技術と発想で勝負!「捨てない」アイデアの最前線<海外編>

  • 文:高田昌枝(パリ支局長)、河内秀子、神咲子
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持続可能な社会へとつながる新素材の開発や、斬新なアイデアが光る建築や日用品など、いま注目のモノ・コト・ヒトを集めてみた。

<フランス>
インテリアもまるごとアップサイクル、移転&再利用もできる仮設施設がお目見え

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子ども向けの科学ワークショップとして親しまれている施設「パレ・ドゥ・ラ・デクヴェルト」は、2024年のパリオリンピックに向けて改装工事中。その間は、建築も内装も環境に配慮した仮設建築「レ・ゼタンセル」が活動の舞台となる。色とりどりの三角屋根を戴いた木製モジュールは、使用後にたやすく解体・再利用できるのが特徴。内装には、家具の再利用はもちろん、もとの建物で使い込まれた展示用の棚や床板、掲示物などを活用。つくり付けのカウンターやコートかけ、ベンチなどに転用し、約17トンの廃材をアップサイクルした。床は金属製の杭で持ち上げた高床式なので、コンクリートは不使用。建物を撤去した後に残るのは思い出だけ、というわけだ。

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小学校から放出された椅子に、事務用チェアの脚を組み合わせた。
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レ・ゼタンセルでは科学や物理などのワークショップを開催。内装の棚や教壇は、工事中のパレ・ドゥ・ラ・デクヴェルトから運び出された家具や展示機材、廃材をアップサイクルしたもの。© Lévy-EPPDSCI
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可能な限り事前にパーツを組み立て、現場での工事による騒音をなるべく排除し、建設中の環境にも配慮。© A.Robin-EPPDSCI

Les Étincelles du Palais de la Découverte

Jardin Caroline-Aigle, 186, rue Saint-Charles 75015 Paris
www.palais-decouverte.fr/fr/venir-nous-voir/les-etincelles

欧州最大のサステイナブルフロアが、プランタン百貨店の最上階に今秋登場

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本館最上階のフロアは1300㎡。歴史建造物指定の階段やドームを擁する、由緒ある空間だ。

プランタン・オスマン本館に今年9月21日、循環型経済にこだわった売り場がオープンする。サステイナビリティを重視したプロダクトに加え、ヴィンテージも充実の品揃えだ。服のお直しや金継ぎなどの相談カウンターもあり、壊れたり不要になった服やモノについて修理や買い取りの相談にものる。売るだけではない、サービスも含めた取り組みが新しいと話題を呼んでいる。

脱プラ容器のカギは固形化にあり!ポップなトイレタリー

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左から、錠剤を噛み砕いて使用する歯磨き粉、錠剤を湯で溶かして使うシャワージェルとハンドソープ。ジェルのレフィルは240ml(6ユーロ)で販売している。 https://900.care

歯磨き粉やシャンプーなど、トイレタリー商品のほとんどは液体のため、容器もプラスチックが主流だ。ならばレフィルを固形にすれば軽量化できるし、パッケージも紙製でいけるのでは? そんな発想をもとに生まれたブランド、900.care(ヌフサン・ケア)がブームに。ネット販売や有名スーパーへの入荷も始まっている。

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ブランド創業者のエムリック・グランジュ(左)と、トマ・アルノード。

Printemps Haussmann

64, boulevard Haussmann 75009 Paris
www.printempsfrance.com/magasins/paris-haussmann

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<スウェーデン>
背景やプロセスを学び、納得の一着に出合う

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アメリカンコットンなど、店では服の原料を実際に手に取って確認できる。

“透明性”を大切にし、生地や糸などのルーツや原価を消費者に明示したアスケットは、ネットショップからスタートしたファッションブランドだ。今年、初の路面店がストックホルムに誕生した。店では素材の値段や輸送費、仕入れ値を開示し、商品を販売。店員のていねいな説明を聞くことで、購入前に本当にその商品が必要かが検討でき、結果、長く愛用できる納得の一着に出合えるという仕組みだ。

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左:二酸化炭素排出ゼロのパーマネントコレクションを提案するのが目標の、創始者のふたり。ヤコブ・ドヴォロスキー(左)と、オーガスト・バード・ブリンゲウス。 右:オックスフォードシャツ(950SEK)など、飽きのこないベーシックなアイテムを揃える。

Asket

Norrmalmstorg 1, 111 46 Stockholm
www.asket.com

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<ドイツ>
グラフィックで楽しく考えさせる、インスタアカウントがブームに

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2019年にベルリンで開設されたインスタグラムのアカウント「ベルリンでサステイナブルに生きる」。ソーセージとビールの二酸化炭素排出量の比較や、「洗濯機と乾燥機を買って布オムツを何度も洗って使う場合と、使い捨てオムツのどちらがエコか?」など、なにかを買う時に参考にしたい比較記事を投稿。真面目すぎない切り口で、消費や気候変動への意識が高まるアカウントだ。

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ベルリン名物であるカレーソーセージ1本とオクトーバーフェストのビール16L、実は二酸化炭素排出量は同じ⁉IGアカウント:@nachhaltigerlebeninberlin

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※この記事はPen 2021年10月号「捨てない。」特集より再編集した記事です。