オフの日の相棒に、写真家・長山一樹のライカの使い方

  • 文:ガンダーラ井上

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パリの街角で。仕事ではなく「日常の光景を撮りたくて」と長山さん。窓には反射する自分の姿が。

メインの仕事道具としては他機を使っていても、ライカにはまた別の愛着をもって接する写真家たちがいる。写真家・長山一樹さんにその愛の遍歴をたどってもらった。

計算式にない“画”を撮れる、オフの日の相棒です。

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Leica M-P(Typ240)/いまやアートピースとして扱われるアンティークのランプ(右)とともにあるのは、ライカM(Typ240)の赤いブランドロゴを取り去り、控えめさを追求したライカM-P(Typ240)。レンズはアポ・ズミクロン75mm。

長山一樹さんは、1億画素のハッセルブラッドで作品制作をするハイエンドカメラの使い手だ。

「写真家は結果を出す方法論をもて、と厳しく教育されてきました。考え抜いた上でその画を固めていく、イメージ通りの写真を撮れるのがプロの存在理由だと。アバウトな状態でとりあえずのシャッターは切りたくない。でもそうやって画面構成を追い込むほど、被写体よりも撮影者の狙いが出てしまう場合もある。仕事としてはそれでいいんですけどね。だからオフの時くらいは計算式にない写真を撮りたいと思ってライカを使います」

ライカのフレームは曖昧だからこそ、目の前の光景を素直に記録する。長山さんにとってライカは張り詰めた神経が緩む「休息」の象徴なのだろう。

長山一樹(ながやま・かずき)

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1982年、神奈川県生まれ。高校卒業後、スタジオ勤務を経て守本勝英に師事。07年に独立し、ファッション分野を中心に活躍。ハッセルブラッドのアジアアンバサダーを務める。

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※この記事はPen2019年3/1号「ライカで撮る理由。」特集よりPen編集部が再編集した記事です。