展覧会も話題の韓国ドラマ制作会社スタジオドラゴン、海外売上も急上昇で勢いが止まらない!

  • 文:Pen編集部

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マフィアの相談役だった弁護士(ソン・ジュンギ)が巨悪と過激にやり合う『ヴィンチェンツォ』。

『愛の不時着』を筆頭に、話題作が続く韓国ドラマ制作会社・スタジオドラゴン。今夏、『ヴィンチェンツォ』『スタートアップ 夢の扉』『キム秘書はいったい、なぜ?』という3つの人気作をフォーカスした『スタジオドラゴン 韓ドラ展』も開催されいっそう注目度が高まっている(会期は8/28まで)。衣装や再現セットに名場面の数々を思い出し、家に帰って見直した、2周目突入~の声もチラホラ。

Penは8月号「ヒットの秘密」特集で、「ヒット作連発!スタジオドラゴンの強みと戦略」と題し、この制作会社のユニークさに迫った。スタジオドラゴンは2016年にCJグループのメディア関連事業を扱うCJ E&M(のちCJ ENM)によって設立。20年の総売上高は5,257億ウォンと、韓国最大規模のドラマ制作スタジオだ。本展を機にスタジオドラゴンのライセンスビジネス局局長、ユ・ボンユルさんにインタビュー。20年の制作ドラマ本数は27本。その構成比について次のように語る。

「20年の売上高構成は、テレビ放送で放映権を販売する『編成売上高』が38%、OTT販売およびVOD売上などを加えた『売上高』が53%、IP事業の他、付加事業を含む『その他の売上高』が9%、の大きく3つに区分されます。売上高の内訳は、国内19%、海外81%です」

海外の売上が圧倒的であるのは、昨今の韓ドラ人気から推して知るべしだが、コロナの巣ごもり需要の影響はどのぐらいだったのだろうか?

「19年の制作本数は28本で、総売上高は4,687億ウォンでした。20年の売上高増加は海外売上高の成長が最大の要因です。海外売上高は、19年が1,604億ウォン、20年が2,266億ウォンと41%増でした。コロナ禍によって、家で過ごす時間が増加。OTTプラットフォームの成長によってドラマなどのメディア消費が増え、コンテンツの需要が増大したのです。パンデミックは、撮影中の感染対策の他、海外ロケの制約や、国内においてもロケ地交渉に難航するなど現場には困難をもたらしましたが、海外ファンに韓国ドラマが広く知られるという肯定的な側面もありました」

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これまで韓国ドラマを意識していなかった人々が見る機会が増えたというわけだが、作品がつまらなければ現在の成功はない。たとえば、今春、ネットフリックスで視聴ランキング上位を走り続けた『ヴィンチェンツォ』は、マフィア弁護士VS巨悪な企業という闘いを、コメディとノワール、両方のタッチで描き出し社会的なメッセージも盛り込んだ痛快な一本。視聴者を夢中にさせるのは、こうした作品の力であり、プロデュース・企画が優れているからこそ海外の視聴者もハマる作品が誕生する。スタジオドラゴンは120名の脚本家、60名以上の演出家・監督、20社以上の制作会社と契約を結び、制作環境の構築と有能なクリエイターの確保に力を注いできた。新しい脚本家の発掘にも意欲的で、スタジオドラゴンは親会社のメディアエンターテインメント企業、CJ ENMと「O’PEN」という新人作家育成事業を興している。

ネットフリックスにおいては、『ヴィンチェンツォ』など、韓国でテレビ放映された当日、数時間後には日本語字幕付きで配信が行われる作品が出てきたことも、ファンを喜ばせている。ネットフリックス、CJ ENM、スタジオドラゴンは2019年に戦略的パートナーシップも結び、プラットフォームとコンテンツ制作の強力なタッグでさらに基盤は盤石に。コンテンツビジネスの未来を考える上でも、スタジオドラゴンには目が離せない。

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展覧会は『ヴィンチェンツォ』の名ゼリフで幕開け。頭上からソン・ジュンギ扮するヴィンチェンツォのセリフが聞こえてくる。

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ヴィンチェンツォ(ソン・ジュンギ)の着用衣裳も展示。ミラノ仕立てという設定のスーツとディナージャケットは細い。
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ハイテク業界で起業を志す青春ドラマ『スタートアップ 夢の扉』。ペ・スジ(左)とナム・ジュヒョク(右)が夢に向かって努力する若者たちを爽やかに好演。

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ナルシストな御曹司と敏腕秘書のラブコメ『キム秘書はいったい、なぜ?』。パク・ソジュン(左)とパク・ミニョン(右)という人気キャストが演じる温かいロマンスはコロナ疲れの癒しに。

『スタジオドラゴン 韓ドラ展』

開催期間:7/9〜8/28
会場:渋谷ヒカリエ9F ヒカリエホール
開館時間:10時〜20時
※入場は閉館の30分前まで
※最終日の8/28は10時~15時(最終入場14時30分)
料金:公式日時指定チケット1,700円(平日、税込) 1,900円(土日祝、税込)

問い合わせ先:「スタジオドラゴン 韓ドラ展」お問合せ事務局
kandoraten-faq@eplus.co.jp
http://kandoraten.jp

※臨時休止、展覧会会期や入場可能な日時の変更、入場制限などが行われる場合があります。

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