これからの季節に着たい、おすすめの名品スウェットシャツ5選

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一
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(左)レイニング チャンプ「ミッドウェイトテリー」(右)Gap「Gapロゴ カーボナイズドフリース プルオーバーパーカー」

およそ100年前のアメリカで、それまでウールでつくられていた運動着をコットン素材に改良したものが発明された。これがスウェットシャツの起源だ。コットンの運動着は伸縮性や吸汗性に優れ、肌触りもよいので着やすい。現代では誰もが愛用する衣服なった。今回は、映画を題材にスウェットシャツの名品を紹介する。

名品スウェットシャツ① レイニング チャンプ「ミッドウェイトテリー」

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レイニング チャンプを代表する「ミッドウェイトテリー」を使用したスウェットパーカとスウェットパンツ。適度な厚さをもつ素材で、希少なピマコットンを原料に編まれている。パーカの特徴は同ブランドの特徴的なディテールでもあるショルダー部分。前身頃は「セットイン」で、後ろ身頃は「ラグラン」というつくりで、見た目と動きやすさが共存する。段差がないフラットロックシームで縫製され、ストレスを感じない快適な着心地が楽しめる。パーカ¥25,300(税込)、パンツ¥18,700(税込)/ともにレイニング チャンプ

スポーツ選手が身体を冷やさないよう、トレーニング時に着用するために考案されたものがスウェットシャツ。その着こなしですぐに思い出す映画が、シルヴェスター・スタローン主演の『ロッキー』(1976年)。フィラデルフィアのスラム街に住む三流ボクサーのロッキーが、汗を出してウェイトコントロールをする目的でスウェットシャツを重ね着するのだが、着古したようなヨレ具合が彼の境遇をよく表現している。

そんなロッキーが着用した本格的なスウェットシャツを彷彿とさせる名品が、レイニング チャンプの定番である「ミッドウェイトテリー」のスウェットパーカとスウェットパンツ。本格的なつくりでありながら、現代的なセンスやアイディアも盛り込まれていて、着続けていけばロッキーが着用したような風格さえ漂うことだろう。

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映画『ロッキー』でスタローンが着た、霜降りのスウェットシャツが現代に蘇る

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名品スウェットシャツ② トイズ マッコイ「S.McQUEEN SWEAT」

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映画『大脱走』でスティーブ・マックイーンが着用したスウェットシャツを完全復刻したモデル。モデル名は「S.McQUEEN SWEAT」。旧式の吊り編機で編まれた裏毛のコットン100%素材を使い、縫い目のない「丸胴」の仕様。袖も最初から映画と同じようにカットオフされている。¥20,900(税込)/トイズ マッコイ

第2次世界大戦末期の捕虜収容所を舞台にした脱走映画の名作であり、名優スティーブ・マックイーンの代表作でもある『大脱走』(1963年)。主人公のひとり、スティーブ・マックイーン演じるバージル・ヒルツ大尉が、革のフライトジャケットA-2の中にいつも着ていたのがブルーのスウェットシャツだ。クルーネックでラグランスリーブという極めてスウェットシャツらしいデザインで、カーキ色のチノーズと、スエードかヌバックと思われる茶の編み上げのブーツを合わせている。

このマックイーンが着たスウェットシャツを忠実に再現したのが、1996年に日本で創業したトイズ マッコイ。ヴィンテージのラグランスリーブのスウェットシャツをモチーフに、劇中でマックイーンが着たものと同じように袖のカットオフを再現している。色もやや赤みの強いブルーで、使い込んでいくうちにマックイーンが着たような色褪せた感じになるだろう。

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映画『大脱走』でマックイーンだけがスウェットシャツを着ている理由

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名品スウェットシャツ③ ジェームス パース「コットンフレンチテリー クルーネックプルオーバー」「バックパイル スエットプルオーバー」

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左のグレースウェットシャツはメンズ向けの「コットンフレンチテリー クルーネックプルオーバー」。ライトウェイトでソフトな着心地が楽しめる「フレンチテリー」と呼ばれる素材が採用されている。コットン100%。一方、右の白スウェットシャツはウィメンズ向けの「バックパイル スエットプルオーバー」。定番素材「バックパイル」を使用、短めの着丈が洒落ている。薄手のコットン100%の天然生地で着心地もソフト。両者ともアメリカでつくられている。左:¥25,300(税込)、右:¥28,600(税込)/ともにジェームス パース

プロのダンサーを夢見る女性の愛と友情を描いた青春映画の秀作『フラッシュダンス』(1983年)。ジェニファー・ビールス演じる主人公アレックスは、首元が大きく空いていて、肩から下着のストラップを覗かせるスウェットシャツを着ていた。70年代にスウェット素材を使ったアイテムで一世を風靡したアメリカのデザイナー、ノーマ・カマリのアイテムを連想するが、現在のウィメンズのスウェットアイテムのデザインにも同じようなものを見掛けることも多い。

アメリカのロサンゼルスで1994年に生まれたジェームス パースのスウェットシャツは、メンズ、ウィメンズとも裾が切りっぱなしになったデザインで、映画でアレックスが着ていたスウェットシャツにも通じる。どちらもこのブランドらしい上質な素材を使い、シンプルな意匠ながら裾のデザインでリラックス感を演出している。

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80年代を代表する青春映画『フラッシュダンス』を思わせるスウェットの名品

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名品スウェットシャツ④ Gap「Gapロゴ カーボナイズドフリース プルオーバーパーカー」

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モデル名は「Gapロゴ カーボナイズドフリース プルオーバーパーカー」。頭から被るプルオーバー型のパーカだが、「リラックスフィット」でデザインされているので、着心地は快適だ。生地表面の起毛を最小限に抑える「カーボナイズド加工」が施されており、吸収性が高く、速乾性にも優れている。素材は70%コットンとポリエステル30%。¥3,990(税込)/Gap

フェイスブックの創設者であるマーク・ザッカーバーグの半生を描いた映画が『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)。オープニングでハーバード大学2年生のザッカーバーグがガールフレンドとダイナーで話す場面で着ていたのが、アメリカを代表するカジュアルブランド、Gapのグレーのスウェットパーカだ。他にも彼がスウェットパーカをユニフォームのように着ているシーンが何度も登場する。

ザッカーバーグが愛用したGapは、1969年にサンフランシスコで創業された人気ブランド。ベーシックなスウェットパーカは、クリーンでシンプルなアメリカンスタイルを志向するGapを象徴するアイテムのひとつ。上質な素材と丁寧な縫製で、スポーツからデイリーまでオールマイティに使え、トレンドやシーズンに関係なく着用できる。

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マーク・ザッカーバーグの"ユニフォーム"はGAPのスウェットパーカ

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名品スウェットシャツ⑤ ヘルスニット「トンプキンス スウェットクルーネック」

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モデル名は「トンプキンス スウェットクルーネック」。1940〜50年台にアメリカで製作された特殊な編機を使って編まれた裏毛素材を使用。前身頃と後ろ見頃の襟元に「Vガゼット」を配置したクラシックなデザイン。ボディの縫い目は「丸胴」タイプではなく、片方だけに縫い目が入る珍しい仕様。カラーはこの霜降り以外にもオフホワイト、ネイビーなどを展開している。¥8,360(税込)/ヘルスニット

名匠スティーヴン・スピルバーグが弱冠27歳でつくった映画が『ジョーズ』(1975年)。主人公の警察署長ブロディと共に巨大サメの退治に挑む海洋学者フーパーがいつもスウェットシャツを着ていたが、カーキの制服姿が印象的なブロディもよく観るとスウェットシャツを着ている。フーパーはいかにも着込んだ普段着風にスウェットシャツを着ているが、海の嫌いなブロディは色も濃いネイビーでおろしたて風。着古している感じには見えない。

フーパーが着ていたスウェットシャツのイメージを求めて探し当てたのが、アメリカで1900年に創業されたブランド、ヘルスニットが作った、霜降りのクルーネックのスウェットシャツだ。1940〜50年代のアメリカ製の編機で編み立てられた裏毛素材を使用した生地は、空気をたっぷり含んで柔らか。しかもクラシックなセット・イン・スリーブのデザインで、古き良きアメリカを感じさせるスウェットシャツになっている。

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映画『ジョーズ』登場するスウェットシャツに見る、70年代的カジュアルスタイル

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