注目は郡上鮎と飛騨牛! 東京で堪能する、おいしい岐阜

  • 文:Pen編集部

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歴史を感じる街並みに、四季折々の自然と風景、そしてたくさんの美味。本州のほぼ中央に位置する岐阜県は、おいしいもの好きにはたまらない美食の宝庫。なかでも注目したいのが、いまや世界でも知られる存在となった飛騨牛と、清流・長良川が生んだ郡上鮎。旅行がためらわれる昨今、ここ東京で、旅する気分で岐阜の美味を堪能したい。

良質な水で育まれた、洗練の味と香り

岐阜の夏を代表する食材が、郡上(ぐじょう)鮎。鵜飼でも知られる、長良川の良質な水で豊かに育った藻を食すため、その身は繊細で香りは上品。かつて皇室に献上されていたといわれている歴史からも、特別な存在であることがうかがえる。

現在、東京のレストランでこの郡上鮎が楽しめる店は10軒を超える。そのなかでも、郡上鮎のおいしさに注目し、10年以上前から提供し続けているのが有楽町にあるグランメゾン「アピシウス」だ。

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一流の絵画やオブジェに囲まれた、重厚感あるアピシウスの店内。

今夏、郡上鮎を使った一品としてアピシウスが提案するのは「冷製郡上鮎とトコブシのシャンパーニュ蒸し キャビア添え」。乳白色の皿に、鮎、水ナス、トコブシ、パプリカ、ハーブなどが盛られた涼しげな前菜だ。主役の鮎は、身をシャンパーニュで蒸したのち、1日寝かせる。添えられているのは、骨とワタなどをミキサーで合わせた肝のソースと野菜のジュレ。

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前菜メニューの「冷製郡上鮎とトコブシのシャンパーニュ蒸し キャビア添え」¥8,000(税込、サ別)

岩元学シェフと、現地・長良川を訪れたこともある森山順一スーシェフはこう語る。

「毎年、温かい料理で提供していましたが、しっとりとした身と上品な香りを感じてもらいたかったので、今年は冷製にトライしました。臭みがまったくない郡上鮎だからこそできる一品です」

その言葉通り、口に入れると郡上鮎ならではのしっとりとした食感と、ほのかにシャンパーニュのニュアンスが感じられる。まわりを彩るトコブシやライムの酸味を纏った水ナス、キャビアの塩気、なによりもほろ苦い肝のソースが名脇役として鮎を引き立てる。

目にも舌にも涼しく清らかな一流ブランド鮎の味わいを、東京を代表する一流店で堪能したい。

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1983年からアピシウスで腕をふるい、2008年からはシェフとしてアピシウスを牽引する岩元シェフ。

アピシウス

東京都千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館ビルB1
TEL:03-3214-1361
営業:11時30分〜14時L.O.、17時30分~21時L.O.
定休日:日
ドレスコード:ジーンズ、スニーカー、短パン等の軽装は不可、男性はジャケット着用
www.apicius.co.jp
※新型コロナウイルス感染防止のため、休業日や営業時間が変更になる可能性があります。

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ハラールに対応した、岐阜が誇る飛騨牛の味

飛騨牛といえば、細かく上質な霜降りと、鮮やかな赤身が身上。その極上の味わいは、多くの料理人や食べ手を魅了している。世界的な和牛ブームもあり、飛騨牛もまた、海外に認知されつつあるが、宗教的な理由で牛肉を食せない人々がいるのも事実。このおいしさを、そういった垣根なしに味わってほしいと生まれたのが、イスラム教の戒律に沿って処理をされた「ハラール飛騨牛」だ。

東京駅丸の内駅舎内に立つ「東京ステーションホテル」のフレンチレストラン「ブラン ルージュ」では、9月5日までの期間限定で、このハラール飛騨牛を含めた「ハラール認証飛騨牛スペシャルコース」が楽しめる。

岐阜県産トマトの冷製スープや枝豆のムース、飛騨牛のリエットから始まるスペシャルコース。一品目から、飛騨牛の味の濃さ、脂の甘みをダイレクトに感じられる。

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「ハラール認証飛騨牛スペシャルコース」(¥15,000)より、1品目のアミューズブッシュ3種。

一カ月以上熟成させた内腿肉を低温調理した飛騨牛コールドビーフは、舌に寄り添うしっとりとした食感が魅力だ。さらに、隠し味のキヌア醤油が牛の風味を引き締めてくれる。

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コース2品目に登場する「飛騨牛コールドビーフ 本わさびとオーガニック豆腐のソース 高原野菜のサラダとともに」。

野菜本来の自然な甘みとエキゾティックな薫りに驚く「とうもろこしの濃厚冷製スープ カモミール香るグラニテ入り」ののち、提供されるのが「スズキのグリエ プロヴァンス風」だ。ふっくら肉厚なスズキの旨味もさることながら、注目したいのが添えられている岐阜県産ほうれん草。実はこちら、出荷の過程で除去されてしまう外葉を、冷凍して有効活用したサステイナブルな発想から生まれたもの。野菜の鮮やかな味わいとスズキの競演が印象に残るひと皿だ。

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ほうれん草やバジルのほか、トマトやズッキーニといった夏野菜が皿を彩る、「スズキのグリエ プロヴァンス風」

コースのメインとして登場するのが、飛騨牛ロース肉のステーキ。シンプルかつていねいに焼き上げた飛騨牛は、かみしめるたびに旨味が口中にあふれ、ほどよい弾力もたまらない。お好みで、合わせ塩、ネギとショウガのゴマ塩ソース、マスタードソースを添えてもいい。

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メインの「飛騨牛ロース肉のステーキ 三種のコンディメントとともに」。

「ニッポンのフランス料理」をコンセプトに掲げる同店。厳選した日本食材をふんだんに使い、フレンチでありながらどこかほっとする味わいは、ブラン ルージュならでは。

「ホテルという場所柄、老若男女、どなたがいらしても楽しんでいただけるよう心がけています。ハラール食材を活用するのも同じ考えからです。」そう話すのは、東京ステーションホテルの石原雅弘総料理長。飛騨牛の魅力を「寒い地域で育つため赤身も脂も濃く、なおかつ全体のバランスがいい。今回、ハラール飛騨牛を使いましたが、味は普通の飛騨牛と変わらず、素晴らしいです。」と語る。

より一層、楽しめる人が増えた飛騨牛。この機会に、岐阜県が誇る最上級の美味をぜひ堪能してほしい。

レストラン ブラン ルージュ

東京都千代田区丸の内1-9-1 東京ステーションホテル 2F
TEL:03-5220-0014
営業:11時30分〜14時L.O.、17時~19時L.O.
無休
ドレスコード:スマートカジュアル
www.tokyostationhotel.jp/restaurants/blancrouge
※新型コロナウイルス感染防止のため、休業日や営業時間が変更になる可能性があります。