足に吸い付き街歩きもスムーズ!アイランドスリッパはサンダルを超えたマスターピース

  • 写真・文:高橋一史
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3年前に購入した白レザーのアイランドスリッパ「PT202」。夏が深まると出番が増える愛用品。

アイランドスリッパがビーサン型(トング)サンダル界の王者であることは知っていても、「2万円近い価格をビーサンに出すのはちょっと」と入手をためらってる人もいるでしょう。
今回はそんな人に、このサンダルならではの履物体験をお話しようと思います。
夏のサンダルの基本がビルケンシュトックとスイコック、ときどきキーンという人間の目線です。

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ロゴが剥げるくらいは履いてる本革モデル。石けんと硬いブラシでゴシゴシ洗ったら、新品同様になり自分でも驚きました。革が痛んだ様子もなし。

アイランドスリッパのつくりはシューズです。
ラフなサンダルとは一線を画します。
革の端は丁寧に曲げて処理され、肌を傷つけやすいラフな切りっぱなしではありません。
アウトソールは水辺で滑りにくく、岩もグリップするアウトドア仕様。
引き締まったストラップとクッション材入りフットベッドが足をしっかりと、しかもまろやかにホールド。
横ぶれしないから都会のアスファルトの上を早足で歩いても驚くほど疲れにくいです。

この歩きやすさがアイランドスリッパ最大の素晴らしさ。
高品位な革使いも、入念なパーツ処理から生まれる上品な佇まいも、すべては履き心地の追求のためと思えるほど。
オールデンの革靴は内側のアーチ部分が盛り上がっており、土踏まずを支えるアーチサポートの役割になっています。
同ブランドが快適と言われる理由のひとつなのですが、アイランドスリッパも横から見るとアーチが膨らんでいることがおわかりでしょうか。
とはいえ、フットベッドがこの程度のカーブなら大した効果は期待できません。
重要なのは厚みと幅のあるストラップががっしりとアーチを支えてくれること!
ストラップと柔らかいフットベッドの2重クッションのおかげで着地の衝撃も和らぎ、見た目より遥かに足運びが軽いのです。

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ミッド&アウトソールが固めのゴムで、アウトドア用スニーカー並のグリップ力。競合ブランドと大きく差をつけるポイントです。

ただ、かかと部分は歩くたびパタパタします。
音もビーサン特有の騒々しさあり。
足についたり離れたりする動きは足疲れにつながりますから、スニーカーを上回る歩きやすさとは言い難く。
そこはひとつご留意を。

それでも本革で足が包まれるベタつきのなさ(吸湿しない樹脂のスポサンは履くうちに汗と皮脂でヌメっとしてきます)、浴衣や甚平に合う日本的デザインと大人が履ける高品位さは、ほかに得難い魅力です。

型崩れに気をつければ水洗いできますし、外出途中で雨が降ってきてもヌルっと滑りますがなんとか歩けます(コルクソールのビルケンシュトックは雨濡れ厳禁)。

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マイ・ファースト・アイランドスリッパ。革の黄色塗装は薄くなり、ソールも変色気味です。洗ってもいまや汚れが落ちず。それでも年々足馴染みがよくなるからつい履いてしまいます。

サイズ選びのコツは、かかとまでしっかりと内側に納めること。
日本古来の履き方のようにかかとを外にはみ出させると、固いアウトソールにガンガンぶつけることになり痛くて歩けなくなります(実体験)。
“粋”とされる伝統の履き方は、生まれてすぐ西洋の靴を履き人生を過ごしてきた現代人の歩き方に即してませんから。

好きなあまり黒革モデルをルームサンダルとして室内で履き続けたら、鼻緒がボロボロになり泣く泣く処分って経験もありますので、この箇所の耐久性にはご注意ください。
完璧とは言えない一足かもしれませんが、履いててこんなに心楽しいサンダルもないのでは?と思いますよ。

All photos©KAZUSHI

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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