ますます多様化するビールの世界。オンライン工場見学から、ありがたい「寺ビール」まで、シェアしたくなるニュースをお届けします。
Topic1. 次に来るのは、アジア発のクラフト⁉

今年オープンした「アクビ 台湾火鍋 精醸啤酒」では台湾や香港のクラフトビールを台湾小皿料理とともに楽しめる。
東京都渋谷区猿楽町2-13 F93Daikanyama 1F TEL:03-6433-7987 営業時間:12時~19時L.O.(通常は17:00~23:30)定休日:不定休
クラフトビール人気が定着する中、いま注目なのはアジアの銘柄。東京では樽生で飲める店も増えてきた。たとえば台湾料理とアジアのクラフトビールを楽しめる「アクビ 台湾火鍋 精醸啤酒(クラフトビール)」では、台湾の「タイフーブリューイング」の人気銘柄を中心に、常時10種類の樽生ビールを日替わりで提供している。スーパーや酒販店などで購入できる瓶や缶はまだ少ないが、5月には韓国の「サランへホワイトエール」が全国発売開始。甘みがあるヴァイツェンスタイルで、辛い韓国料理にもぴったりだ。

韓国発の「サランヘ ホワイトエール」330ml。¥396/友和貿易 TEL:03-5766-5755
Topic2. 日本で実現するか!?ホームブルーイング特区
クラフトビールの本場、アメリカではホームブルーイングが大人の趣味として広まりつつある。その規模は2017年時点で全米のビール生産量の1%におよんだ。日本では、自宅でビールをつくるには酒類製造免許が必要。ただしアルコール1%未満なら法律上は酒にならず、通販などでキットを購入すれば無免許でもビールづくりが楽しめる。19年には日本ホームブルワーズ協会が誕生し、ホームブルーイング特区の実現を目指している。今後の動向に注目だ。
Topic3. 自宅から参加する、オンライン工場見学

最近はさまざまなビール工場がオンライン見学を実施。たとえばキリンビールの公式サイトでは、「キリン一番搾り生ビール」の製造工程を紹介する動画を公開中だ。先端技術を活用して岩手県遠野市のホップ畑と仙台工場をつないだ約10分間の「IoA工場見学」では、生産者の目線を疑似体験できる。広いホップ畑を見渡せる「360度映像」も好評だ。オンライン版で予習をしてから実際の工場見学をすれば、ビールへの理解が深まる。
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Topic4. なんだかありがたそう、「寺ビール」で乾杯

山梨県身延山(みのぶさん)にある日蓮宗寺院、覚林坊の宿坊が開祖・日朝上人の生誕600年記念を祝い、クラウドファンディングを実施してクラフトビールを発売した。その名も「寺ビール」。醸造はアウグスビールが行っており、ホワイトビールの「ホワイト」、ピルスナーの「レッド」、IPAの「ブルー」という3種類がある。日朝上人のご利益「学業成就」「眼病守護」にちなみ、「身体の眼も心の眼も開いて幸せに」という祈りが込められているという。
Topic5. 微アルコールって、なにが違うの?

アサヒ ビアリーはアルコール度数0.5%のビールテイスト飲料。香り豊かなビールを醸造し、後からアルコールを除去する。原料は100%ビール由来。350ml。¥181(実勢価格)/アサヒお客様相談室 TEL:0120-011-121 ※実勢価格は編集部調べ
アサヒビールは今春、アルコール度数1%未満の商品群に「微アルコール」という新しいカテゴリー名を付け、販売を強化した。背景にあるのは、酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」というコンセプト。世代や性別を超えて増えつつある、「自分のペースでゆっくりお酒を楽しもうとする人々」に寄り添う考え方だ。6月に全国発売された「アサヒ ビアリー」は、このカテゴリーを代表する新商品。原料はビールと同じで、製造工程も麦芽に酵母を加えて発酵させるところまでは同じ。違うのはその後、蒸留してアルコール分を抜いてからろ過している点だ。そのため、ビールがもたらす心地よさやリラックス感は楽しめるものの、アルコール度数は一般的なビールの十分の一程度。たとえば読書や映画鑑賞の最中など、「酔いたくないけれどリラックスしたい」という時にうってつけだ。
Topic6. もろこし限定!マッチングビールにハマる

昨今、特定の料理との相性を追求した「マッチングビール」が続々と誕生している。星野リゾート トマムの「リゾナーレトマム」は、夏に旬を迎えるとうきび(とうもろこし)に合わせ、地元のメーカー3社と3種のクラフトビールを開発。相性を吟味した麦芽やホップを使った数量限定ビールが、8月末までリゾート内で提供されている。「ノースアイランドビール」のトマムピルスナーは、ホップのほどよい苦みがとうきびとよく合う、クリアな味わいのラガービール。「大雪地ビール」のトマムアンバーエールは濃厚なフレーバーのとうきびと相性がよく、「大沼ビール」のトマムブラックエールは「メイプルシナモンとうきび」の甘みとぴったりだ。
- ※この記事はPen 2021年9月号「新しい住みかの見つけ方」特集より再編集した記事です。