日本の伝統的な着物は畳むと平らになり、着ると立体的になる。2Dから3Dへのトランスフォームである。畳んだ時のかたちは四角で、収納性に優れタンスにすっと収まる。我が国の服装は、優雅さと実用性とを兼ね備えたものだったのだ。
イッセイ ミヤケも長年、機能するプロダクトデザインを追求してきた。ブランドを代表するプリーツ素材は軽量でシワにならず、水洗いできる上に価格も手頃という特性がある。アートに匹敵する美しさと実用性との巧みなバランスが、イッセイ ミヤケを非凡な存在にしてきた。
こうした考え方は、派生する各ブランドにも受け継がれている。2021年にスタートした新メンズのアイム メン(IM MEN)のものづくりにも、現代におけるひとつの完成形がある。ここに紹介するバックパック「OBI」がその象徴だ。あたかも着物の帯のような平面の布を持ち上げると、空気を含んでスタイリッシュなバッグが出現する。手を離すと重力だけでパタンと平らになるつくりは、バッグ背胴側を縫製前にプレス加工し、折り畳むガイド線を付けた構造上の工夫により実現されたものだ。
ショルダーストラップはクッションのあるパッド入りで、フロントには容量を調整するベルトが装備されている。さらに驚くべきは両サイドにファスナーポケット、内側に13インチのラップトップPCに対応するポケットまで有していること。単なるトランスフォームでは満足せず、生活シーンでの利便性も追求するアイム メンの哲学がしっかりと息づいている。
アイム メンの姉弟ブランドである132 5. イッセイ ミヤケが誕生させた、畳めるバッグがさらに進化した製品である。再生繊維100%のシャンブレー生地は背負ったときにドレープを生み、持つ者の姿をクールに演出する。一時的に荷物を運ぶ仕事や旅先での移動に、手放せない愛用品になる逸品だ。
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3色のグレイッシュなカラー展開

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