気鋭アーティスト・松山智一が、ニュートラルカラーのTシャツに首ったけの理由は?

  • 写真:加藤佳男
  • 文:力石恒元
  • イラスト:阿部伸二(karera)

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松山智一(まつやま・ともかず)●1976年、岐阜県生まれ。アーティスト。2019年に、キース・ヘリングやバンクシーが作品を描いた「バワリーミューラル」の壁画を手がけ話題となった。明治神宮の屋外彫刻展「天空海闊」や新宿駅東口のパブリック・アート「花尾」を制作。

西洋と東洋、古典と現代など異なる文化や価値観を作品に取り入れるアーティストの松山智一さんは、さまざまなアイデンティティとリアリティが混在する、多様な現代社会を表現する。

「アーティストの役割は、時代を作品に投影すること。そのために自分自身があらゆる感性を吸収するスポンジでいたい。それは服にも関係していて、余裕や余白を残すために、あまり哲学やメッセージ性が強いものを着ることはしません。また、私のアートに影響を与えたのが、幼少期に住んでいた西海岸で親しんでいたスケートカルチャー。Tシャツとパンツだけで自分を表現することが、根底にあります。その点で、シンプルでこなれた雰囲気を漂わせるジェームス・パースのTシャツは、私自身ではなく、作品を際立たせてくれます」

選んだTシャツは、白から黒へといった具合にグラデーションが際立つニュートラルカラー。松山さんが作品で生み出す色彩は、山吹色や藤色など日本的な中間色に原色をはじめとするビビッドな色を混ぜたもの。装飾のない装いはあくまで壮大なアートピースをつくり上げる出発点。それは彼が最初にキャンバスに見立てた、ブルックリンのまっさらな壁にも通じる。


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松山さんが初めて買ったのは十数年前、ブランドの日本展開される以前だ。自宅とスタジオがあるNYと日本で購入。いまではVネック、ヘンリーネックなどデザイン違い、シーズンごとの色違いで、なんと25枚以上を所有する。

※Pen2020年9/15号「あたらしい定番と、自分のための定番」特集よりPen編集部が再編集した記事です。