sioシェフ鳥羽周作が考える、これからの飲食

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    代々木上原にあるレストラン『sio』のオーナーシェフ、鳥羽周作です。この度、僕たちが考えるこれからの飲食の未来について、コラムを書かせていただくことになりました。

    こんな時代だからこそ、気づけたこと、変わらなければいけないこと、飲食という人を幸せにできる素晴らしい仕事のこと。何が正解かわからない中で、少しでもなにかヒントになることがあれば、と僕の言葉で伝えられたらと思います。

    2021年4月26日。先の見通しもつかない中で、もう一つの会社″シズる株式会社″を、博報堂ケトルをクリエイティブパートナーに迎え、設立しました。

    かねてから、頭の中に構想はあったのですが、このコロナ禍での経験により、必然性にかられて、思い切って会社を設立することになりました。

    元来の飲食店は、軸足が店舗の売上に重きを置いていたため、今回のコロナのような外部環境に大きく左右される不安定なビジネスだと、身を持って経験しました。そして、これからこのビジネスを続けていくことに大きな不安を感じました。

    このままでは従業員の生活が守れない。しいては、人を幸せにするために始めた事業が誰かを不幸にしてしまうという、自分の中でねじれ現象がしばらく起きてしまっていました。

    当然といえば、当然で。これ以外の選択肢があまりなくて、実は修行して独立するのが、一般的なやり方だと思っていたからです。

    そんな時にかねてから構想していた、食のクリエイティブチームをつくるということが、一気に自分の中でつながっていきました。どういうことかと言うと、経営における軸足をズラす、つまり稼ぐポイントを別の事業にすることで、レストラン運営における店舗の負担を減らすということです。

    シェフの能力だけで稼ぐというより、シェフとタッグを組んでチームで稼ぐことが必要でした。美味しいドレッシングやハンバーガーなどのファストフード、冷凍食品に店舗プロデュース。さまざまな”美味しい”を提案できるシェフの可能性は無限大です。しかし、一人ではマネタイズが難しいです。だからこそ、美味しいを最大限に伝えていく、届けていくチームを作る必要がありました。

    シズる株式会社はそのために作った″食のワンストップクリエイティブカンパニー″です。美味しいで課題解決しながら、世の中を食でシズらせ続ける未来を実現したいと考えています。レストランはあくまで事業の一つ。プロデュース、EC、コンサルティングなど他の稼ぎ口があってこそ、レストランを持続的に経営しながら、目の前のお客様を幸せにできると思います。

    シズる株式会社は、僕が絶望の中で見つけた希望の光です。

    鳥羽周作

    sioオーナーシェフ / シズる株式会社代表取締役

    1978年生まれ。Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、32歳で料理人の世界へ。2018年、代々木上原に「sio」をオープンし、ミシュランガイド東京で2年連続星を獲得。2021年4月、博報堂ケトルと食のクリエイティブカンパニー「シズる株式会社」を設立。モットーは『幸せの分母を増やす』

    鳥羽周作

    sioオーナーシェフ / シズる株式会社代表取締役

    1978年生まれ。Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、32歳で料理人の世界へ。2018年、代々木上原に「sio」をオープンし、ミシュランガイド東京で2年連続星を獲得。2021年4月、博報堂ケトルと食のクリエイティブカンパニー「シズる株式会社」を設立。モットーは『幸せの分母を増やす』