その個性はまさに百花繚乱。ウイスキー五大聖地の代表銘柄:スコッチウイスキー編

  • 文:西田嘉孝

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この記事では五大ウイスキーのひとつである、スコッチウイスキーの代表的な8つの蒸溜所を紹介する。

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マッカラン蒸留所

数多くの蒸溜所がひしめくスペイサイドエリアでも、屈指の実力を誇る名門。創業は1824年、最良のシェリー樽へのこだわりなど、“シングルモルトのロールスロイス”と呼ばれたその誇りは昨年稼働の新蒸溜所へと引き継がれている。

最新鋭の設備を駆使し、フルオートメーションでのウイスキー造りが行われている新蒸溜所。

まろやかで複雑な味わい。「ザ・マッカラン12年」70ml ¥7700(税込)/サントリースピリッツ TEL:0120-139-310

グレンモーレンジィ蒸留所

ハイランド地方で1843年に創業。ウイスキー造りでは珍しく、ターロギーの泉に湧く硬質の仕込み水を使う点や、スコットランドで最も背の高いポットスチルが生む華やかな味わいが特徴。さまざまな樽での熟成など、革新的な挑戦を続ける蒸溜所だ。

ジンの蒸溜器を改良したというポットスチル。雑味のないクリーンな原酒が生まれる。

「グレンモーレンジィ オリジナル」 700ml ¥5830(税込)/MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL:03-5217-9731

グレンキンチー蒸溜所

過去には数十カ所が稼働していたウイスキー蒸溜所も、現在では数カ所のみ。そんなローランド地方のエジンバラ近郊で1837年に創業。スコットランド最大級のポットスチルで、まろやかでスムースなローランドタイプのシングルモルトを生産する。

容量3万ℓを超える巨大なポットスチル。ランタンのような形状も、スムースで飲みやすい酒質の実現に寄与している。

「グレンキンチー12年」 700ml ¥4840(税込)/MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL:03-5217-9735

スプリングバンク蒸溜所

竹鶴政孝も実習に訪れたキャンベルタウン。古くはスコッチの一大生産地であったこの地で、現在も稼働する3蒸溜所のうちのひとつ。伝統の製法を頑なに守り、ブリニー(塩っぽい)と称される、このエリアならではのキャンベルタウンモルトを生む。

蒸溜所では、過去に同地で稼働したロングロウ、ヘーゼルバーンの名でもシングルモルトを生産。

「スプリングバンク10年」 700ml オープン価格/ウィスク・イー TEL:03-3863-1501

アードベッグ蒸溜所

その個性が「ピーティ」「スモーキー」と称されるアイラモルトの代表格。アイラ島の南岸に位置し、島では珍しい精溜器と呼ばれる装置が付いたポットスチルなどを使い、強烈なスモーキーフレーバーと繊細な芳香が調和したシングルモルトを生産。

地元の農民による創業は1815年。1997年からはグレンモーレンジィの傘下となっている。

煙り臭く、塩っぽく、ヨード香も強い。「アードベッグ10年」700ml ¥6,380(税込)/MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL:03-5217-9731

スキャパ蒸溜所

オークニー諸島最大のメインランド島で1885年に創業。アイランズとしては珍しいノンピート麦芽の使用、スコットランドでも希少な円筒形のローモンドスチルでの蒸溜など、独自の製法でライトタイプのエレガントなウイスキーを造っている。

ヴァイキングの文化が残るオークニー諸島。蒸溜所の眼前には、スキャパ海峡が広がる。

ライトでなめらか、かつスパイシー。「スキャパ スキレン」700ml ¥7040(税込)/サントリースピリッツ TEL:0120-139-310

ボウモア蒸溜所

創業1779年とアイラ最古の歴史を誇る蒸溜所では、現在もフロアモルティングなどの伝統製法を踏襲する。海抜0mの地に立つ第1貯蔵庫は、現存する貯蔵庫としては世界最古。スイートで気品に満ちたその味わいは、アイラの女王とも称される。

海に浮かぶ要塞のようなボウモア蒸溜所。島では職人たちによるピートの採掘も行われる。

海や花の香りが絶妙に混合している。「ボウモア12年」700ml ¥4840(税込)/サントリースピリッツ TEL:0120-139-310

ラフロイグ蒸溜所

ボウモア同様、麦芽にピートを焚き込むフロアモルティングを行い、専用のピート採掘場も所有する。薬品を思わせる香味が特徴で、アメリカの禁酒法時代には医薬品としても販売。その強烈な個性にいまも世界中の愛好家たちが魅了されている。

美しい入り江に立つ蒸溜所。チャールズ皇太子が愛飲するシングルモルトとしても知られる。

スモーキーな、アイラを代表する品だ。「ラフロイグ10年」700ml ¥6160(税込)/サントリースピリッツ TEL:0120-139-310

この記事は、2019年 Pen 10/15号「いま飲むべき一本を探して、ウイスキーをめぐる旅。」特集よりPen編集部が再編集した記事です。商品の価格は掲載時のものとなります。