地方都市の隠れた魅力に光を当て、地域と旅人をつなぐプラットフォームとして新たな交流と循環を生む宿が続々と誕生中!
1. ベッドアンドクラフト/富山県南砺(なんと)市

「職人に弟子入りできる宿」がコンセプトの、富山県南砺市井波の分散型ホテル。井波は日本一の木彫刻の街で、宿泊客は職人の工房を訪れ、弟子入り体験できるのが特徴だ。もと建具屋や料亭を改修した6つの宿泊棟は、彫刻家や陶芸家などそれぞれ異なる作家が設計段階から関わり、自身の世界観を表現するギャラリー的な役割も果たす。
開業当初は外国人客が大半だったが、日本人の間での認知度も上昇中だ。「井波にはベッドアンドクラフトがある、と地元の人が誇ってくれるようになった。60代の人が喫茶店を始めたり、移住者がカフェやパン屋を開いたり。井波に将来性を感じる人が増えている証しです」と、代表で建築家の山川智嗣は話す。
現在は地元の若手起業家と、100年後の未来に井波文化を継承するチーム「ジソウラボ」を結成。開業から5年、手応えを感じつつさらなる進化を目指す。



Bed and Craft
住所:富山県南砺市本町3- 41 BnCラウンジ
TEL:0763-77-4138
全6室
料金:タエ¥32,000〜 ※1室2名利用時の2名の料金、朝食付き、税・サービス料込み
アクセス:JR金沢駅からバスで約75分、砺波ICからクルマで約15分
https://bedandcraft.com
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2. セカイホテル布施/大阪府東大阪市

セカイホテル布施が立つのは、難波から近鉄電車で約10分という東大阪市布施駅前。戦前から、地元の人で賑わう商店街の中にある。点在する、もと呉服屋や婦人服店といった7棟がフロントや宿泊施設に。町工場がひしめく土地柄にインスパイアされ、インダストリアルな雰囲気にリノベを施した。
大浴場は商店街の銭湯、朝食会場は近所の喫茶店というように、商店街全体をホテルの施設に見立てている。「数多ある地域活性の事例で、土地の伝統やキャラクターが消費され、疲弊しているのを見てきた。知らない土地の日常を楽しむ、ありのままの姿を大切にする、というコンセプトは創業当時からのもの」と、代表の矢野浩一。
リピーター客は第二の地元のように馴染みの飲食店へ顔を出し、商店街の面々は宿の若いスタッフを応援する。下町の風情が残る街らしい、温かな交流が生まれている。



SEKAI HOTEL Fuse
住所:大阪府東大阪市足代1-19-1
TEL:06-6748-0750
全12室
料金:N3¥21,500~ ※1室2名利用時の2名の料金、朝食付き、税・サービス料込み
アクセス:近鉄・布施駅から徒歩約7分
www.sekaihotel.jp
※この記事はPen 2021年10月号「捨てない。」特集より再編集した記事です。