米が躍らぬ“かまど炊き”で、 ふわりと理想のご飯が炊けるIHジャー炊飯器

  • 文:神原サリー
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瞬熱真空釜 IHジャー炊飯器5.5合
〈炊飯器〉

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操作時のみ液晶が光るミニマルなデザイン。よそったご飯の量からカロリー目安を算出し、表示する機能もある。「瞬熱真空釜 IHジャー炊飯器 5.5合」¥60,980(実勢価格)

「本物の炊飯器は米をおどらせない」。新製品発表会で目にしたフレーズに、なんと挑戦的なアプローチを仕掛けてきたものかと驚嘆した。だが実際に炊いてみれば、粒立ちもツヤも甘みも申し分ない。開発のスピード感を売りにするアイリスオーヤマが、構想から約4年の歳月をかけて完成させた瞬熱真空釜炊飯器である。

仙台に本社を置く同社は、東日本大震災で甚大な被害を受けた農業の復興支援のために、2013年に精米事業へ参入。続いて15年に炊飯器市場に参入した。値ごろ感のある炊飯器でよりおいしいご飯を食べてほしいと、米の量に合わせて最適な水量を知らせる「量り炊き」や、銘柄炊き分けの機能を搭載するなど、着々とファンの裾野を広げてきた。その気概は「米屋がつくる炊飯器」という言葉からも察せられる。そんな同社の次の一手は、「かまど炊き」のご飯を目指すことだった。

炊飯器を扱うメーカーが必ず口にする「かまど炊き」だが、アイリスオーヤマの着眼点は釜の中を均一に加熱させ、温度ムラをなくすことができるのなら、米粒を躍らせる必要もなく、圧力をかける必要もないのではないかということ。これを実現させるために、LED照明で培った熱伝導技術ヒートパイプが使われている。内部を真空状態にした二重構造の内釜を採用し、そこに閉じ込めた作動液が加熱の際に蒸気に変化して、一瞬で釜全体に広がるという仕組みだ。

釜の中で水を対流させていないため、米の表面を傷つけることなく炊き上がり、釜の天面、中央部、底面、いずれの部分でも均一で米が崩れないのが特徴だ。しゃもじを入れた時に粘りつく感じもなく、小気味よいほどにふわりとほぐれていく感じは称賛に値する。

構造上、内釜は約1.9㎏とかなり重くて扱いやすいとは言えないが、マットなブラックで仕上げたシンプルなデザインに、操作時のみ光るタッチパネルを採用した意欲作だ。

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炊飯釜に業界初となる熱伝導技術「ヒートパイプ」を採用。高速の熱伝導によって、均一な加熱を実現。米粒を躍らせずに、ムラなくふっくら炊き上げることができる。

神原サリー

新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と取材をもとに独自視点で発信。東京・広尾の「家電アトリエ」をベースに、テレビ出演や執筆、コンサルティングなど広く活躍中。

●電気製品アイリスコール TEL:0120-311-564