『横尾忠則:The Artists』展が21_21 DESIGN SIGHで開催、自由闊達な描写による139の肖像に注目

  • 文:川上典李子

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【Penが選んだ、今月のアート】

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『荒木経惟』2014年 © Tadanori Yokoo © André Morin 肖像画一点一点の異なる表現手法に驚く。展示デザインからも横尾のほとばしる情熱がうかがえる。カルティエ公式サイトも見れるインタビュー映像も必見。

横尾忠則は多くの人物を描いてきた。三島由紀夫、澁澤龍彦、原節子……。その横尾は、現代の人々も描き続けている。2006年に横尾の個展を開いたパリのカルティエ現代美術財団の依頼により始まった、同財団ゆかりの「アーティスト」たちの肖像画だ。同財団のゼネラル ディレクター、エルベ・シャンデスはこう振り返る。「2000年代初めに横尾さんのアトリエでお会いし、異彩を放つ頭脳と芸術に驚嘆させられた」

シャンデス自らキュレーションを手がけた本展は、最新作となるダミアン・ハーストの肖像画を含み、これまでの「アーティスト」の肖像画すべてが披露される貴重な展覧会だ。同財団の建物を設計したジャン・ヌーヴェルをはじめ、139作品で構成。映画監督のデヴィッド・リンチやル・リード、先日亡くなったクリスチャン・ボルタンスキーの姿もある。

荒木経惟、杉本博司、三宅一生など日本人も含まれ、同財団での個展で注目を集めた川内倫子や石上純也など、各氏の雰囲気が見事表わされている。作品サイズはすべて同じだが、表現手法は一枚一枚大きく異なり、自由闊達な描写がまさに横尾の世界だ。

「いま描いた絵がすべてとは思わず、違う表現があるはずだといつも考える。結果として、10点描くと異なる10の表現となってきた。違う人格を描くポートレートで、作品の様式が変わるのは、僕にとって自然なことです」

創作について語る横尾のインタビュー映像が会場で紹介されている。その言葉は力強い。

「どんな場合もプロセスが大事で、そこには変化がある。未完は創造」

肖像画には独自のユーモアも込められていて、それも大きな醍醐味だ。さまざまな人々との出会いや発見を受けとめつつ制作に没頭する横尾の姿が目に浮かぶ。

横尾はこう言い切っていた。「閉塞状況を切り開いていけるのがアートであり、いまは刺激的な時間」。そのエネルギーが本展会場からも鮮烈に伝わってくる。

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『ウイリアム・エグルストン』2014年。 © Tadanori Yokoo © André Morin

『横尾忠則:The Artists』

開催期間:7/21~10/17
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
TEL:0120-301-757(カルティエ カスタマー サービスセンター)
開館時間:11時~17時(土、日、祝は18時まで)
休館日:火
無料
開催の詳細はサイトで確認を
www.2121designsight.jp

※臨時休止、展覧会会期や入場可能な日時の変更、入場制限などが行われる場合があります。

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