アメリカを象徴する エルヴィス愛用の腕時計

  • 文:並木浩一
  • 写真:宇田川淳

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Allstar/PARAMOUNT PICTURES/amanaimages

世界中のセレブリティたちの腕時計は、さまざまなシーンで写真に収められている。そんな彼らの「フェイバリット・モデル」を検証し紹介しよう。

ELVIS PRESLEY

歌手・俳優
●1935年生まれ。若者から絶大な支持を集めた「ロックンロールの帝王」。ミュージシャンらにも大きな影響を与えた。俳優としても30本超の主演映画があり、挿入歌からも数々のヒット曲が誕生。77年没。

DMA-11.pngファーストモデルのデザインは、クルマのキャデラックなどを手がけた著名なリチャード・アービブ。これは現行品の「ベンチュラ」。クオーツ、SS、ケースサイズ50.3×32.3㎜、50m防水。¥100,100(税込)/ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン TEL:03-6254-7371

現在はスイスに拠点を移しているが、ハミルトンはそもそもアメリカ発祥のブランドである。古きよきアメリカン・テイストの時計をいまもリリースしており、ハリウッド映画にも頻繁に登場する。そのイメージを遡っていくと永遠のアメリカン・ヒーロー、歌手エルヴィス・プレスリーに行き着くことになるだろう。エルヴィスはハミルトンの「ベンチュラ」が大のお気に入りで、私物として愛用していた。

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1957年、ハミルトンがアメリカで生産されていた時代に「ベンチュラ」はリリースされた。世界初の電池を動力として駆動する、エレクトリック・ウォッチの誕生である。その画期的な技術とともに注目されたのが、三角形から盾形のフィンを広げた、誰も見たこともないフォルム。丸形であれ角形であれ、左右にシンメトリーであった腕時計の常識を踏み越し、ケースと文字盤は9時側に大きくせり出た。

この腕時計が“エルヴィス・ウォッチ”として知れ渡るのは61年、彼の主演映画『ブルー・ハワイ』(米国)がきっかけ。当時人気絶頂のエルヴィス演じる主人公は兵役を終えて、裕福な実家のあるハワイに帰還。その腕時計が黒文字盤の「ベンチュラ」だった。エルヴィスは現実の自分の兵役時にも、ベンチュラを使用していたという。『ブルー・ハワイ』は挿入曲『好きにならずにいられない』のヒット共々、翌年には日本でも公開。特に、郷里で再開した恋人とともに彼女の祖母の誕生パーティに出席したシーンでは、アイコニックな三角形の腕時計が、はっきりと見わけられる。

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※Pen2016年12/1号「『最初』と『最後』の腕時計はどれだ?!」特集よりPen編集部が再編集した記事です。