雨の日に外出してシューズに水が染み込み、濡れた靴下を履き続けると気分まで落ち込む。晴天でも急に豪雨になり、足元がびしょ濡れになって困ることも少なからず。「備えあれば憂いなし」の格言通り、防水性のあるシューズを日常使いすると生活が快適になる。雨という余計な不安から解放される。旅先で履けば足取りも軽くなる。天候不順な日が続き台風も心配な今年こそ、レインシューズを活躍させよう。高機能な服の人気が高い近年は、全天候型の毎日履けるシューズも増えてきた。今回のファッション連載「着る/知る」Vol.114では、大人の足元にふさわしいクールな4足をセレクト。ニューノーマルで仕事着もカジュアルになった現代生活にフィットするラインアップだ。
ゴアテックス搭載の進化版ワラビーブーツ
イギリスのカジュアルシューズの代名詞、クラークスの定番ワラビーが、防水フィルムのゴアテックスを搭載してレインシューズになった。ゴアテックスには汗の蒸気を外に逃がす通気性があるため、普段履きとして一年中快適に履けるだろう。アッパーはアウトドア用バックパックのごとく、スエード革、表革、テック素材の異素材ミックス。仕立てはワークブーツで、アウトソールはグリップ力や耐摩耗性に定評のあるソール専業メーカーのビブラム社のものだ。歴史あるワラビーの味わいを踏襲しつつ進化したこの軽量な一足は、トラッド調のカジュアルウエアがよく似合うだろう。
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英国王室御用達に輝く、ゴム長靴の最新版
イギリスのカントリーやガーデニングの伝統習慣を支えるゴム長靴の老舗ハンターも、いまの時代に向けた製品開発を常に行っている。彼らのアイコニックなチェルシーブーツ(サイドゴアブーツ)の最新版がこの「バルモラル ハイブリッド チェルシー」だ。成型アッパーはトラディショナルなゴム素材で、履き口のゴムとライナーはウェットスーツにも使われるネオプレン素材。アウトソールはこのシューズのために開発されたビブラム社製である。モードブランドと見間違うほどの洗練されたこのブーツを、アウトドアから街中まで幅広く活躍させよう。
ハイテク技術を搭載したミリタリー調
砂漠用コンバットブーツの表情を持つこの一足は、ザ・ノース・フェイスの新作トレッキングシューズ。タブ類のパーツまでベージュの1トーンで揃えられた、ミニマルで抑制の効いたデザインだ。スウエットシャツ+デニムなどのレトロなスポーツスタイルとも相性がいいだろう。アッパーに搭載されたのは近年にスポーツシューズ用に開発された、「ゴアテックス インビジブルフィット」。高い防水性とフィット感とが両立されたフィルム素材だ。アウトソールは水はけのいいアンフィグリップタイプ。アウトドアとタウンとをシームレスにつなぐ汎用性の高いシューズである。
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地球環境を守る、染めない白
ロードレースのランナーやアスリートに支持されるスイスのオンが制作したのが、リサイクル素材の合計比率が40%の環境に配慮したハイキングシューズ。アッパーの色がアウトドア用らしからぬ白なのは、素材の染色に必要な資源を削減するため。防水メンブレンまでも50%が再生素材というこだわり具合だ。制約のなかでこれほどスタイリッシュなルックスに仕上げたセンスはオンならでは。複雑に分割されたアイコニックなソールは高い衝撃吸収力と反発力を約束し、パフォーマンスにも妥協はない。雨の日こそクリーンな白を履く、そんな新しい都市生活がここからはじまる。
記事内で紹介した4型以外にも、各ブランドのラインアップには防水仕様のシューズがある。ご自身のファッションと生活スタイルに合う一足を探して、奥深いレインシューズの世界に足を踏み入れよう。

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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