世界中のアスリートやセレブリティを描き、Instagramを中心に発表するイラストレーターの田村大（@dai.tamura）。似顔絵の制作会社に7年勤務し、約3万人もの似顔絵を描いた田村は、2016年に似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会において総合優勝。のちに独立を果たすと、NBA公認イラストアーティストとして活動し、野球やサッカー、テニスのスタープレイヤーのイラストを多く制作しながら人気を集めてきた。また大手企業やプロ野球チームとのコラボでも活躍していて、いま田村ほどホットな日本人イラストレーターはいない。

その田村が待望の初個展『ILLUSTART』を開く。会場は過去にNIKE co.jpの企画でスニーカーを描いた東京・渋谷の『atmos千駄ヶ谷店』だ。会期は11月26日(金)〜11月28日(日) の限定3日間。スニーカーの原画に加えて、NIKEとatmosによるアニマルシリーズに関係する動物画と、そこからインスピレーションを得た自然をテーマにした作品が展示される。田村といえば、アスリートたちがエネルギーを放つ躍動的な瞬間を見事に切り取ったタッチで知られるが、今回の個展では新たな創作の方向性が示されるかもしれない。

日々新作を公開するInstagramにおいて「アーティストとしてのスタートも本格的に切るぞ」と意気込みを語っている田村だが、同時に初の作品集『DT』が刊行されることにも注目したい。ここでは田村がペンやカラーマーカーを使って手描きで制作した約230点以上ものイラストを掲載。さらに初期の貴重なカリカチュアや歌舞伎、仏像などをモチーフにした作品も収録される。またデザイナーとして活動しつつ、絵を描くことを仕事にするためにカリカチュアリストへと転身し、唯一無比のイラストレーターとなった軌跡も、子ども時代のエピソードを交えて紹介される。

『ILLUSTART』の会期中、田村は3日間すべての在廊を予定している。すでに世界的プレイヤーとも親交のある田村だが、実際に話すと「どこからあの膨大なイラストを描く力が湧いてくるのだろう」と思ってしまうほど、ていねいでかつ物腰柔らかな語り口が印象的だ。今回の個展では最新の作品を楽しめるだけでなく、サクセスストーリーを切り開いてきた田村に会える絶好のチャンスでもある。まもなく刊行される写真集『DT』をチェックしつつ、記念すべき初個展『ILLUSTART』を見逃さないようにしたい。---fadeinPager---