映画『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』:あのキャラクターたちが帰ってくる!

  • 文:上村真徹

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© 2021 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

洋画・邦画ともに注目作品の多い12月。“見た目は赤ちゃん、中身はおっさん”というギャップで世界中を魅了したドリームワークス・アニメーションの続編『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』の見どころやあらすじを紹介する。

【あらすじ】大人になったボス・ベイビーが“赤ちゃん返り”して史上最大のミッションに挑む

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ボス・ベイビー(左)の兄ティムの次女ティナ(右)は、ベイビー社から派遣されたトップ諜報員だった。© 2021 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

ベストセラー絵本『あかちゃん社長がやってきた』を原作に、見た目は可愛い赤ちゃんなのに中身はおっさんというギャップで笑いと感動を巻き起こし、世界で600億円を超える興行収入を記録した痛快コメディ・アニメーション『ボス・ベイビー』。前作から4年の時を経て誕生した待望の続編『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』が、12月17日から劇場公開される。

ボス・ベイビーが兄ティムと共に<赤ちゃんvs子犬>の死闘を繰り広げてから25年後。見た目は赤ちゃんで中身はおっさんだったボス・ベイビーは見た目も大人になり、世界中を飛び回るエリートビジネスマンとして活躍中。一方、7歳だったティムも大人になって結婚し、タビサとティナの娘2人を専業主夫として育てていた。

成長した兄弟2人がすっかり疎遠になってしまったある日、長女タビサが通う学校の校長アームストロング博士が世界征服を企んでいるという情報が入り、ボス・ベイビーとティムの力が必要となる。その任務を彼らに伝えるためベイビー社から派遣されたのは、なんと「ボス・レディ」でもある次女ティナだった。”スーパーミルク”で赤ちゃん返りしたボス・ベイビーとティムは、再びコンビを組んで学校への潜入捜査に挑む。

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【キャスト&スタッフ】前作のスタッフが結集し、“おっさん赤ちゃん”の家族模様を掘り下げる

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大人に成長し疎遠になっていたボス・ベイビーと兄ティム(右)は、ミッションのために赤ちゃん返りして再びコンビを組む。© 2021 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

大ヒットした前作『ボス・ベイビー』に続いて監督を務めるのは、「マダガスカル」シリーズを手がけたトム・マクグラス。ドリームワークスから続編製作を打診されたマクグラス監督は、同じく前作の脚本家マイケル・マッカラーズと物語の大筋を相談し、「大人になった2人は別々の人生を歩み疎遠になっていた」「ティムもボス・ベイビーもスーパーミルクで子どもに戻る」など次々とアイデアを考案。さらに、大人になって対照的な人生を送るようになったというマクグラス監督と彼の兄との関係をモデルに、衝突と笑いを繰り返しながら深い絆で結ばれた、共感できる兄弟関係を新たに掘り下げている。

“中身はおっさん”なボス・ベイビーの声を前作に引き続きふてぶてしく熱演するのは、英語版では名優アレック・ボールドウィン、日本語吹き替え版ではムロツヨシ。また日本語吹き替え版は、前作の終盤で大人になったティムを演じた宮野真守が続投し、さらに子ども返りしたティムも1人2役で務めている。一方、続編の新キャラクターとして、前作で子どものティムを演じた芳根京子がティムの長女タビサ役、ボス・レディでもある次女ティナ役として多部未華子が参加し、ボイスキャストの豪華競演で楽しませてくれる。

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【見どころ】尖ったアニメでありながら、オーソドックスな感動を味わえる

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スーパーミルクで子どもに戻っていられるのはわずか48時間。その間にボス・ベイビーとティムはミッションのクリアに挑む。© 2021 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

行儀の良いディズニー映画の対極を目指して設立されたドリームワークス・アニメーションの作品らしく、本作は大人もニヤリとさせる尖ったユーモアと目まぐるしいドタバタ劇で楽しませる破壊的なフルCGコメディ。しかし、作りは意外とクラシカルでオーソドックスだ。キャクラター・アニメーション部門長のダン・ワグナーが「コメディらしいマンガ的な面と、感情的で心温まるシーンを融合したアニメーションにしたかった。古い定番の2Dアニメと同じようにね」と語るように、現代の子どもはもちろんのこと、かつてカートゥーン・アニメに夢中になった大人こそ虜になる作品に仕上がっている。古典的な定番アニメの大ファンでもあるマクグラス監督が全編に散りばめた、アニメーション黄金期の傑作たちへのオマージュも大人にこそ刺さるポイントだ。

また、ドタバタ劇の軸として普遍的な家族愛をテーマにしているのも、一見いまどきながら実はクラシカルな「ボス・ベイビー」シリーズの魅力。ボス・ベイビーとティムの兄弟愛に加えて、今回はティムと娘の親子愛もフィーチャー。父であるティムが子どもに戻って娘の同級生となることで、2人はまた違う時間を共有していく──突飛なドタバタではあるものの根底に描かれているメッセージはハートフルで、見る者を優しい気持ちに包んでくれる。

型破りなキャラクターによるドタバタコメディで楽しませると同時に、前作からさらに熟成された家族の絆で心を温かくする──。まさにクリスマスシーズンにふさわしいアニメーション映画だ。

『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』

監督/トム・マクグラス
声の出演/アレック・ボールドウィン(ムロツヨシ)、エイミー・セダリス(多部未華子)、アリアナ・グリーンブラット(芳根京子)、ジェームズ・マースデン(宮野真守)ほか 
2021年 アメリカ映画 1時間47分 
12月17日(金)全国の劇場にて公開

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