的に彼女ら彼らが顧客になる可能性が高まります。

私は心理学も社会学もマーケティング理論も無学なファッション畑の人間ですが、エルメス、ルイ・ヴィトン、ディオール、フェンディらの一流ブランドが自分たちの店から外に飛び出していく動きを見続けていると、知名度を上げる彼らの手法が他業種にも応用できると感じてます。
上写真のパンをカフェメニューにするなら、フォアグラの代わりにクリームチーズにしたりスイーツ側に寄せるだけで十分。
この一品に出会えただけで、本日のディナータイムはワクワク気分です。

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レストランになったバンケット棟の面積は、ホテル棟と同じくらいの広さ。

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じっさいの店内はこれくらいの明るさ(もう少し暗いかも)。

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「森のオーロラ」が庭園内を満たした光景。窓ガラスの反射が強くてすみません。

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メインディッシュの一品、鴨肉と野菜のセット。野山の幸たっぷりの秋の収穫祭。赤身の右横が春巻きの皮で包んだ腿肉で、これ美味かったですねえ。

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デザートはめちゃ豪華なモンブラン。しっかりと大きいサイズで、驚きの嬉しさ。モンブランは専門店が次々にできるほど大流行中ですが、さらに抹茶パウダー、ベリー、ナッツ、メープルシロップのアイスを添えたトレンドてんこ盛りの仕上がり。バンケット料理長の十代雅之シェフはぜったいスイーツ好きですね。

最後にコーヒーか紅茶がサーブされ、そこにもカヌレ、フィナンシェ、メレンゲの3種ミニ菓子つき。
食事後の会話も弾む配慮がなされた巧みなコースです。
ここに乗せなかった料理があとふたつもありますし、客を満足させよう、愉しませようとする気持ちが伝わってきたディナーでした。

開催日は、金・土・日及び祝日のみ。
以下の該当ページをよくご覧の上ご予約を。
https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/event/plan/restaurant-winter-2021/

All Photos©KAZUSHI

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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