『孤独のグルメ』の最新シーズンが始まったので、(事前)聖地巡礼をしてみた

  • 文:絶対に終電を逃さない女

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Ⓒテレビ東京

『孤独のグルメ Season9』のドラマレビューを書いて欲しいという依頼が来て正直悩んだ。今まで『孤独のグルメ』を見たことは全シーズン通して2 回しかない。前代未聞の超人気シリーズであることはもちろん承知しているが、ひたすら主人公が心の中で実況しながら食事を楽しむというシンプルなドラマをSeason9から見始めて、毎回面白く書けるだろうか。とにかく不安だったので、とりあえずロケ地に行ってみることにした。

第一話は、神奈川県川崎市宮前平の「とんかつしお田」。

「とんかつ♪ とんかつ♪」と心が弾み、店に向かう足はいつになく軽やかだった。普段はこういう高めの外食は滅多にできないけど、美味しいものを食べるってやっぱり良いな。

などと呑気に考えながら開店直後のしお田に着くと、「本日は受付終了しました」という紙が出ていて膝から崩れ落ちた。

放送直後はファンが殺到すると知って今回は放送前に来たのだが、放送直前SPで店名が明かされていたせいか、すでに混雑しているらしい。その情報は事前に得ていたものの、この立地で雨降りの平日の昼11時ならさすがに入れるだろうと高を括っていたのだ。孤独のグルメファンをナメていた。放送前でこれなら、放送後はどうなってしまうのだろう。

注意書きを見ると、昼は三部構成、夜は二部構成で先着順の記名式となっており、夜は16時から受付開始とのことだった。

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しばらくの間、近くのファミマで待機

ここまで来て逃すわけにはいかない。受付開始前から並び始める可能性を考慮し、すぐに様子を見に行けるように、近くにあったファミリーマートのイートインで待機することにした。14時、14時半、15時、15時半とマメに偵察に行き、誰も並んでいないことと記名表も出ていないことを確認して戻ることを繰り返す。その間ファミマの店内ラジオがループし、aikoの新曲と帝京平成大学のCMを5回は聴いた。

そこまでする? というのがここまでの正直な感想だ。聖地巡礼までするファンは少数派なのだろうが、これだけ苦労を強いられる程度にはたくさんの人が訪れる。開店前から並んでも食べられないかもしれないのに、そこまでする理由は何なのか。

そんなことを考えつつ16時過ぎに店の前に行くと記名表が出ていた。すでに数人埋まっている17時の枠に名前を記入し、胸を撫で下ろして再びファミマに戻る。

17時数分前、イートインにいた私含め3人が一斉にファミマを出た。まさか、と思いながら店に向かうと、なんと全員しお田に吸い込まれていった。

全員時間きっかりに来た10人が、「〇〇さん、4番ね」とカウンターに記名順に座らされ、順番に注文を聞かれる。皆一人客なのか、マスクを着けたまま誰も一言も喋らずにじっと待っている。とんかつを揚げる油の音だけが響く。

おそらくそれぞれの孤独を楽しんでいるのだろうが、私の脳内では『ライアーゲーム』のBGMが流れ始めた。見ず知らずの男女が何やら物騒なゲームに参加させられる直前のように思えて仕方がなかったのだ。

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いざ、実食へ…

しかしそれぞれが食べ始めるとそんな雰囲気も薄れていく。ひれかつを前にして「おいしそ〜」とほんの小さく心の声を漏らす隣の女性。麦から煮出しているという麦茶。今日は雨で涼しかったが、これからの夏本番で暑いなか歩いてきて飲んだら最高だろうなと思った。

私も井之頭五郎と同じひれかつ御膳を頼んだ。

まず千切りキャベツのあまりの瑞々しさに驚かされる。個人的にとんかつに添えられた山盛りのキャベツがあまり好きではなく、でも出されたものは食べなきゃという義務感で食べることも多いが、これは義務感のないキャベツだ。

あえてソースを付けずに食べてみたひれかつは、何も付けなくても味が完成されている。しかも衣だけ食べてもほんのり甘くて美味しい。

予告での井之頭五郎はひれかつとクリームコロッケを食べていて、歳の割に胃が強すぎるだろうと思っていたが、この軽さなら理解できるかもしれない(と思って後日放送を見たら、エビフライまで食べて「胃袋に負担感ゼロ」と言っていたのでやはり強い)。

そうして食べ終えて店を出る頃には、席を確保するまでの苦労をすっかり忘れて、来週は何だろう? と楽しみにしている自分がいたのだった。

と、ドラマレビューというより(事前)聖地巡礼食レポになってしまったが、『孤独のグルメ』の何が人々を魅了しているのか、これからSeason9の全話を通して探っていきたい。

(高)★『孤独のグルメ Season9』代表カット.jpg
第二話の放送は7月16日(金)深夜0時12分よりスタート!Ⓒテレビ東京

絶対に終電を逃さない女

1995年生まれ、都内一人暮らし。ひょんなことから新卒でフリーライターになってしまう。Webを中心にコラム、エッセイ、取材記事などを書いている。『GINZA』(マガジンハウス)Web版にて東京の街で感じたことを綴るエッセイ『シティガール未満』、『TOKION』Web版にて『東京青春朝焼恋物語』連載中。
Twitter: @YPFiGtH
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