あなたの節約法は間違っている⁉ 確実に節約するためにやってはいけない「3つのこと」

  • 文:川畑明美
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間違った節約方法ではお金は貯まらない。baona-istock

「どんなにがんばっても貯金できない」。そういう人ほど、何にお金を使っているのかを調べてもらうと、何に使ったのかわからない「使途不明金」が多い。さらに節約方法も間違っている可能性が高い。例えば、「テレビを見ない時にコンセントを抜く」などの細かい節約の効果は微々たるものだ。電気代を節約したいのなら、まず契約している電力会社を見直すことだ。ガスと併用しているのならば、電力会社とガス会社両方の見積もりを取ったり、通勤がマイカーの人は、ガソリン代や電気自動車の電気代が安くなるタイプも比較すべきだ。今回は、節約する際にやってはいけない3つのポイントをお届けする。

まず電気代について。使用量は同じでも節約できるのだから、電力会社の変更を検討するのは重要だ。
電気代が高い人は、次の3つに心当たりはないだろうか?

1)購入後10年を超えた家電を使っている

2)電気ポットなど保温機能のある家電を多用している

3)照明器具は白熱球が中心。または照明をつけっぱなし

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1.古い家電は使い続けない

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節約するためにやってはいけないことその1として、家電を「壊れるまで使う」のは逆効果の節約方法だ。省エネでない古い家電だと、節電を心がけても電気代はかさむ。特に冷蔵庫、テレビ、温水洗浄便座は、古いものほど省エネ機能がない。「壊れるまで使う」のではなく、省エネ家電に買い替えするほうが、ランニングコストである電気代は安く抑えられる。「もしかしてうちも!?」と思った方は、環境省が運営するサイト「しんきゅうさん」で、省エネ家電に変えた場合の電気代をシミュレーションできるので、是非試してみて欲しい。

電気代の節約効果が高いのは、まず電球をLEDに変更すること。次に電気ポットや炊飯器の保温をこまめに切ることだ。実は、白米は「冷たい」ほうが美味しいと言われている。炊き立てご飯が美味しいというイメージがあるが、粗熱がとれた状態が一番、米の味が引き立つ。

トイレの保温便座は、古いものは節電機能が付いていないので特に気を付けて欲しい。節電機能があるものと無いものだと、年間で約1,242円ほど電気代に差が出てくる。さらに、便座のフタを閉めるだけでも年間約942円の節約になる。やるべき節約とやってはいけない節約を意識して欲しい。特に昔の白熱球は、とても電気代がかかる。LEDに替えると、なんと85%も節電可能なのだ。なかでもリビングの照明は長時間使うので、リビングをLEDに替えるだけでかなり節約できる。暑いのを我慢してエアコンを止めるのではなく、まずは電球を替えるべきだ。

そして、当たり前だが照明は「つけっぱなし」にしないこと。筆者は相談に来られた方に、将来に必要なお金をライフイベント表に書き出すことをおすすめしているが、この「家電の買い替え」を書き出す人はほとんどいない。家電は10年経過すると壊れる危険もあるし、ランニングコストの電気代のほうが高く付くので、買い替えを計画的に考えておくべきだ。

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2.食費を浮かそうと無理に自炊しない

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自炊してストレスを貯めるのならば食費は節約しないほうがいい。Bet_Noire-istock

やってはいけないことその2として、節約というと食費を削る人が多いが、中途半端な自炊もよくない。特に単身者では、食材を無駄にしてしまうので逆に高くついてしまう。未就学児がいる共働き夫婦ならば、自炊がストレスの原因になることもある。平日は、野菜などが切ってあるミールキットも利用しよう。

ランチもお弁当をつくるとなると手間だが、おにぎりと味噌ボールを職場に持っていくだけでもランチ代がかなり浮く。味噌ボールとは、出汁入りの味噌に具を混ぜ、ラップに包んで冷凍保存しておいたものをそう呼ぶ。味噌ボールか味噌玉で検索するとたくさんレシピがでてくる。お湯で溶かすだけで味噌汁ができるというものだ。休日などに作っておけば、朝は冷凍庫から持っていくだけ。ご飯と味噌汁があれば、コンビニで1品購入するだけなのでランチ代を浮かせることができる。

またランチを食べないという選択もある。筆者は最近、胃を休めるためにランチを取っていない。ランチを食べなくなってからは、午後に眠たくなることがなくなった。リモートワークならば、通勤時間もなくなり運動量も少なくなるのでダイエットにもランチ抜きの効果は高い。もちろん、節約にもなる。

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3.「安物買い」と「孤独消費」をしない


やってはいけないことその3。貧乏体質な人の共通点に「安売りが好き」がある。意外と思われるかもしれないが、「安いもの」を探して買うのでは、お金は貯まらない。そもそも「安かったから買った」という理由は、本当は自分に必要だから購入したわけではない側面もあるからだ。特にスーパーで安いものを探して献立を立てていると、家にある食材を使い切ることができなくなる。食材を捨てるのは、お金を捨てるのと同じことだ。1週間単位でよいので、ある程度の献立を考えて「欲しいもの」を目的に買い物をすることだ。


単身者の場合、買い物で気を付けたいのは「孤独消費」だ。例えば、仕事帰りに何か欲しい物があるわけでもなく、なんとなくコンビニの明かりに誘われて店に入ってしまう。そして店内を一周して、なんとなくペットボトルとポテトチップスを買って帰る。このような消費を孤独消費という。心が満たされていないので、余分なモノを購入してしまうのだ。1人カラオケ、1人焼き肉のような、孤独を受け止めるビジネスが増えているのも「孤独消費」の進化系だ。


特に高齢者の単身者で気を付けたい「孤独消費」がある。銀行や証券会社の営業マンが1人暮らしのおじいさんやおばあさんのご自宅に訪問して、たくさん雑談をするほど営業成績が高くなるというのだ。孤独な老人は、そもそも会話をすることが少ない。営業マンがきてくれて「毎月お小遣いのようにお金が受取れる投資信託がありますよ」と勧めると売れるというのだ。これは、ちょっとタチが悪い。そうして購入した投資信託の成績が振るわないと「じゃあ、こっちに乗り換えしましょう」と、新しい投資信託を進める。これは回転販売といって、購入時の手数料を手に入れるために短い保有期間で「売って、買う」を繰り返すのだ。金融庁も規制しているが、なかなかなくならない。

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お金を確実に貯めるためには「新しい習慣」が必要

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自己啓発に数十万円費やしてもお金は貯まらない。お金を使って何をやりたいのかが分かれば自然にお金は貯まる。frema-istock

お金を確実に貯めるのには、実は簡単な方法がある。ところが、コレを意識して行動している人が少ないので、多くの人は「お金がない」と言っているだけなのだ。「本当に使いたいことにお金を使う」ただそれだけなのだ。自分が何年後に何にいくら使うか、把握できている人なんて、ほとんどいない。数十万円、中には100万円以上を支払って自己啓発系のセミナーに行き、これから自分がやりたい事を100個書いたりしている人でも「ライフイベント表」を書いてもらうと、何を書いたらいいのかわからずに真っ白のままなのだ。

やりたいことリストを作って、それを実行するための金額を調べていればライフイベント表は真っ黒になるはずだ。大金を費やして自己啓発セミナーに行っても、自分の生活に落とし込めていないのだ。「本当に使いたいことの金額」が割り出されていないから将来が不安に感じるし、漠然とお金が足りないと感じてしまう。本当に使いたいことの金額を知っていれば、たった100円の飴を買うのも、ムダ使いだと理解できるはずだ。


そしてお金の使い方は、ほとんどが習慣だ。「節約しよう!」と思っても続けられないのは、あなたの意志が弱いからではない。習慣とは無意識にやっている「長期記憶」なのだ。例えば自転車に何十年も乗っていなくても、乗れなくなることはないだろう。このような「長期記憶」を消えてなくすことはできない。なので「浪費の習慣」を消そうと思ってもそれを消すことは、無理なのだ。では浪費を克服するのは無理なのたろうか? ひとつだけ方法はある。浪費を克服するには、新しい習慣で上書き保存することだ。長期記憶は消せないので、その記憶である「浪費グセ」がでてこないように「新しい習慣」を上書きすることで消すことができる。パソコンの上書き保存と同じことだ。

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筆者の家計が毎月6万円の赤字だった頃は、いつもスーパーで買い物をしていた。この習慣をやめて、生協などの宅配に変更したのだ。その頃は、前述した通り「安いものを探し求めて」買い物をしていた。ついつい「2個セット割引」とかタイムサービスとかで必要以上のモノを買ってしまう習慣だった。宅配で食品や日用品を購入する新しい習慣では、家で注文できるので「在庫」を確認して注文できる。これで「安いモノを探して買う」が、「在庫を見て購入」に上書き保存されたのだ。もしもあなたが、なかなか節約できないのなら「新しい習慣」を考えてみて欲しい。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/