進化を続けるドレスシューズに潜む、“攻め”のクラフツマンシップ【Crockett & Jones】

  • 写真:Masato Moriyama(TRIVAL)
  • スタイリング:Arata Kobayashi(UM)
  • ヘアメイク:Hori(BE NATURAL)
  • 文:Shingo Sano

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身に着けるものへの意識が一変したいま、英国のドレスシューズの真価を改めて見直したい。これからの時代に必要なのは、さまざまなシーンを横断できる自由で軽快な一足だ。

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KENT(ケント)/フォーマルからカジュアルまで、幅広いシーンをカバーするストレートチップの「ケント」は、ブランドを代表するシグネチャーモデルのひとつ。奥のモデルがシティソールを採用したもの。各¥83,600/ともにクロケット&ジョーンズ(グリフィンインターナショナル)

時代とともに変化しながら、時を経ても変わらない価値観を製品に体現する――まるで矛盾のようにも感じるこうした営みが「クロケット&ジョーンズ」では、繰り返されてきた。なぜなら伝統的なブランドが未来に向けて前進することをやめ、ヘリテージだけに頼った途端、簡単に〝過去のもの〞となってしまい人々から忘れ去られてしまうからだ。

おりしも〝ステイホーム〞でリモートワークが基本となり、着飾ってどこかへ出かける機会も激減している昨今、ドレスシューズはその存在意義すらゆらいでいる状況にある。イギリス・ノーザンプトンにある歴史的なシューズブランドがいま、ドレスシューズの未来を考える必要に迫られていることは、誰の目からしても明らかだろう。

「革新」とは、常にこういったタイミングに訪れる。クロケット&ジョーンズがハルボロー・ラバー社とともに開発した「シティソール」は、伝統とともに受け継がれてきたドレスシューズの美学を踏襲し、それをどこまでも軽快に履きやすく、そしてモダンにアップデートした好例といえる。格式のある上品なルックスにかけては、レザーソールに勝るものはない。しかし滑りやすく、濡れた路面に不向きなままでは、使えるシーンがどうしても限定されてしまう。だからクロケット&ジョーンズでは、シティソールの他にも「ダイナイトソール」や「リッジウェイソール」など、特性の違うラバーソールを幅広くラインアップして、ドレスシューズが活躍できるシーンを積極的に拡充している。

クラフツマンシップという言葉からは、伝統的な製法と手仕事を尊重した、朴訥なモノづくりが連想される。それももちろん間違いではないのだが、この言葉が意味する価値観の中には、自らが培ってきたコアバリューを現代のライフスタイルへと順応させるために、常に革新を続けようとする前衛的なフィロソフィーが内包されていることを忘れてはならない。

コロナ禍で遠い存在になりかけていたドレスシューズを、毎日どこにでも履いていける身近な存在へと変容させるクロケット&ジョーンズ。〝攻め〞のクラフツマンシップに注目だ。

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1870年代に考案されたグッドイヤーウェルト製法は、それまで手作業で行われていた靴底の縫合作業を、機械化によって躍進的に効率化させた。妥協を許さないていねいなモノづくりは、いまも昔も変わらない。

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木型にレザーのアッパーを貼り付けて整形する吊り込みの作業は、ドレスシューズの表情を決定づける重要な工程。クロケット&ジョーンズのファクトリーでは、各工程で専門の職人が作業にあたる。

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定番モデルのソールも、選択が可能

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左:MORETON(モールトン)

写真左は、流行に左右されないデザインが魅力のUチップシューズ。比較的、幅広な足にもフィットしやすい「292」ラストを採用する。履き心地がよくグリップ性も高いリッジウェイソールが、オールウェザーの路面コンディションに対応。グレインレザーやスエードといった、素材のバリエーションも展開あり。¥88,000/クロケット&ジョーンズ(グリフィンインターナショナル)

中:CAVENDISH3(キャベンディッシュ3)

スラックスはもちろんのこと、裸足でデニムにも合わせられる汎用性の高さから、近年、世界中で人気が高まっている写真中央のタッセルローファー。このモデルは従来の木型をベースに、日本人の足型を考慮して、かかとまわりやアーチ部を狭めた新型ラスト「375」を採用。レザーソールとシティソールがラインアップ。¥86,900/クロケット&ジョーンズ(グリフィンインターナショナル)

右:CHERTSEY(チャートシー)

高い技術力から、世界中の名だたるブランドのシューズ製造を請け負ってきたクロケット&ジョーンズ。その最もアイコニックなモデルのひとつが写真右のチャッカブーツタイプの「チャートシー」。50年以上愛される定番モデルでダイナイトソールとも相性がいい。どんなシーンでもあうスマートな一足だ。¥73,700/クロケット&ジョーンズ(グリフィンインターナショナル)

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特別な木型で制作する、「別注モデル」にも注目

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左:SEDGEMOOR3(セッジムーア3)

福岡にあるセレクトショップ「フレーム」別注のプレーントゥシューズも、通常の「335」ラストから日本人向けに「378」ラストへと変更したモデルを販売。「世界で最も木型の多いブランド」と呼ばれるほど、どんな足型にも対応できる懐の深さが、このブランドの強みでもある。¥88,000/クロケット&ジョーンズ(フレーム TEL:092-707-0562)

右:LINCOLN2(リンカーン2)

ユナイテッドアローズ別注モデルでは、従来の「314」ラストをベースに、日本人の足型に合わせて改良した「376」ラストを採用。ボリューム感のあるシルエットで、ドレススタイルにもカジュアルにも幅広く合わせられる。¥88,000/クロケット&ジョーンズ フォー ユナイテッドアローズ(ユナイテッドアローズ 原宿本店 TEL:03-3479-8180)

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好みに合わせて選べる3種類の「ラバーソール」

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写真左から、ハルボロー・ラバー社のリッジウェイソール、ダイナイトソール、シティソール。この3タイプのラバーソールが、クロケット&ジョーンズのラインアップではメインとなる。リッジウェイソールはオールウェザーの悪路に対応するカントリー仕様。ダイナイトソールはレザーソールの上品なルックスを踏襲したアーバンスタイル。クロケット&ジョーンズと共同で開発したエクスクルーシブなシティソールは、それをさらに洗練させて軽快に仕上げたアップデートバージョンだ。

●グリフィンインターナショナル
TEL:03-5754-3561
https://griffin.cx/

●直営店「FRAME」
https://www.frame.jp

進化を続けるドレスシューズに潜む、“攻め”のクラフツマンシップ【Crockett & Jones】

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