コラージュ作家のヤビク・エンリケ・ユウジがモードを描く。“切り貼り”が今季のコレクションとコラボ

  • 写真:工藤佑斗
  • スタイリング:大島 陸
  • ヘア:遠藤洋和(太田事務所) 
  • メイク:山本珠世
  • 編集&文:森下隆太
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ファッションの面白さは、その表現にこそ見出せるもの。服をデザインするのも、それをセンスよく組み合わせるのも、自分という存在や伝えたいメッセージを外の世界へと発信する行為だ。今回は、アーティストのヤビク・エンリケ・ユウジに今季のコレクションから発想を広げてもらった。ジャンルを超えクロスオーバーする、魅惑のセッションをご堪能あれ。

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右:ジャケット¥97,900、ベルト¥39,600/ともにワイ・プロジェクト(コンテナストアトウキョウTEL:03-5784-1587) ベスト¥48,400/エム エー エス ユー(ソウキTEL:03-6419-7028) シャツ¥44,000、ネクタイ¥27,500/ともにターンブル&アッサー(ヴァルカナイズ・ロンドンTEL:03-5464-5255) パンツ¥35,200/バブアー×アンドワンダー(アンドワンダーTEL:03-5787-3460) キャップ¥31,900/visvim(visvimTEL:03-5468-5424) アイウエア(参考商品)/アメリカン オプティカル(SOLAKZADETTEL:03-3478-3345) ネックレス¥69,300、リング¥407,000/ともにトムウッド(トムウッド プロジェクト www.tomwoodproject.com) スカーフ¥62,700、シューズ¥93,500/ともにマルニ(マルニ ジャパン クライアントサービスTEL:0120-420-502) 左:ジャケット¥473,000/visvim(visvim) ベスト¥42,900/エンジニアド ガーメンツ(エンジニアド ガーメンツTEL:03-6419-1798) 白のデニムシャツ¥56,100/トムウッド(トムウッド プロジェクト) ヴィンテージのエルメスのシャツ¥120,000/Archive StoreTEL:03-5428-3787 ヴィンテージのTシャツ¥38,500/Four StoreTEL:03-6455-0448 パンツ¥27,500、ハット¥11,000/ともにシュプリーム(シュプリームTEL:03-5456-0085) スニーカー¥85,800/visvim(F.l.L. TOKYO TEL:03-5725-9568) ネックレス¥111,100、イヤーカフ¥69,000/ともにシャルロット シェネ(エドストローム オフィスTEL:03-6427-5901) グローブ¥13,640、バッグ¥71,500/ともにERL(ドーバー ストリート マーケット ギンザTEL:03-6228-5080)
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右端の縦3枚:スウェットシャツ¥59,400、ロングシャツ¥99,000、パンツ¥74,800、シューズ¥130,900/すべてドリス ヴァン ノッテン(ドリス ヴァン ノッテンTEL:03-6820-8104) ネックレス¥99,000/スワロフスキー・ジュエリー(スワロフスキー・ジャパンTEL:0120-10-8700) ソックスは私物 中央右の2枚:シャツ¥99,000、パンツ¥100,100、ベルト¥64,900、シューズ¥96,800/すべてドリス ヴァン ノッテン(ドリス ヴァン ノッテン) 左:コート¥1,100,000、ニット¥514,800、パンツ¥563,200、ブーツ¥82,500/すべてボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパンTEL:0120-60-1966)

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時代と呼応するストリート感覚で、コラージュの新地平を切り拓く

いわゆるシュールレアリスム的なアプローチとはちょっと違う。ストリートアートのようなミクスチャー感が漂う、より絵画的なアプローチ。それがヤビク・エンリケ・ユウジのコラージュの魅力である。11歳までをブラジル・サンパウロで過ごした彼は、出自も含めてZ世代らしい新しい感覚をもち合わせている。

「今回の話をもらった時に、自分の作風とPenという雑誌がもつイメージがうまく融合し、いい意味で違和感のある作品が生み出せればと思いました。打ち合わせ初期の段階で、写真とスタイリングの両方からインスピレーションを得ることができ、それらを作品につないでいこうと考えました」

きっかけは学生時代の課題だった。文化服装学院でコラージュを扱う授業を受け、その時はピンとこなかったと話すが、SNSに作品をアップし続けるうちに、多くの“プロップス”を集め、瞬く間に個展を開くまでになった。既にファッションの世界でも数々のコラボを行っており、彼の作品はTシャツやパーカとなって、人を、街を、彩っている。

「常にスタートはアナログで、地道な作業から始まります。時間の経過を表現したい時に、ホチキスの赤錆が溶け出した下地がほしいなと思ったら、実際にそれをつくります。今回の作品はメインとなる写真があり、それを自由に扱うことができました。素晴らしいチームプレイにより、これまでの作品の中でもクオリティの高いものができたと自負しています」

作品のひとつには、スタイリストが用意した映画『ファイト・クラブ』のTシャツから着想を得たフレーズが描かれている。

「昔は直感に頼ることも多かったのですが、いまはより文脈を意識するようになりました。過去の雑誌を切り抜いて使う時、30年前の情報が現代の価値観を帯びて、作品の一部となる。それを多くの方に見てもらうことで、未来につながっていく。コラージュには時を超えて響く力があるんです」

これからもその力を信じて制作は続く。“切り貼り”が紡ぐ未来は輝きに満ちている。

ヤビク・エンリケ・ユウジ

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1997年、サンパウロ生まれ。文化服装学院にて服飾を学び、2017年よりコラージュを用いた表現活動をスタート。企業やブランドからのラブコールが絶えない、次世代を担う表現者のひとり。

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※この記事はPen 2021年11月号「挑むモード、触発するアート」特集より再編集した記事です。