6年かけてたどり着いた、 コーヒー愛にあふれた一台

  • 文:神原サリー
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BALMUDA The Brew/バルミューダ ザ・ブリュー
〈コーヒーメーカー〉

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シンプルなデザインが目を引く「BALMUDA The Brew」。緻密な温度コントロールや独自の抽出方法によって、コーヒー豆の個性を引き出す。¥59,400

次はなにを出してくるのか、どんな仕掛けがあるのかと、毎回ワクワクさせるバルミューダが、ついにコーヒーメーカーを発売した。2015年に“高級トースター”の先駆けとなるトースターを発売した頃から、コーヒーメーカーの構想はあったらしい。だが、開発は難航を極めた。日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)アドバンスド・コーヒーマイスターの資格を持つエンジニアが入社し、開発リーダーとなってようやく本格的に始動したのだという。

バルミューダの製品にはいつも物語があるが、今回もまた然り。6年かけて出来上がった「BALMUDA The Brew」は革新的であり、コーヒーへの愛にあふれている。

採用している円錐形のドリッパーは、抽出が速く豆のおいしさをダイレクトに出せる分、抽出の最後の段階で雑味が出やすいため、タイミングを見計らい、ドリッパーへの注湯をストップして直接サーバーに加水する“バイパス注湯”をする。このバイパスを利用して、スタート時に100℃のスチームでステンレスサーバーを温め、コーヒーが冷めにくいようにしているところが心憎い。ドリップは蒸らし時間や抽出の量、速度を自動観測し、0.2ml単位でていねいに行われる。さらにその後の注湯仕上げにより淹れられたコーヒーは、キリリと強く、豆の個性をストレートに伝える味わいだ。

抽出中はトップに配されたランプがオレンジ色に灯り、カチコチとした時計の音がする。これは、蒸らしの時間など一見なにもしていないようでも「動作中」だと知らせる安全面と、出来上がりへの期待感を高める演出だという。オープンドリップ式によるコーヒーのアロマ、目に見えるスチームやシューッという音もあいまって、五感に訴える要素が満載だ。幅14cmとコンパクトながら、重厚なブラックと金属の輝きはキッチンカウンターや食卓で圧倒的な存在感を放つに違いない。

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蒸らし、抽出、仕上げの過程ごと適切な温度で注湯する。一度に3杯分まで抽出でき、所要時間は4〜7分(モードや気温で異なる)。オープンドリップ式で視覚的にも楽しめる。

神原サリー

新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と取材をもとに独自視点で発信。東京・広尾の「家電アトリエ」をベースに、テレビ出演や執筆、コンサルティングなど広く活躍中。

●バルミューダ TEL:0120-686-717