ビルから降ってきた“アライグマ”、真昼の救出劇の「決定的瞬間」【動画あり】

  • 文:高久純子

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Gothamist-YouTube

多くの人が行き交う日中のニューヨーク・マンハッタンの街中で、レスキュー隊とニューヨーク警察に見守られる中、地上6mほどのビルの出窓部分で立ち往生していたある動物が無事救出された。「犬?」それとも「猫?」。

ダウンタウンの高級住宅街で起きた真昼の珍事に、周辺には相当数の野次馬が集まった。しかし、ビルから降ってきた見慣れない生き物を判別することは、彼らにも難しかったようだ。準備された救出用のトランポリンにソフトランディングし、その後、素早く屋台のカートの下に逃げ込み、姿を消したこの動物の正体は、なんとアライグマだった!

このユーモラスな救出劇の映像は、TwitterやTikTokなどで拡散され、「ニューヨーク・ポスト」などの地元紙でも報じられた。アライグマは、日本ではテレビアニメ『あらいぐまラスカル』でお馴染みで、可愛らしく人懐っこいイメージだが、アメリカでは狂犬病やライム病などの感染症を媒介する動物として、あまりいい印象をもたれていない。英語では、Raccoon(ラクーン)と呼ばれ、もともとは北米全土の森林や湿地に広く生息していたが、その強い繁殖力と生命力、雑食性で都市部にも活動範囲を広げている。

昨今では、アライグマによる家庭ゴミ荒らしなどが、住宅街でも問題に。見た目が似ているタヌキとしばしば混同されがちだが、アライグマのほうが気性が荒く攻撃的。しかも指先が器用で、物をしっかりつかむことができるため木登りも上手。動きが素早く、泳ぎも達者で運動神経抜群だ。

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【動画】空からアライグマが降ってきた、「決定的瞬間」

Gothamist-YouTube

地元NYの情報ウェブサイトでは、木々が茂った公園の多いアッパーウエストサイドでの異常な数のアライグマの出没が報告されている。西96丁目のリバーサイドを散歩していたジェニファーさんは、ウェブサイト「I Love The Upper West Side 」にて、おびただしい数のアライグマが公園内に巣をつくり、集団で行動している様子や、ゴミを漁っている様子などを紹介している。近年アライグマは、セントラルパークなどのニューヨーク市内の公園でたびたび目撃されるが、2019年に、狂犬病に感染したアライグマの存在を確認し、ニューヨーク市の衛生局は、市民にアライグマに近づかないように呼び掛けている。

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アライグマには決して近づかないこと

「アライグマは、街の自然の一部です」と、ニューヨーク市公園局の野生生物ユニットディレクター、リチャード・サイモンは、街の情報を扱うウェブサイト「The Ticker」で語っている。 「人間が狂犬病をもったアライグマと接触することは非常にまれですが、アライグマを見つけた場合は、決して近づいたり、餌を与えたりしないでください」。また、今年6月に、公園局は、アライグマの狂犬病感染を防ぐため、予防ワクチン入りの餌の散布を再開しているという。