レモンサワーは「概念」だ

  • 文:田中 開

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こんにちは、田中開と申します。

社会に出てから、というと色々と個人差があるのですが、ひとまず会社を興して6年で、飲食店の経営を中心に、イベントやプロデュースなど色々とやりました。よく知られているお店は、新宿ゴールデン街にあります『OPEN BOOK』かと思います。お店に立ったり立たなかったりですが。コロナで営業が不安定な時期ですので、雇用は少なく、自ら店舗も面倒をみるようにしています。

オープンブックは、自分で言ってしまうと、昨今のレモンサワーブームの嚆矢になったお店です。1杯1000円する、そしてそれ相応に美味しいレモンサワーが画期的だと、取り上げられました。

ですので、レモンサワーのことを話しましょう。レモンブームがどのような構造か、レモンサワーのマーケット、レモンサワーの歴史、最近美味しかったレモンサワー、そもそも美味しいレモンサワーってどういうことだ。こんな話をじゃんじゃかしていきたいのですが、その前にお伝えしたいことがあって、レモンサワーは概念だということです。

(ほんとはレモンサワーのことより、最近面白かったオールナイトニッポンの回みたいな話のほうが好きですが、レモンサワーのほうが需要はありそうなので、そちらを主軸に話します)

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各々がそれぞれの解釈で出せばいい

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レモンサワーというと、焼酎のソーダ割にレモンを入れて完成みたいなイメージですが、これってかなり人によって解釈が違うと思います。

レモンは絞ってジュースで入れるのか、そもそも安居酒屋ならば、レモンの香料が入っただけのシロップやスピリッツを炭酸で割っただけどいうのもあります。

レモンは絞るべきか、レモンの風味がすればそれでいいのか、焼酎であるべきか、別のお酒でもいいのか。というか、そもそも炭酸で割るべきなのか・・・。

あと、 ”サワー”と”ハイ”というと区別がないように聞こえます。ハイはハイボールのハイからきたはずですが、それであれば、炭酸割りになるはずですが、ウーロンハイ・緑茶ハイ、のように無炭酸のほうがイメージ的には強い気がします。そして、レモンサワーは”サワー”、レモンハイ、とはあまり言わない。

と色々と考えた中で、僕が出した答えは、レモンサワーは大きな概念であって、各々がそれぞれの解釈でレモンサワーを出せばいいということ。そして、実際に多くの店でそのような扱いを受けているのがレモンサワーだと思います。

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この活動は、とてもアジア的

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面白いのが、そういった構造にはみんな気がつかず、各々が勝手なレモンサワーを作っている。非中心的なこの活動は、とてもアジア的だなとも感じます。

レモンが入っていない、とか、焼酎が入っていない、とか、それでレモンサワーかどうかという原理主義的な議論をするのではなく、手前味噌のようにみんなのレモンサワーを個人的につくる。そんなカルチャーがあるといいな思っています(とはいえ、個人的には、自分のレモンサワーが一番だと思うし、安酒で作っただけのレモンサワーは飲みません。)。

そういうこともあって、レモンサワーは概念、楽しくやろう、というのが最近のモットーです。

OPEN BOOK
https://openbook.tokyo/

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田中開

フードクリエイター

1991年生まれ。早稲田大学基幹理工学部卒。祖父は新宿ゴールデン街をこよなく愛する直木賞作家の田中小実昌。その縁もあり、ゴールデン街にレモンサワー専門店「OPEN BOOK」をオープン。渋谷「レモンライス東京」の開店も話題に。日本橋兜町のホテルK5内にbar AOも運営。

田中開

フードクリエイター

1991年生まれ。早稲田大学基幹理工学部卒。祖父は新宿ゴールデン街をこよなく愛する直木賞作家の田中小実昌。その縁もあり、ゴールデン街にレモンサワー専門店「OPEN BOOK」をオープン。渋谷「レモンライス東京」の開店も話題に。日本橋兜町のホテルK5内にbar AOも運営。