一度は憧れる、スタイルアイコンとして不動の名優たち。彼らを象徴する不朽の名作を東京の古着屋で発掘したい。それぞれの紹介とともに着こなしのポイントを知ろう。
PAUL NEWMAN × N-1Deck Jacket

オスカー男優が愛した、アメリカ海軍の名作。
『ハスラー』『スティング』などの名作で知られ、1950〜70年代のハリウッドを代表する名優ポール・ニューマン。銀幕でいつもダンディなスタイルを披露していたが、ダニエル・オブライエンが書いた伝記『Paul Newman』の表紙で着ていたのがデッキジャケットだ。40〜50年代に米海軍の兵士に支給されていたもので、種類はいくつかあるが、ポールが愛用したのは「N-1」と呼ばれるモデル。襟と裏地にボアを貼り、防風性や防水性を備え、高い実用性を誇る。このジャケットを着て、くわえ煙草で街を歩くポール。映画とは違い、柔和な表情が印象的だ。

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WOODY ALLEN × Check Shirt


奇才が着こなした、NY流のチェックシャツ
1977年に公開され、アカデミー賞をはじめ数々の賞を獲得した『アニー・ホール』。監督で、自ら主役を演じたウディ・アレンが映画で披露したのは、時代を象徴するニューヨーク的なトラッドスタイル。さまざまなチェックのシャツを幾度も着替えてスクリーンに登場する。チェックシャツに合わせたのはプリーツが入り、ゆったりしたシルエットのチノパン。彼が着ていたのはほとんどが当時、ニューヨークで最も注目されていたポロ ラルフ ローレンの製品だ。ウディはデザイナーの私物まで借りて映画で着ていたと聞く。

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JAMES DEAN × Nylon Anti-Freeze


真っ赤なブルゾンに、”アメリカ”を夢見た。
亡くなって65年も経つが、いまもカリスマ的な人気を誇るジェームス・ディーン。彼が1955年公開の『理由なき反抗』で着ていたのが、1921年創業、アメリカを代表するマックレガーの真紅のブルゾン。諸説あるが、「ナイロン・アンチ・フリーズ」というモデルを着ていたといわれる。表地にナイロン、裏地にパイルのボアが使われた、名前通り防寒に優れたブルゾン。ジェームスは低い位置でファスナーを留め、中に着たTシャツを見せるように着ていた。当時、彼の赤いブルゾンはアメリカそのものであり、“青春の証し”だった。

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MARLON BRANDO × RiderS Jacket

反骨精神を胸に抱き、名優は革ジャンを纏った。
1972年の『ゴッドファーザー』でマフィアのボスを演じたマーロン・ブランドだが、ファッションアイコンとして一躍注目され、映画界での地位を不動にしたのが1953年の『乱暴者』だ。暴走族の抗争を描いた作品で、ブランドはバイク乗りらしいライダースジャケットを着ていた。こちらも諸説あるが、革ジャンはデュラブルという会社の「ワンスター」というモデルという説が有力。その名の通り肩に星型スタッズがひとつ輝き、反骨さが伝わるデザイン。このジャケットを着たセクシーでタフな彼に若者たちは熱狂した。

※この記事はPen 2020年7/15号「東京古着日和」特集より再編集した記事です。